アニデュラファンギン日本での現状
アニデュラファンギンは実は日本で未承認です。
アニデュラファンギンの日本における承認状況
アニデュラファンギンは2006年にアメリカで承認され、2011年9月時点で欧米を含む84カ国で使用されているエキノキャンディン系抗真菌薬です。しかし、日本国内では2026年2月現在も承認されていません。pmda+2
カンジダ性敗血症や食道カンジダ症などの真菌感染症に対して高い有効性を示す薬剤として海外では広く使用されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/2006__04__txt__s0427-2.txt
日本では2002年からミカファンギンが先行して承認されており、同じエキノキャンディン系薬剤としてはこちらが主流となっています。つまり日本ではミカファンギンが優先されているということですね。pulmonary.exblog+1
アニデュラファンギンの作用機序と特徴
アニデュラファンギンは真菌細胞壁のβ-1,3-グルカン合成酵素を阻害することで抗真菌活性を発揮します。ヒトにはこの酵素が存在しないため、真菌細胞に対して高い選択毒性を示すのが特徴です。jstage.jst+2
カンジダ属の主要な菌種(C. albicans、C. glabrata、C. krusei)とアスペルギルス属に対して強力な抗真菌活性を有します。chemotherapy.or+1
ただしC. parapsilosisに対しては他のエキノキャンディン系薬剤と同様に耐性率が7.5%と高めであり、使用には注意が必要です。
C. parapsilosisは例外です。eiken+1
アニデュラファンギンの最大の特徴は肝臓で代謝されず、緩やかに自然分解されて排泄される点です。これにより肝不全患者でも用量調整が不要となります。
アニデュラファンギンと他剤の臨床比較データ
侵襲性カンジダ症に関する無作為化二重盲検非劣性試験では、アニデュラファンギンとフルコナゾールが比較されました。静脈内投与終了時の治療成功率は、アニデュラファンギン群で75.6%、フルコナゾール群で60.2%であり、差は15.4パーセントポイント(95%信頼区間3.9~27.0)でした。
全死因死亡率はフルコナゾール群で31%、アニデュラファンギン群で23%と8ポイントの差がありましたが、統計的有意差には至りませんでした(P=0.13)。
in vitroでの抗真菌活性では、アニデュラファンギンはC. parapsilosisを除くカンジダ属に対してアムホテリシンBやアゾール系抗真菌薬よりも優れた活性を示しています。アスペルギルス属に対する活性も同様に優れています。
参考)https://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/05012/050120839.pdf
日本で使用可能な代替エキノキャンディン系薬剤
日本国内で承認されているエキノキャンディン系抗真菌薬は、ミカファンギン(ファンガード®)とカスポファンギンの2剤です。pmda+1
ミカファンギンは2002年に日本で承認された最初のエキノキャンディン系薬剤で、アスペルギルス症とカンジダ症の治療に広く使用されています。通常成人には50~150mg(力価)を1日1回点滴静注し、重症例では最大300mg(力価)まで増量可能です。pulmonary.exblog+2
カスポファンギンは真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症に適応があります。通常成人には初日70mg、2日目以降50mgを1日1回投与します。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2012/P201200014/170050000_22400AMX00036_A100_1.pdf
アニデュラファンギンの基本情報と分類について詳細が記載されています。
アニデュラファンギン系薬剤の副作用プロファイル
エキノキャンディン系抗真菌薬は他の抗真菌薬と比較して副作用が少ないことが特徴です。ミカファンギンの臨床データでは、最も頻度の高い副作用として発熱(5~10%)、悪心・嘔吐(2~5%)、肝機能検査値上昇(2~8%)、頭痛(2~4%)が報告されています。kobe-kishida-clinic+1
アレルギー反応や過敏症反応はまれですが、発疹・掻痒感・蕁麻疹・顔面浮腫、まれにアナフィラキシー反応などが報告されています。特に初回投与時や投与速度が速い場合に発現しやすい傾向があります。
参考)ミカファンギンナトリウム(ファンガード) – 呼…
血液学的副作用として貧血(1~3%)、白血球減少(1%未満)、血小板減少(1%未満)が見られますが、多くは基礎疾患や併用薬の影響も考慮する必要があります。
腎機能関連では血清クレアチニン上昇(1~2%)、急性腎不全(0.1%未満)の報告があり、腎機能障害を認めた際には投与継続の是非を慎重に判断する必要があります。これらの副作用は軽度で一過性のことが多いです。
アニデュラファンギン日本導入の課題と展望
アニデュラファンギンが日本で未承認のままである背景には、既にミカファンギンが日本で広く使用されている実績があることが挙げられます。jstage.jst+1
日本の医薬品開発においては、海外臨床試験データの活用に加えて、日本人における有効性と安全性の検証が求められます。カスポファンギンの開発時には日本人深在性真菌症患者を対象にミカファンギンとの比較試験が実施されました。raqualia+1
製薬企業の開発戦略としては、日本におけるエキノキャンディン系薬剤の権利関係や市場規模も影響しています。raqualia+1
今後、肝代謝を受けないという独自の薬物動態特性や、特定の臨床状況における優位性が評価されれば、日本での承認申請が進む可能性もあります。
肝不全患者への使用が期待されます。
カスポファンギンの承認プロセスと臨床試験データについて参考になります。
医療従事者が知るべきエキノキャンディン系薬剤の使い分け
カンジダ感染症においては、エキノキャンディン系薬剤は一般的にalternativeの立場ですが、C. glabrataやC. krusei感染では推奨されます。一方、C. parapsilosisでは耐性率が高いため非推奨とされています。
好中球減少期には殺真菌力の強いアムホテリシンB製剤およびエキノキャンディン系薬剤の使用が考慮されます。
参考)https://www.jsmm.org/pulic_comment2-1.pdf
髄液移行を必要とする中枢神経系感染症では、移行性の良いフルコナゾール、ボリコナゾール、5-FCが選択されますが、これらは静菌的な薬剤であり使用に注意が必要です。エキノキャンディン系は髄液移行が不良なため中枢神経系感染症には適しません。
アゾール系薬剤は相互作用が多く、特にCYP3A4阻害作用により併用禁忌薬が多数存在します。エキノキャンディン系薬剤はこの点で薬物相互作用が少なく使用しやすいメリットがあります。kameda+1
肝不全患者ではアニデュラファンギンが理論上最適ですが、日本では使用できないため、ミカファンギンやカスポファンギンを慎重に使用することになります。
抗真菌薬の選択と使い分けについて包括的な情報が掲載されています。