jak阻害薬の一覧特徴比較
日本で承認された主なjak阻害薬は以下の通りです。
- ゼルヤンツ(トファシチニブ):2013年登場。幅広いJAK1/2/3阻害。
- オルミエント(バリシチニブ):JAK1/JAK2選択性高く腎機能低下時は減量が必要。
- スマイラフ(ペフィシチニブ):JAK1/2/3/TYK2を阻害。日本独自開発、腎機能低下患者にも投与可能。
- リンヴォック(ウパダシチニブ):JAK1選択性が高い。体重や肝機能障害も考慮して投与量調整。
- ジセレカ(フィルゴチニブ):JAK1選択性、炎症疾患に幅広く適応。
これらに加え、軟膏タイプのコレクチム(デルゴシチニブ)、血液疾患で使うジャカビ(ルキソリチニブ)、希少疾患領域のリットフーロ(リトレシチニブ)、サイバインコ(アブロシチニブ)などがある。
投与経路・用量・薬価は疾患や患者背景によって異なり、抗リウマチ薬等の併用や減量基準も明確に定められている。
jak阻害薬はJAK-STAT経路に作用し、炎症性サイトカイン産生を抑制します。主な作用標的は下記の通り。
- トファシチニブ:JAK1/JAK3メイン、JAK2も阻害
- バリシチニブ:JAK1/JAK2阻害
- ペフィシチニブ:JAK1/JAK2/JAK3/TYK2阻害
- ウパダシチニブ・フィルゴチニブ:JAK1選択性高い
作用標的が異なることで感染症リスクや副作用発現、免疫抑制の強さに差が出る。
これらの作用機序は論文(PMCID: PMC9146299)でも体系的に解説されている。
国内では関節リウマチでの使用が基軸ですが、近年は潰瘍性大腸炎・アトピー性皮膚炎・血液疾患などにも拡大しています。
各薬剤毎の適応疾患
- ゼルヤンツ:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、乾癬性関節炎
- リンヴォック・オルミエント:関節リウマチ、アトピー性皮膚炎
- ジセレカ:関節リウマチ
- ジャカビ:骨髄線維症、真性多血症
- コレクチム:アトピー性皮膚炎(軟膏)
選択時は年齢・併用薬・合併症・妊娠希望・血液検査値等きめ細かな評価が必須。
jak阻害薬は強力な免疫抑制を伴い、帯状疱疹、上気道感染、肺炎、消化管穿孔や横紋筋融解症、非定型感染症リスクが高まります。他にも、
- 肝機能障害、血球減少、コレステロール値上昇
- 心血管疾患リスク
- 長期使用で悪性腫瘍リスク等も慎重な経過観察が必要
特にゼルヤンツやオルミエント・リンヴォックは肝機能、スマイラフは腎機能障害時の投与制限を理解することが重要。
薬剤ごとの詳細比較はPDF資料(KirshimaMC院内資料)も参照できる。
独自視点として、患者QOLに与える影響を深掘りします。治療効果は高いが、持続した免疫抑制による日常生活の感染症リスク増加、定期的な血液検査・副作用発現時の即時対応が求められます。
投与頻度は内服1日1回が多いが、ゼルヤンツは1日2回が標準。服薬アドヒアランス・生活指導・予防接種(帯状疱疹ワクチン等)との連携も重要。
軟膏型であるコレクチムは皮膚障害や高齢患者の使いやすさが注目されています。
治療選択や患者指導にあたり、心理的・社会的アドバンテージも見逃せません。
日本リウマチ学会の公式ページ (薬剤解説と疾患別適応が詳しい)
KEGG医薬品データベース (最新薬価&製品リスト)
各薬剤の最新承認・薬価動向は、KEGGや学会サイトを併用すると実臨床で使えるエビデンスが得やすい。自己判断ではなく、症例に応じてどのjak阻害薬が最適となるか、臨床現場でどう選びますか?