p糖蛋白阻害薬で耐性克服と新規開発法をつなぐ応用例

p糖蛋白阻害薬で耐性克服の応用例

p糖蛋白阻害薬で抗癌剤耐性細胞への影響

耐性癌細胞の化学療法ではp糖蛋白(P-gp)が大きな障害となる。P-gpは癌細胞膜で過剰発現し、抗癌剤を細胞外へ積極的に排出し多剤耐性を生じさせる。しかし、近年では、ゾスキダル等のp糖蛋白阻害薬の研究が進み、耐性克服と抗癌剤効果増強の治験が行われている。特にタキサン系ジテルペン類は天然から得難いが独自合成技術により多様な誘導体が開発され、p糖蛋白阻害活性が向上したとの報告もある。さらに2位・9位への疎水基導入で阻害活性が著増することも判明している。

参考:構造活性相関および阻害機構詳細

合成法と構造活性相関の新展開(研究成果)

p糖蛋白阻害薬で薬物相互作用管理のポイント

p糖蛋白阻害薬は他剤と併用時に基質薬剤の血中濃度を高める。その代表例としてラスミジタンのような薬剤はジゴキシン等治療域狭い薬剤との併用注意が必要となる。治療域が狭いp-gp基質薬剤は血中濃度変動リスクがあり、臨床試験でも注意が促されている。他にもボリコナゾール等CYP3A4とp糖蛋白の両方を強力に阻害し、エリキュース(抗凝固剤)の排出・代謝を阻害し薬効過剰となる可能性に配慮が必要。

参考:薬剤併用管理の実際

CYP酵素とp-糖蛋白の薬剤相互作用リスクまとめ

p糖蛋白阻害薬で抗HIV薬・免疫抑制剤活用例

p糖蛋白は抗癌剤だけでなく、抗HIV薬・免疫抑制剤・強心配糖体などさまざまな薬剤排出にもかかわる。そのため阻害薬の臨床応用範囲は広く、耐性ウイルス治療や臓器移植後の免疫抑制でも基質薬剤の血中維持、投薬効果向上目的でP糖蛋白阻害薬の併用が探索されている。ベラパミルやイトラコナゾールなども阻害薬に該当し、効果増強や副作用リスク管理に役立つケースがある。

参考:基質薬剤と阻害薬の相互作用

分子標的薬剤と相互作用の実際(学術総説)

p糖蛋白阻害薬と創薬の最前線(独自視点)

p糖蛋白阻害薬の新規開発では天然物の構造活用と創薬化学が融合し、がん治療薬だけでなく糖尿病・神経疾患にも応用拡大している。実際タキサン骨格の新規同時合成法で多様な誘導体が作られ、より高活性・低副作用の阻害薬探索が進む。加えてp糖蛋白の分子構造解明とコンピュータシミュレーションによる結合ドメイン設計から、個別化医療・作用機序解明に新たな光明をもたらしている。今後、高活性阻害薬の個別適応を目指すデータ駆動型創薬が進行する見通しも高い。

p糖蛋白阻害薬とその臨床副作用・注意点

p糖蛋白阻害薬は基質薬剤の血中濃度を上昇させることから副作用リスクも重要。特に薬剤耐性克服目的で抗癌剤や抗ウイルス剤と併用時には骨髄抑制や腎障害、その他毒性増強が生じることが報告されている。基質薬剤ごとに投与量・投与期間・検査項目の細やかな調整が求められ、添付文書や臨床試験の併用注意項目の把握が必須。また患者背景(持病や腎機能)による個別リスク評価も徹底が推奨される。

参考:添付文書と副作用・注意点

p糖蛋白阻害薬の併用と血中濃度リスク解説

・p糖蛋白阻害薬で耐性癌細胞の薬剤排出を抑制

・タキサン系ジテルペン誘導体は骨格合成技術で活性向上

・薬剤相互作用で血中濃度上昇リスクへの配慮必須

・抗HIV薬・免疫抑制剤など多様な薬剤で応用拡大

・新規創薬は分子設計・個別化医療と連動し発展

・副作用リスクと患者背景をふまえ臨床評価を厳格化

最新研究では天然物誘導体の多様性・分子構造の創薬応用、また個別化医療を目指すp糖蛋白阻害薬の役割が一層強調されているが、医療従事者は安全な臨床活用のためどこまで知識を更新できているだろうか?