脂漏性眼瞼炎 治療
脂漏性眼瞼炎 治療の原因と症状(脂ぎった鱗屑)
脂漏性眼瞼炎は慢性眼瞼炎の一型として扱われ、眼瞼縁に「こすると比較的容易に取れる脂ぎった鱗屑」が付着しやすいのが臨床的な手がかりになります。
患者訴えは「異物感」「眼精疲労」「乾き」など非特異的になりやすく、ドライアイとして受診して背景に眼瞼炎が潜むパターンが起こります。
背景因子として皮脂分泌の偏りや皮膚疾患が絡みやすく、脂漏性皮膚炎や酒さが眼瞼炎につながることがある点は問診で拾う価値があります。
医療従事者向けのポイントは、「症状の割に炎症所見が強くないのに、眼瞼縁の脂性デブリが目立つ」という形で疑いを立てることです。
このタイプは“薬で一発解決”よりも、“清潔・排出・再付着防止”の設計が効きやすいので、治療説明の段階で長期戦になる見通しを共有しておくとアドヒアランスが保ちやすくなります。
参考)眼瞼炎(マイボーム腺機能不全MGD) の原因・症状・治療│大…
脂漏性眼瞼炎 治療の鑑別と合併(マイボーム腺機能不全)
慢性眼瞼炎は、脂漏性眼瞼炎だけでなくマイボーム腺機能不全(MGD)なども含む枠組みで語られることが多く、症状が似るため「どちらが主か」を意識して評価する必要があります。
MGDでは導管や開口部が油状分泌で塞がりやすく、分泌物の性状変化や閉塞所見が治療ターゲットになります。
さらに脂漏性皮膚炎や酒さがMGDの誘因になり得る、という関連づけは患者説明の説得力を上げます。
鑑別の実務では、前眼部(眼瞼縁の付着物・睫毛周囲)主体なのか、マイボーム腺の閉塞/圧出異常主体なのかで、在宅ケアの強調点が変わります。
「眼瞼清拭でデブリが減るのに、乾きと霧視が残る」場合はMGD合併を疑い、温罨法+排出促進を強めると説明が通りやすいです。
脂漏性眼瞼炎 治療の基本(温罨法 と 眼瞼清拭)
在宅での基本は、温罨法(まぶたを温める)と眼瞼清拭(リッドハイジーン)を「根気強く続ける」ことだと、複数の臨床向け解説で繰り返し推奨されています。
温罨法はマイボーム腺の油を溶かしやすくし、血流改善も含めて眼瞼縁環境を整える狙いがあります。
眼瞼清拭は、専用洗浄剤などでまぶたを優しく洗い、詰まりや角質、周囲の細菌量を減らす方向に働くと説明されています。
指導で重要なのは「順番」です。温罨法→眼瞼清拭の流れを作ると、脂性付着物や固形化した分泌の扱いがしやすくなります。
また、温罨法と眼瞼清拭の後に点眼すると効果的、という実地クリニックの記載もあり、点眼を“主役”にせず“上乗せ”として位置付ける説明がしやすくなります。
参考)マイボーム腺機能不全|岐阜でMGD治療はくまだ眼科クリニック
患者がつまずきやすいのは、「痛いほどこする」「毎回やり方が違う」「数日でやめる」の3点です。
医療者側は、①摩擦を最小化する(擦らず“拭う”感覚)、②ルーチン化(入浴後など固定)、③再燃時の再開基準(赤み/痒み/鱗屑増加)をセットで提示すると、生活に落ちやすくなります。
脂漏性眼瞼炎 治療の薬物療法(抗菌薬点眼・ステロイド点眼)
MGD関連の治療ガイドラインでは、アジスロマイシン点眼が自覚症状や開口部所見、meibum gradeの改善に有効とされ、抗菌薬点眼が“炎症・分泌環境の改善”の目的でも使われ得ることが示されています。
同じガイドラインで、副腎皮質ステロイド点眼は眼瞼清拭や温罨法との併用で、自覚症状や涙液層破壊時間、眼瞼縁所見などの改善が期待できる一方、位置づけは「併用」である点が重要です。
実地の注意点として、ステロイド点眼の長期使用は眼圧上昇の可能性があるため定期的な眼圧測定を勧める、という臨床サイトの記載は患者説明で使いやすい表現です。
脂漏性眼瞼炎は“感染が主”とは限らないため、抗菌薬点眼は「合併(細菌性要素、MGDの炎症)」が疑われる場面で短期的に組み込む考え方が現実的です。
一方で、炎症が強い増悪期にステロイド点眼を短期導入し、落ち着いたらリッドハイジーン中心に戻す、という段階設計は、ガイドラインの併用記載とも整合します。
参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/MGD.pdf
薬物療法だけが続いてリッドハイジーンが実装されないと再燃しやすいため、処方時に「温罨法・眼瞼清拭をやる前提の薬」と言語化して渡すのが安全です。
ここで、現場で役立つ「患者向けの短い説明例」を提示します。
・「まず温めて、次に拭いて、必要なら点眼します」
・「点眼は炎症を落とす補助で、再発を減らすのは毎日のケアです」
脂漏性眼瞼炎 治療の独自視点:メイク・洗顔・接触過敏症の再燃設計
検索上位の一般的な説明では「温罨法・眼瞼清拭」が中心になりがちですが、再燃の引き金として“目の周りに触れるもの”まで設計し直すと、治療が長続きしやすくなります。
MSDマニュアル家庭版では、点眼薬やアイメイク用化粧品がアレルギー反応(接触過敏症)を起こし、眼瞼炎の原因になり得ることが述べられています。
つまり、脂漏性眼瞼炎の「治療が効かない」「片側だけ繰り返す」「特定の曜日に悪化する」といった状況では、スキンケア・化粧品・クレンジング手順・まつ毛周辺の刺激(擦り洗い)を問診テンプレに入れる価値があります。
医療従事者向けに実装しやすいチェック項目は以下です。
- 目元の化粧品(アイライン、マスカラ、まつ毛美容液)の変更歴。
- クレンジングで強く擦っていないか(摩擦は眼瞼縁を荒らし、清拭の継続も難しくする)。
- 点眼の種類や防腐剤で痒み・発赤が増えないか(接触過敏症の可能性を念頭に置く)。
- 皮膚疾患(脂漏性皮膚炎、酒さ)のコントロール状況。
この視点を入れると、患者には「薬を増やす前に、悪化要因を減らす」という納得感が生まれ、医療者側も過剰処方の回避につながります。
有用:MGDの診療ガイドライン(温罨法・眼瞼清拭・ステロイド点眼や抗菌薬点眼のエビデンス整理)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/MGD.pdf
有用:眼瞼炎の原因として脂漏性皮膚炎/酒さ、点眼薬やアイメイクによる接触過敏症もあり得る点