網脈微小塞栓症とOCTアンギオグラフィと蛍光眼底造影

網脈微小塞栓症とOCTアンギオグラフィ

網脈微小塞栓症:検査と全身リスクの要点
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まず「眼底+OCT」で構造評価

網膜血管閉塞では眼底所見に加えてOCTで黄斑・網膜浮腫や層構造の変化を把握し、病態の重症度と治療方針の判断材料にする。

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循環評価は「FA」と「OCTアンギオグラフィ」

蛍光眼底造影は循環状態(灌流・無灌流)を広く確認でき、OCTアンギオグラフィは造影剤なしで深さ別に血流情報を反復評価しやすい。

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塞栓=眼だけで終わらせない

網膜の塞栓イベントは頸動脈・心原性など全身血管イベントの入口になり得るため、院内連携(脳卒中・循環器)を前提に評価計画を立てる。


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網脈微小塞栓症の蛍光眼底造影の所見

網脈微小塞栓症を「循環のイベント」として扱う場合、蛍光眼底造影(FA)は“どこが灌流していないか/遅れているか”を広い範囲で確認できる点が強みです。

日本眼科学会の解説でも、網膜静脈閉塞症では蛍光眼底造影で網膜の循環状態を調べ、病気のタイプや状態など治療方針の決定に重要な情報が得られるとされています。

また、出血などで眼底観察が難しいケースでも、FAは血流評価を補完でき、虚血型・非虚血型の判断材料になることがあります(臨床では「レーザー適応」や「抗VEGF後の経過観察強度」に関与しやすいポイントです)。

臨床で実際に迷いやすいのは、「FAをいつ入れるか」です。

参考:循環評価(FA)とOCT検査の位置づけ(日本眼科学会の疾患解説)

網膜中心静脈閉塞症|日本眼科学会による病気の解説

網脈微小塞栓症のOCTアンギオグラフィの評価

OCTアンギオグラフィ(OCTA)は、造影剤を使わずに眼底の血流を描出でき、網膜・黄斑部の血管の状態評価に用いられる検査です。

FAと比べた場合、OCTAは深さ別解析ができ、検査が簡便である一方、撮影範囲が相対的に狭いといった特性が示されています。

したがって網脈微小塞栓症を疑う場面では、まずOCTAで局所の血流欠損や毛細血管レベルの変化を“短時間で繰り返し”追い、必要に応じてFAで広域の循環(遅延・無灌流)を確定する運用が現実的です。

OCTA評価で注意したいのは「血流が見えない=必ず虚血」と短絡しないことです。

  • 眼球運動や瞬目でアーチファクトが出ると、偽の無血流域が作られ得ます(臨床では再撮影・信号強度の確認が必須です)。​
  • 浅層/深層のどちらに主体があるかで、病態理解(網膜内のどの層が傷んでいるか)や説明の仕方が変わります(OCTAの深さ別解析という長所に直結します)。​

参考:OCTAの特徴(造影剤不要、深さ別解析などの比較表あり)

OCTアンギオグラフィ &#8211; くまがい眼科

網脈微小塞栓症と綿花様白斑の関連

臨床現場で「微小塞栓」のニュアンスを最もつかみやすい所見の一つが綿花様白斑で、MSDマニュアルでは綿花様白斑を“網膜神経線維層の微小梗塞の領域”と説明しています。

また、軟性白斑(綿花様白斑)は糖尿病網膜症診療ガイドラインでも所見として明記されており、網膜の微小循環障害が背景にある病態で出現し得ることが整理されています。

このため網脈微小塞栓症を疑うときは、「単発の白斑=眼局所」で終えず、背景にある血管リスク(高血圧、糖代謝、脂質、喫煙など)を同時に点検する姿勢が安全側です。

一方で綿花様白斑は“原因が一つではない”のが落とし穴です。

  • 糖尿病網膜症のような慢性微小血管障害でも出ますし、急性の塞栓イベントでも出得ます。nichigan+1​
  • したがって、眼底で綿花様白斑を見た時点で「発症様式(急性か、両眼か、全身症状はあるか)」をカルテ上で言語化し、検査の優先順位(OCT→OCTA→FA、あるいは並行して内科評価)を決めるのが実務的です。nichigan+1​

参考:糖尿病網膜症における軟性白斑(綿花様白斑)の記載(ガイドラインPDF)

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/diabetic_retinopathy.pdf

網脈微小塞栓症と頸動脈と内頸動脈のチェック

網膜の塞栓所見としてHollenhorst plaques(網膜動脈内の小塞栓)が言及され、頸動脈(内頸動脈)病変との関連が示されることがあります。

さらに、日本眼科学会の論文(JJOS PDF)でも、網膜血管閉塞症と開塞性頸動脈疾患の関係が論じられており、眼所見を契機に頸動脈病変が見つかり外科的治療適応に至る例があることが示されています。

つまり網脈微小塞栓症を扱う医療従事者は、眼科内で完結させず、頸動脈エコーや循環器・脳卒中チームへの連携導線を“定型化”しておくほど再発予防の質が上がります。

実務上のポイントを箇条書きで整理します。

  • 眼底で塞栓を疑う所見を確認:白斑・網膜動脈内の小塞栓など。msdmanuals+1​
  • 眼の循環評価を実施:OCTで構造、OCTA/FAで血流(施設の運用で順序は調整)。nichigan+1​
  • 全身評価へ接続:頸動脈・心原性リスク(不整脈など)を含めた評価を依頼し、動脈硬化性疾患予防の枠組みに乗せる。j-athero+1​

参考:眼所見(Hollenhorst plaques)と内頸動脈病変の記載(CEA解説PDF内)

http://j-ca.org/wp/wp-content/uploads/2016/04/4702_12-1.pdf

網脈微小塞栓症の独自視点:再灌流後の一過性所見

“塞栓があったのに、後で塞栓が見えない”という状況は臨床で起こり得て、実際に日本眼科学会雑誌の症例報告でも、蛍光眼底造影で血流が再開し塞栓が認められなかった旨の記載がみられます。

このタイプは「イベントは起きたが、観察時点では再灌流している」可能性があり、眼局所の所見だけで安心してしまうと、頸動脈・心原性の塞栓源評価が後手に回る危険があります。

だからこそ網脈微小塞栓症の評価は、“その瞬間の眼底写真で塞栓が写るか”ではなく、「微小梗塞の痕跡(例:綿花様白斑)」「循環の破綻の痕跡(FA/OCTA)」「全身の再発予防」の3点セットで設計するのが実戦的です。

現場で使える工夫(独自視点としての提案)です。

  • “消えた塞栓”を前提に問診テンプレを作る:一過性黒内障、胸痛、動悸、神経症状などの確認を固定化する(眼所見が軽くても拾う)。
  • OCTAの反復性を活かす:造影剤不要という利点を使い、短い間隔で血流の回復・再低下を追跡し、治療反応と再発兆候を可視化する。​
  • 連携のトリガーを“所見”でなく“疑い”で発動:塞栓が写っていなくても、微小梗塞所見や循環異常があれば頸動脈評価につなげる。nichigan+1​