チロシンキナーゼ阻害薬の一覧で新薬と副作用解説

チロシンキナーゼ阻害薬の一覧と新薬の動向

チロシンキナーゼ阻害薬の一覧で新薬と副作用解説
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チロシンキナーゼ阻害薬一覧と適応疾患

チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は悪性腫瘍、白血病、肉腫などさまざまな疾患で用いられています。主な薬剤は以下の通りです。

  • イマチニブ(グリベック):慢性骨髄性白血病、GISTなど
  • ダサチニブ(スプリセル):慢性骨髄性白血病
  • ニロチニブ(タシグナ):同上
  • エルロチニブ(タルセバ):非小細胞肺がん、膵がん
  • アファチニブ(ジオトリフ):非小細胞肺がん
  • スニチニブ(スーテント):腎細胞がん、GIST
  • レゴラフェニブ(スチバーガ):大腸がん、GIST
  • レンバチニブ(レンビマ):甲状腺がん、腎細胞がん
  • ゲフィチニブ(イレッサ):非小細胞肺がん
  • カボザンチニブ(カボメティクス):甲状腺髄様がん、腎細胞がん
  • バンデタニブ:甲状腺髄様がん
  • アキシチニブ(インライタ):腎細胞がん
  • ソラフェニブ(ネクサバール):肝細胞がん、腎細胞がん
  • パゾパニブ(ヴォトリエント):腎細胞がん

多くの薬剤は、VEGFR、EGFR、PDGFR、c-kit、Bcr-Ablなどの複数のキナーゼを阻害するmulti-TKIとして開発されており、適応疾患も広がっています。薬剤の選択は腫瘍の遺伝子変異や発現因子によって決まります。

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新規チロシンキナーゼ阻害薬と注目薬剤

近年の新薬としては、例えばピルトブルチニブ(ジャイパーカ)が上市されました。これはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であり、再発難治性マントル細胞リンパ腫などに使用されます。

また、EGFR-TKIやALK阻害薬なども続々新規登場しています。

  • ピルトブルチニブ:BTK阻害、新薬
  • オシメルチニブ(タグリッソ):EGFR-TKIで、T790M変異にも効果
  • アレクチニブ(アレセンサ):EML4-ALK阻害薬
  • ラパチニブ(タイケルブ):HER2阻害薬

多標的TKIでは、血管新生阻害作用や分子異常のドライバー変異標的など、多彩な作用機序が特徴です。これら新薬の登場は治療選択肢の拡大に寄与しています。


ピルトブルチニブの発売やアルセンサの適応拡張は最新情報なので、製薬業界や医療現場で話題になっています。

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チロシンキナーゼ阻害薬の副作用と対応策

チロシンキナーゼ阻害薬の副作用には消化器症状、皮膚症状、血液検査値の変化、血圧変動、倦怠感のほか、重篤な場合は間質性肺炎や甲状腺異常も認められることがあります。

  • 消化器症状:食欲不振、吐き気、下痢
  • 皮膚障害:発疹、乾燥、手足症候群
  • 血液検査値異常:肝機能障害、血球減少
  • 血圧変動:高血圧への注意
  • 疲労感:全身倦怠

副作用対策には、定期的な血液・肝機能・甲状腺機能・血圧測定が必要です。副作用発現時は早期相談と対処が推奨されており、重篤時は薬剤中止や代替療法が選択されます。皮膚症状や消化器症状は支持療法が有効です。


副作用について詳しく解説した医療サイト

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チロシンキナーゼ阻害薬の作用機序のバリエーション

TKIは受容体型(EGFR、VEGFR、PDGFRなど)と非受容体型(ABL、BTK、ALKなど)に分けられます。single-TKIは一つの分子を狙うもの、multi-TKIは複数を阻害します。

  • EGFR-TKI:肺がんなど
  • VEGFR-TKI:腎細胞がん、肝細胞がん
  • Bcr-Abl-TKI:慢性骨髄性白血病
  • BTK-TKI:悪性リンパ腫など
  • ALK阻害薬:特定肺がん

作用機序ごとの副作用も異なり、治療選択時に参考になります。近年はバイオマーカーの解析を元にTKI選択がより最適化されています。

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一覧で見る主要チロシンキナーゼ阻害薬

日本で承認されている主要TKIについて表でまとめます。薬剤、適応疾患、主な標的分子、代表的な副作用を一覧で確認できます。

薬剤名標的分子主な適応副作用
イマチニブBcr-Abl/c-kit白血病/GIST浮腫、下痢
ダサチニブBcr-Abl/Src白血病胸水、皮膚障害
エルロチニブEGFR肺がん皮膚症状
レンバチニブVEGFR/PDGFR/FGFR腎がん/甲状腺がん高血圧、蛋白尿
ピルトブルチニブBTKMCL感染症、出血傾向
ゲフィチニブEGFR肺がん間質性肺炎

最新のTKI一覧(KEGG薬剤情報)

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チロシンキナーゼ阻害薬の一覧と個別化医療

一覧で見てもTKIは疾患と患者ごとにベストな選択薬が異なります。がん分子診断や遺伝子検査を活用した個別化医療が進展しており、Bcr-Abl変異にはイマチニブや2世代TKI、多様なEGFR変異にはアファチニブやオシメルチニブが推奨されるなど、適応の細分化が実現しています。

副作用や治療効果だけでなく、バイオマーカーに基づいた最適治療戦略が今後さらに重要になってきます。


臨床現場の実際のTKI適応表(PDF)