アダリムマブ薬価完全ガイド:バイオシミラー価格比較と最新情報

アダリムマブ薬価の最新動向

アダリムマブ薬価の重要ポイント
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2025年薬価改定

バイオシミラーの価格がさらに下落し、患者負担が大幅軽減

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製剤選択肢の拡大

複数メーカーから多様な規格のバイオシミラーが販売中

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先発品との価格差

バイオシミラーは先発品の約3分の1〜半額程度の価格設定

アダリムマブ先発品ヒュミラの薬価推移

アダリムマブの先発品であるアッヴィ社の「ヒュミラ」は、関節リウマチ炎症性腸疾患などの治療に広く使用されています。2025年現在のヒュミラの薬価は以下の通りです。

  • ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.2mL:24,392円
  • ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL:49,726円
  • ヒュミラ皮下注80mgシリンジ0.8mL:96,604円
  • ヒュミラ皮下注40mgペン0.4mL:46,864円
  • ヒュミラ皮下注80mgペン0.8mL:91,161円

特に注目すべきは、過去数年間でヒュミラの薬価が段階的に引き下げられていることです。2021年時点では40mgペンが53,516円でしたが、2023年に51,022円、そして2025年には46,864円まで下落しており、バイオシミラーの参入による競争効果が如実に現れています。

この価格推移は、生物学的製剤の特許切れとバイオシミラーの普及による市場競争の結果であり、患者にとって治療費負担軽減という大きなメリットをもたらしています。

アダリムマブバイオシミラーの価格比較

現在日本では複数のメーカーからアダリムマブのバイオシミラーが販売されており、先発品と比較して大幅に安価な設定となっています。主要なバイオシミラーの2025年薬価を比較すると。

第一三共製バイオシミラー

  • アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.4mL:12,853円
  • アダリムマブBS皮下注40mgシリンジ0.8mL:20,630円
  • アダリムマブBS皮下注40mgペン0.8mL:18,636円

持田製薬・あゆみ製薬製バイオシミラー「MA」

  • アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL:11,062円
  • アダリムマブBS皮下注40mgシリンジ0.4mL:20,630円
  • アダリムマブBS皮下注80mgシリンジ0.8mL:38,124円
  • アダリムマブBS皮下注40mgペン0.4mL:18,636円

日本化薬製バイオシミラー「CTNK」

  • アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL:11,062円
  • アダリムマブBS皮下注40mgシリンジ0.4mL:20,630円
  • アダリムマブBS皮下注80mgシリンジ0.8mL:38,124円

これらのバイオシミラーは、先発品ヒュミラと比較して約50-60%程度の価格設定となっており、患者の医療費負担を大幅に軽減する効果があります。特に20mg製剤では先発品24,392円に対してバイオシミラーは11,062-12,853円と、半額以下の価格を実現しています。

アダリムマブ薬価改定による患者負担軽減効果

2025年4月の薬価改定により、アダリムマブ製剤の患者負担額は大幅に軽減されました。具体的な負担軽減効果を見てみると。

月額治療費の比較(2週間に1回40mgペン使用の場合)

  • ヒュミラ40mgペン:93,728円/月
  • 3割負担:28,118円
  • 1割負担:9,373円
  • アダリムマブ40mgペン(バイオシミラー):37,272円/月
  • 3割負担:11,182円
  • 1割負担:3,727円

この比較から分かるように、バイオシミラーを選択することで月額治療費が約6万円、3割負担でも約1万7千円の削減が可能となります。年間では約20万円の医療費削減効果があり、長期治療が必要な慢性疾患患者にとって経済的メリットは非常に大きいものです。

さらに、高額療養費制度を利用する場合でも、薬価の低いバイオシミラーを選択することで自己負担上限額に達するまでの期間が延びるため、より多くの患者が制度の恩恵を受けやすくなります。

アダリムマブ製剤タイプ別薬価一覧

アダリムマブには様々な規格と製剤タイプが存在し、患者の年齢や体重、使用頻度に応じて適切な製剤が選択されます。製剤タイプ別の薬価と特徴を整理すると。

シリンジタイプ

医療従事者による注射や自己注射に使用される一般的な製剤形態です。

  • 20mg/0.2mL:11,062円〜24,392円
  • 40mg/0.4mL:20,630円〜49,726円
  • 40mg/0.8mL:20,630円(第一三共のみ)
  • 80mg/0.8mL:38,124円〜96,604円

ペンタイプ(オートインジェクター)

患者の自己注射をより簡便にするために開発された製剤で、一般的にシリンジタイプよりやや高価に設定されています。

  • 40mg/0.4mL:18,636円〜46,864円
  • 40mg/0.8mL:18,636円(第一三共のみ)
  • 80mg/0.8mL:39,302円〜91,161円

興味深いことに、一部のバイオシミラーではペンタイプの方がシリンジタイプより安価に設定されているケースもあり、患者にとって利便性と経済性を両立できる選択肢となっています。

小児用製剤の特徴

若年性特発性関節炎などの小児適応では、体重に応じた投与量調整が必要です。

  • 体重15kg以上30kg未満:20mg製剤を2週間に1回
  • 体重30kg以上:40mg製剤を2週間に1回

この用法により、小児患者では成人に比べて月額治療費を抑えることができ、家族の経済的負担軽減に寄与しています。

アダリムマブ薬価選択における医療機関の判断基準

医療機関がアダリムマブ製剤を選択する際の判断基準は、単純な価格だけでなく多面的な要素を考慮しています。現場での実際の選択基準について、あまり知られていない側面を含めて解説します。

治療実績と安全性データの重視

多くの医療機関では、薬価の安さよりも治療実績を重視する傾向があります。特に、バイオシミラーの中でも販売開始が早く、使用実績の豊富な製剤が選好される傾向にあります。第一三共のアダリムマブBSは2021年に、持田製薬の「MA」は同年11月に薬価収載されており、これらの使用経験が製剤選択に影響を与えています。

在庫管理と供給安定性

意外に重要な選択要因として、製薬会社の供給体制があります。バイオ医薬品は製造が複雑で供給不安定になりやすいため、複数メーカーの製剤を採用してリスク分散を図る医療機関も存在します。特に大学病院や基幹病院では、この観点が重視されています。

患者の自己注射支援体制

ペンタイプ製剤の選択においては、各メーカーが提供する患者支援プログラムの充実度も判断材料となります。注射手技の指導体制、副作用モニタリングシステム、緊急時対応などの付帯サービスが、薬価以外の価値として評価されています。

薬剤師による疑義照会の観点

病院薬剤師は、処方された製剤と実際に採用している製剤の規格違い(0.2mLと0.4mL、0.4mLと0.8mL)による疑義照会の頻度も考慮します。規格統一により業務効率化を図ろうとする医療機関では、この点が製剤選択に影響を与えることがあります。

このように、アダリムマブの製剤選択は薬価だけでなく、医療機関の方針、患者の利便性、供給安定性など多角的な検討が行われており、患者にとって最適な治療環境の提供を目指した選択が行われています。結果として、バイオシミラーの普及により治療選択肢が拡大し、患者の経済的負担軽減と治療継続性の向上が実現されています。