レニンアンジオテンシン系阻害薬の一覧と臨床応用の現状と未来

レニンアンジオテンシン系阻害薬の一覧

レニン・アンジオテンシン系阻害薬の分類と特徴
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ACE阻害薬

アンジオテンシンⅠからⅡへの変換を阻害し、ブラジキニン分解も抑制

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ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

AT1受容体を選択的に阻害し、副作用が少ない

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直接レニン阻害薬

レニン-アンジオテンシン系の最上流を阻害する新しいアプローチ

レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、高血圧治療の第一選択薬として広く使用されている薬剤群です。この系統の薬剤は、血圧調節だけでなく、心血管保護や腎保護効果も期待できることから、現代医療において重要な位置を占めています。

レニンアンジオテンシン系阻害薬のACE阻害薬一覧

ACE阻害薬は、アンジオテンシン変換酵素を阻害することで、アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡへの変換を阻害します。

主要なACE阻害薬には以下があります。

  • カプトプリル(カプトリル):スルフヒドリル基を含む初期型ACE阻害薬
  • エナラプリル(レニベース):プロドラッグ型で長時間作用
  • リシノプリル:活性体として投与され、腎排泄型
  • イミダプリル(タナトリル):亜鉛配位性の高いACE阻害薬
  • テモカプリル(エースコール):長時間作用型で組織移行性が良好
  • ペリンドプリル(コバシル):末梢血管抵抗を低下させる
  • アラセプリル(セタプリル):日本で開発された薬剤

ACE阻害薬の特徴として、ブラジキニンの分解も阻害するため、血管拡張作用が強い一方で、乾性咳嗽の副作用が約10-15%の患者で報告されています。

レニンアンジオテンシン系阻害薬のARB一覧

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、AT1受容体を選択的に阻害し、ACE阻害薬と比較して副作用が少ないことが特徴です。

本邦で使用可能なARBは6種類あります:

ARBはクラスエフェクトとして共通の作用機序を持ちますが、各薬剤独自のドラッグエフェクトも報告されており、薬剤選択において重要な考慮点となっています。

レニンアンジオテンシン系阻害薬の直接レニン阻害薬の特徴

直接レニン阻害薬は、RAS系の最上流であるレニンを直接阻害する新しいクラスの薬剤です。

代表的な薬剤はアリスキレンラジレス)で、以下の特徴があります。

  • 低分子量の経口活性レニン阻害薬
  • 血漿レニン活性(PRA)の上昇を抑制
  • 他のRAS阻害薬との併用で相加的効果を示す
  • RAS escape現象を防ぐ可能性

アリスキレンは、従来のACE阻害薬やARBで十分な降圧効果が得られない症例において、併用療法の選択肢として期待されています。

レニンアンジオテンシン系阻害薬の新規治療アプローチ

近年、従来のRAS阻害薬を超えた新しい治療アプローチが開発されています。

アンチセンスオリゴヌクレオチド療法

  • アンジオテンシノーゲンのRNA翻訳を直接阻害
  • IONIS-AGT-LRxは肝臓でのアンジオテンシノーゲン産生を抑制
  • Phase 2試験で有意な降圧効果を確認

siRNA療法

  • RNA干渉機構を利用したアンジオテンシノーゲン抑制
  • より持続的な効果が期待される
  • 注射による投与が必要だが、効果持続時間が長い

これらの新規アプローチは、従来の薬物療法で効果不十分な難治性高血圧患者に対する新たな治療選択肢として注目されています。

レニンアンジオテンシン系阻害薬の配合剤と臨床効果

RAS阻害薬は、単剤治療に加えて配合剤としても広く使用されています。

主要な配合剤

配合剤の利点として、以下が挙げられます。

特に、ARBと利尿薬の配合は、血圧治療ガイドラインでも推奨されており、初期治療からの使用が可能です。

脳内RAS系への影響

興味深いことに、RAS阻害薬は全身の循環系だけでなく、脳内のRAS系にも影響を与えることが判明しています。脳内では、アンジオテンシノーゲン、レニン、ACE、アンジオテンシン受容体(AT1、AT2、AT4)が存在し、本態性高血圧の制御において重要な役割を果たしています。

この発見により、RAS阻害薬の神経保護効果や認知機能への影響についても研究が進められており、将来的には心血管疾患だけでなく、脳血管疾患認知症の予防においても重要な役割を果たす可能性があります。

現在のRAS阻害薬は、単なる降圧薬を超えて、多面的な臓器保護効果を有する薬剤として位置づけられており、個々の患者の病態に応じた適切な薬剤選択が重要となっています。

日本心臓財団のレニン・アンジオテンシン系阻害薬の詳細解説

日本心臓財団による心臓病用語集で、RAS阻害薬の基本的な作用機序について詳しく解説されています。

ACE阻害薬の薬物化学的観点からの最新レビュー

ACE阻害薬の分子レベルでの作用機序と新規薬剤開発について詳細に記載された学術論文です。

ARBの次世代多機能型薬剤に関する展望

日本で使用可能な6種類のARBの特徴と、PPAR活性化作用を持つ次世代ARBについて解説した専門誌の記事です。