DSEPジェネリック医薬品の特徴
DSEPオーソライズド・ジェネリックの製造と品質管理
DSEPは第一三共エスファ株式会社が製造販売するオーソライズド・ジェネリック(AG)医薬品のブランド名です。オーソライズド・ジェネリックとは、「新薬メーカーから許諾を受けたジェネリック医薬品」という意味で、通常のジェネリック医薬品とは一線を画す製品です。
DSEP製品の最大の特徴は、原薬、添加物および製法等が新薬(先発医薬品)と同一である点です。これにより、従来のジェネリック医薬品に対して不安を感じる患者さんや医療関係者にとって、安心して使用できる選択肢となっています。
品質管理の面では、DSEP製品は通常、先発医薬品と同じ工場で製造されるため、品質確保はもちろん、安定供給も可能としています。溶出試験や安定性試験、薬物動態については先発医薬品のデータを活用しており、長期にわたって蓄積された安全性情報を有効活用できる仕組みになっています。
さらに、第一三共エスファでは製剤・包装表示の工夫にも継続的に取り組んでいます。例えば、PTPシートでは識別性を確保するため、耳部の含量数字の表示を大きくして読みやすくしたり、先発品のイメージを踏襲したデザイン・配色を採用したりしています。
DSEPジェネリック医薬品の薬価と経済性
DSEPブランドのジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質を保ちながら、薬価面では大幅なコスト削減を実現しています。具体例として、2023年に発売された「ビソプロロールフマル酸塩錠『DSEP』」(メインテート錠のAG)では、0.625mg、2.5mg、5mgいずれも1錠10.1円の薬価が設定されています。
この経済性は、医療費削減に直結する大きなメリットです。政府が推進するジェネリック医薬品の数量シェア80%以上という目標達成において、DSEP製品は重要な役割を果たしています。患者さんの自己負担軽減はもちろん、医療保険財政の健全化にも貢献しています。
また、DSEP製品は「先発医薬品と同一」という安心感により、ジェネリック医薬品への切り替えに躊躇していた患者さんにとって、受け入れやすい選択肢となっています。これにより、医療現場でのジェネリック医薬品普及がスムーズに進むことが期待されています。
第一三共エスファでは、大型の先発医薬品を中心に、これまでに85成分のAGを発売しており(2025年4月現在)、幅広い治療領域で経済性と品質の両立を実現しています。
DSEP製品の安定供給と情報提供体制
DSEP製品の安定供給体制は、通常のジェネリック医薬品とは異なる特徴を持っています。先発医薬品と同じ工場で製造されることが多く、原薬調達から製造、流通まで、先発品で培われたノウハウと供給網を活用できます。
これにより、ジェネリック医薬品80%時代が到来しても、安定した供給を継続できる体制が整っています。特に、昨今問題となっているジェネリック医薬品の供給不安に対して、DSEP製品は信頼性の高い供給源として位置づけられています。
情報提供面では、製剤的に同一であるため、先発医薬品で長年蓄積された豊富な情報を有効に活用することができます。これには以下のような内容が含まれます。
- 長期使用による安全性データ
- 他剤との相互作用情報
- 特殊患者群での使用経験
- 副作用発現パターンの詳細分析
第一三共エスファでは、Webサイトや各種雑誌、展示会等を通じて、広くAGの認知度向上にも取り組んでいます。薬剤師の先生方にはAGの認知度がかなり高まっていますが、患者さんにはまだ十分に知られていないケースもあるため、継続的な啓発活動を展開しています。
DSEPジェネリック医薬品の患者への安全性
DSEP製品の安全性は、従来のジェネリック医薬品とは大きく異なるアプローチで確保されています。最も重要な点は、原薬、添加物、製法等が先発医薬品と完全に同一であることです。これにより、生物学的同等性の問題や、添加物による予期しない副作用のリスクを最小限に抑えることができます。
患者安全の観点から、DSEP製品では以下の特徴があります。
- 製剤設計の一貫性: 先発品と同じ製剤技術により、溶出パターンや吸収特性が同一
- 品質管理の継続性: 先発品で確立された品質管理基準をそのまま適用
- 長期安全性データ: 先発品の使用実績に基づく豊富な安全性情報
特に注目すべきは、錠剤への両面印刷技術の採用です。これは薬の取り違えや飲み間違いを防止する重要な安全対策で、昨今のジェネリック医薬品では多く採用されている技術ですが、DSEP製品でも積極的に実装されています。
また、個装箱には切り離し可能な製品情報カードが付いており、製品名、使用期限、製造番号、GS1データバーなどの情報を薬剤棚等で活用できるようになっています。これにより、薬剤師による調剤時の確認作業がより確実に行えます。
DSEP製品ラインナップと医療現場での評価
第一三共エスファのDSEP製品ラインナップは、2024年12月現在で22の先発製品に対応する幅広い治療領域をカバーしています。主要な製品には以下があります。
循環器系医薬品
- クラビット錠・細粒(レボフロキサシン)- 2014年12月発売
- ミカルディス錠(テルミサルタン)- 2017年6月発売
- オルメテックOD錠(オルメサルタン)- 2017年9月発売
- アーチスト錠(カルベジロール)- 2021年12月発売
- メインテート錠(ビソプロロール)- 2023年7月発売
がん治療薬
その他の治療領域
医療現場での評価としては、特に抗がん剤領域において「販売」ではなく「普及」という考え方で取り組んでいる点が注目されています。抗がん剤AGでは「服薬継続性」が重要視されており、患者さんの治療継続をサポートする観点から高く評価されています。
また、在宅医療の分野では、がんと認知症の「在宅パッケージ」に焦点を当てた取り組みも展開されており、高齢化社会における医療ニーズに対応した製品展開が注目されています。
DSEP製品の特徴的な点として、単なる価格競争ではなく、付加価値の高いサービスと品質で医療現場に貢献している点が挙げられます。これにより、ジェネリック医薬品に対する信頼性向上に大きく寄与しています。