アタラックスpアタラックス違い効果副作用成分比較

アタラックスpアタラックス違い

アタラックスとアタラックス-Pの主な違い
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有効成分の違い

アタラックス錠はヒドロキシジン塩酸塩、アタラックス-Pはヒドロキシジンパモ酸塩を使用

製剤特性の違い

アタラックス-Pは味の改良と吸湿性の問題を解決した改良型

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効果の持続性

アタラックス-Pはより持続的な作用を期待できる設計

アタラックスpアタラックス成分の違い

アタラックスとアタラックス-Pの最も重要な違いは、有効成分の化学的形態にあります。アタラックス錠はヒドロキシジン塩酸塩を主成分とし、アタラックス-Pカプセルはヒドロキシジンパモ酸塩を含有しています。

有効成分の特徴比較

  • アタラックス錠:ヒドロキシジン塩酸塩
    • 白色の結晶性粉末
    • 水に極めて溶けやすい
    • 潮解性あり(湿気を吸って溶ける性質)
    • 味は苦い
  • アタラックス-P:ヒドロキシジンパモ酸塩
    • 味がわずかに苦い程度
    • 吸湿性なし
    • 製剤的に安定

    アタラックス-Pカプセル1カプセル中には、ヒドロキシジンパモ酸塩42.61mg(ヒドロキシジン塩酸塩25mgに相当)が含有されています。これは、パモ酸塩の分子量が塩酸塩より大きいため、同等の薬効を得るために必要な調整です。

    両製剤ともに、体内でヒドロキシジンとして作用し、活性代謝産物としてセチリジンに変換されます。セチリジンは現在、第二世代抗ヒスタミン薬として単独で使用されている成分でもあります。

    アタラックスpアタラックス効果の違い

    両製剤の基本的な薬理効果は同じですが、作用の現れ方や持続性に違いがあります。

    共通の効果効能

    • 蕁麻疹の改善
    • 皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)
    • 神経症における不安・緊張・抑うつの軽減

    作用機序の詳細

    ヒドロキシジンは第一世代抗ヒスタミン薬として、以下の作用を持ちます。

    1. 抗ヒスタミン作用:ヒスタミンH1受容体を遮断し、アレルギー反応による皮膚症状を抑制
    2. 鎮静作用:中枢神経に作用し、不安感や緊張感を和らげる
    3. 抗不安作用:神経症状の改善に寄与

    効果発現の違い

    アタラックス-Pは製剤設計により、より持続的な作用を期待できるとされています。薬物動態試験では、健康成人におけるヒドロキシジンの血中濃度推移で、最高血中濃度到達時間(Tmax)は約2時間、半減期(t1/2)は約20時間となっています。

    腎機能や肝機能の状態により薬物動態が変動するため、患者の状態に応じた用量調整が重要です。腎機能障害患者では半減期が延長し、肝機能障害患者でも代謝が遅延することが報告されています。

    アタラックスpアタラックス副作用の違い

    両製剤の副作用プロファイルは基本的に同じですが、アタラックス-Pは製剤改良により一部の問題が軽減されています。

    主な副作用(頻度別)

    1%以上の頻度

    • 眠気
    • 倦怠感
    • 口渇
    • 食欲不振
    • 胃部不快感
    • 嘔気・嘔吐

    1%未満の頻度

    • めまい
    • 血圧降下
    • 便秘
    • 発疹

    頻度不明の重篤な副作用

    • 不随意運動
    • 振戦
    • 痙攣
    • 幻覚
    • 興奮状態
    • 錯乱
    • QT延長

    製剤による副作用の違い

    アタラックス錠の潮解性により、保存状態が悪い場合は成分の変化が起こりやすく、予期しない副作用のリスクが高まる可能性があります。一方、アタラックス-Pは吸湿性がないため、より安定した薬効を維持できます。

    注意すべき相互作用

    以下の薬剤との併用には特に注意が必要です。

    併用により、眠気や意識レベルの低下が増強される可能性があります。

    アタラックスpアタラックス使い方の違い

    用法・用量は適応症により異なりますが、基本的な使用方法に大きな違いはありません。

    皮膚科領域での使用

    • ヒドロキシジンパモ酸塩として1日85~170mg(ヒドロキシジン塩酸塩として50~100mgに相当)
    • 2~3回に分割して経口投与
    • 年齢、症状により適宜増減

    神経症での使用

    • ヒドロキシジンパモ酸塩として1日128~255mg(ヒドロキシジン塩酸塩として75~150mgに相当)
    • 3~4回に分割して経口投与

    製剤選択の実際的な違い

    • アタラックス錠:分割しやすいが、味が苦く飲みにくい
    • アタラックス-P:カプセル剤のため味を感じにくい、分割不可

    服用タイミングの考慮点

    眠気が強く現れるため、以下の点に注意が必要です。

    • 就寝前の服用が推奨される場合が多い
    • 日中の活動に支障をきたす可能性
    • 運転や危険作業の前は避ける
    • アルコールとの併用は厳禁

    小児での使用

    アタラックス-Pドライシロップ2.5%が小児用として利用可能です。液体製剤のため、錠剤やカプセルが服用困難な小児患者にも対応できます。

    アタラックスp選択の独自メリット

    医療現場では、アタラックス-Pが選択される独自の理由があります。

    製剤学的優位性

    アタラックス-Pの開発背景には、アタラックス錠の製剤的な問題点を解決するという明確な目的がありました。潮解性による品質劣化の問題は、特に高温多湿な日本の気候条件下では重要な課題でした。

    患者コンプライアンスの向上

    苦味の軽減により、特に味覚に敏感な患者や小児患者での服薬継続率が向上します。長期療養が必要な慢性皮膚疾患や神経症では、この改良は治療成功に直結します。

    保存安定性と薬局での取り扱い

    調剤薬局での保存や分包作業において、アタラックス-Pは以下の利点があります。

    • 湿度管理が比較的容易
    • 分包後の品質安定性が高い
    • 計量誤差のリスクが低い

    経済性の観点

    薬価を比較すると、アタラックス-Pカプセル25mgは6.1円、50mgは6.9円となっており、製剤の改良にも関わらず経済的負担は大きく変わりません。

    臨床現場での使い分け

    経験豊富な医師は、以下の基準で製剤を選択することがあります。

    • 急性症状:吸収の早いアタラックス錠
    • 慢性症状:持続性を重視してアタラックス-P
    • 高齢者:服薬しやすさを考慮してアタラックス-P
    • 併用薬が多い患者:相互作用の予測しやすさでアタラックス-P

    実際の治療では、患者の症状、年齢、併用薬、服薬能力などを総合的に評価して最適な製剤が選択されます。どちらも優れた抗ヒスタミン薬として、現在でも皮膚科や精神科領域で広く使用されています。

    アタラックス-P添付文書情報 – KEGG医薬品データベース

    公的機関による正確な薬事情報と用法用量の詳細

    ヒドロキシジンパモ酸塩の詳細解説 – こばとも皮膚科

    皮膚科専門医による作用機序と副作用の詳しい説明