クロルジアゼポキシドの副作用と効果:用法用量から依存性まで

クロルジアゼポキシド副作用と効果

クロルジアゼポキシドの副作用と効果
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作用機序と効果

大脳辺縁系の扁桃核や海馬への抑制作用により不安・緊張を改善

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主要副作用

眠気、ふらつき、めまい、歩行失調などの精神神経系症状が中心

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依存性リスク

長期使用による薬物依存と離脱症状の発現に注意が必要

クロルジアゼポキシドの作用機序と効果

クロルジアゼポキシドは、ベンゾジアゼピン系薬剤として大脳辺縁系、特に扁桃核と海馬に対して抑制的に作用し、不安・緊張などの情動異常を改善する薬剤です。

脳幹網様体―新皮質系に対する直接作用が少なく、意識水準には直接影響を与えないことが特徴的です。この選択的な作用機序により、鎮静作用を示す量以下でも動物の攻撃性・狂暴性を抑制して馴化静穏作用を示すことが確認されています。

適応症として以下の疾患に用いられます:

  • 神経症における不安・緊張・抑うつ
  • うつ病における不安・緊張
  • 心身症(胃・十二指腸潰瘍血圧症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ

クロルジアゼポキシドの用法・用量と注意点

標準的な用法用量は、成人で1日20~60mgを2~3回に分割経口投与し、小児では1日10~20mgを2~4回に分割して投与します。年齢・症状により適宜増減が可能です。

投与時の重要な注意点として、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意が必要です。

また、飲酒により作用が強くあらわれることがあるため、服用中の飲酒は控えるべきです。これはクロルジアゼポキシドとアルコールの作用が類似しているためで、相互作用により予期せぬ強い効果が生じる可能性があります。

クロルジアゼポキシドの主要副作用と頻度

クロルジアゼポキシドの副作用は、使用成績調査などの明確な調査が行われていないため正確な発現頻度は不明ですが、文献等を参考にした発現頻度は以下の通りです:

精神神経系(最も頻度の高い副作用)

  • 眠気:5%以上
  • ふらつき、めまい、歩行失調、頭痛、多幸症:1~5%未満

その他の副作用

  • 肝臓:黄疸(1~5%未満)
  • 循環器:血圧低下(1~5%未満)
  • 消化器:悪心、便秘、口渇(1~5%未満)
  • 過敏症:発疹、光線過敏症(1~5%未満)
  • 骨格筋:倦怠感、脱力感等の筋緊張低下症状(1~5%未満)

血液系では顆粒球減少、白血球減少も報告されています。

クロルジアゼポキシドの重篤な副作用と離脱症状

重大な副作用として以下の症状に特に注意が必要です:

依存性

連用により薬物依存を生じることがあり、投与中止により痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあります。投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行う必要があります。

呼吸抑制

慢性気管支炎等の呼吸器疾患に用いた場合、呼吸抑制があらわれることがあります。特に呼吸器系に疾患を有する患者では慎重な投与が求められます。

刺激興奮、錯乱

頻度は不明ですが、意識の混乱や正常な思考ができなくなる症状として報告されています。

クロルジアゼポキシドの禁忌と服薬指導のポイント

絶対禁忌

  • 緑内障患者:症状を悪化させる可能性があります
  • 重症筋無力症患者:筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがあります

慎重投与が必要な患者

  • 心臓、肝臓、腎臓に障害のある患者
  • 呼吸器系に疾患を有する患者
  • 妊娠中・授乳中の患者

服薬指導のポイント

漫然とした継続投与による長期使用を避け、治療上の必要性を十分に検討することが重要です。患者には依存性のリスクと、自己判断による急激な中止の危険性について十分説明し、医師の指示通りの服薬を徹底させる必要があります。

また、ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤(フルマゼニル)投与歴のある患者では、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがあるため注意が必要です。

KEGG医薬品データベース – クロルジアゼポキシドの詳細な添付文書情報
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