祐徳薬品工業の外用剤専門メーカーとしての特徴
祐徳薬品工業の外用剤製品ラインナップと薬価
祐徳薬品工業株式会社は、佐賀県に本社を構える外用剤専門メーカーとして、医療現場で広く使用される外用製剤の開発・製造に特化しています。同社の製品ラインナップは、主にジクロフェナクナトリウム製剤とフェンタニル貼付剤を中心として構成されており、医療従事者にとって重要な治療選択肢を提供しています。
主要製品である「ジクロフェナクナトリウムクリーム1％『ユートク』」は、薬価3.30円という経済性に優れた設定となっており、医療費削減にも貢献しています。また、貼付剤では「ジクロフェナクナトリウムテープ15mg『ユートク』」（薬価11.10円）や「ジクロフェナクナトリウムテープ30mg『ユートク』」といった製品を展開し、患者の症状や部位に応じた治療選択肢を提供しています。
特に注目すべきは、オピオイド系鎮痛剤である「フェンタニル1日用テープ3.4mg『ユートク』」（薬価881.00円）や「フェンタニル1日用テープ5mg『ユートク』」（薬価1280.60円）の製造です。これらの製品は、がん性疼痛管理において重要な役割を果たしており、医療従事者が適切な疼痛管理を行う上で欠かせない製剤となっています。
同社の製品は、先発薬16件、ジェネリック17件、そして市販薬91件という幅広いポートフォリオを持っており、医療現場のニーズに応じた柔軟な製品提供を可能にしています。この多様性は、医療従事者が患者の症状や経済状況に応じて最適な治療選択を行う際の重要な要素となっています。
祐徳薬品のジェネリック医薬品開発への取り組み
祐徳薬品工業は、ジェネリック医薬品の開発において「後発品（加算対象）」として分類される高品質な製品を多数手がけています。これは、厚生労働省が定める品質基準を満たし、先発医薬品と同等の効果・安全性を持つ製品として認められていることを意味します。
ジェネリック医薬品の開発における同社の特徴は、外用剤という特化した領域での深い専門性にあります。外用剤は内服薬と比較して、皮膚透過性や安定性、使用感などの要素が治療効果に大きく影響するため、高度な製剤技術が求められます。同社はこの分野での長年の経験と技術蓄積により、患者にとって使いやすく、医療従事者にとって信頼できる製品を提供しています。
また、同社のジェネリック医薬品は、先発医薬品と比較して大幅にコストを抑えた価格設定となっており、医療費抑制に大きく貢献しています。例えば、ジクロフェナクナトリウム製剤では、クリーム剤が1gあたり3.30円、貼付剤が1枚あたり11.10円から提供されており、患者の経済的負担軽減と医療保険財政の改善の両方に寄与しています。
品質管理においても、同社は厳格な基準を設けており、製造から流通まで一貫した品質保証体制を構築しています。これにより、医療従事者は安心して処方でき、患者も安全に使用できる製品を提供し続けています。
祐徳薬品工業の認知症VR研修と医療現場への支援
祐徳薬品工業は、単なる製薬メーカーとしての役割を超えて、医療現場の質向上に向けた積極的な取り組みを展開しています。その代表例が、福岡支店で実施された「社員向け認知症VR研修」です。この研修は、認知症患者の視点を疑似体験できるVR技術を活用した画期的なプログラムです。
研修に参加した社員からは、「患者（介護される側）目線を経験することが今までなかったことに気づかされました」「知識上の経験ではなく、体験できるVRは非常に心に来るものがあった」といった感想が寄せられており、従来の座学形式では得られない深い理解が得られていることがわかります。
この取り組みの特筆すべき点は、「人それぞれの正解がある」という認識を重視していることです。認知症ケアにおいて一律のマニュアル対応ではなく、個々の患者の状況や特性に応じた柔軟な対応の重要性を理解することで、より質の高い医療サービスの提供につながります。
VR研修の効果は、参加者が「認知症の人の視点や状況を理解することで、どういう気持ちや態度で接してよいか気づきを得ることができました。視界が広がりました」と述べているように、知識の習得だけでなく、共感的理解の深化にも大きく貢献しています。
このような先進的な研修プログラムは、同社が医療業界全体の発展に貢献する姿勢を示しており、単なる製品提供者から、医療の質向上のパートナーとしての役割を果たしていることを物語っています。
祐徳薬品による遠隔服薬指導の先駆的取り組み
祐徳薬品工業は、医療のデジタル化においても先駆的な取り組みを行っています。同社の期刊誌「祐（たすく）」2019年1月号では、遠隔服薬指導についての詳細なインタビュー記事が掲載され、「先駆的な取り組みを通じ、在宅医療の普及を目指す」という明確なビジョンが示されています。
遠隔服薬指導は、薬剤師が情報通信機器を用いて患者に対して薬学的管理指導を行うサービスです。特に地方や過疎地域において、薬局へのアクセスが困難な患者にとって重要なサービスとなります。祐徳薬品工業が本社を構える佐賀県は、高齢化が進む地域でもあり、こうした技術の活用は地域医療の課題解決に直結しています。
同社の遠隔服薬指導への取り組みは、単なる技術導入にとどまらず、在宅医療全体の質向上を目指している点が特徴的です。在宅医療では、医師、看護師、薬剤師、介護職員などの多職種連携が重要ですが、遠隔技術を活用することで、より効率的で質の高い連携が可能になります。
また、遠隔服薬指導の普及により、服薬コンプライアンスの向上や副作用の早期発見、重複投薬の防止などの効果が期待されています。これらは医療費削減にも大きく寄与する要素であり、同社の取り組みは社会全体への貢献という観点からも高く評価されています。
COVID-19パンデミックを契機として遠隔医療への関心が高まる中、同社のような早期からの取り組みは、今後の医療体制の発展において重要な知見を提供しています。
祐徳薬品工業の医療従事者向け独自研修プログラム
祐徳薬品工業では、従来の製品説明会を超えた独自の医療従事者向け研修プログラムを展開しています。同社の人事ブログでは、「社会人の休日ってどんなもの？」といったワークライフバランスに関する情報発信から、より専門的な医療知識の共有まで、幅広いコンテンツを提供しています。
特に注目すべきは、外用剤の適切な使用法に関する実践的な研修プログラムです。外用剤は使用方法によって効果が大きく左右されるため、正しい塗布方法、貼付方法、皮膚の前処理などについての詳細な指導が重要です。同社では、実際の製品を使用したハンズオン形式の研修を通じて、医療従事者が患者により良い指導を提供できるようサポートしています。
また、疼痛管理における外用剤の役割についても専門的な研修を実施しています。特にフェンタニル貼付剤のような強力なオピオイド製剤については、適応の判断、使用上の注意点、副作用のモニタリング方法などについて、症例を交えた実践的な内容を提供しています。
同社の研修プログラムのもう一つの特徴は、地域医療の実情に即した内容であることです。佐賀県を中心とした九州地域の医療環境や患者特性を踏まえた研修内容により、参加者は自分の診療現場により適用しやすい知識を習得できます。
さらに、認知症ケアやデジタルヘルスなど、従来の製薬会社の枠を超えた分野の研修も提供しており、医療従事者の総合的なスキル向上に貢献しています。これらの取り組みは、同社が単なる製品供給者ではなく、医療の質向上のパートナーとして機能していることを示しています。