クラシエ漢方医療用一覧:薬価情報と処方選択のポイント

クラシエ漢方医療用一覧と薬価情報

クラシエ医療用漢方の特徴
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処方数の特徴

厚生労働省認可148処方中、約60処方を製造(ツムラは129処方)

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薬価帯

1g:6円~31.9円の幅広い薬価設定で経済性も考慮

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独自技術

KBスティックなど服用負担軽減を目指した製剤技術

クラシエ医療用漢方の基本概要と特徴

クラシエ製薬株式会社は、日本の漢方薬業界においてツムラに次ぐ第二位のシェアを持つ製薬会社です。厚生労働省に認可されている医療用漢方薬148処方のうち、クラシエは約60処方を製造しており、ツムラの129処方と比較すると処方数は少ないものの、質の高い漢方薬を提供しています。

クラシエの医療用漢方薬の大きな特徴として、以下の点が挙げられます。

  • エキス細粒の品質管理: 独自の製造技術により、安定した品質のエキス細粒を提供
  • 薬価の幅広さ: 1gあたり6円から31.9円という幅広い薬価設定
  • 服用負担軽減: KBスティックブランドによる1日2回服用の医療用漢方製品
  • 医療従事者向けサポート: 「漢・方・優・美」サイトによる情報提供

また、クラシエは一般用医薬品(OTC)市場では70処方以上を展開しており、医療用から一般用まで幅広くカバーしている点も特徴的です。

クラシエ漢方医療用一覧:薬価順ランキング

クラシエの医療用漢方薬を薬価順に整理すると、以下のような構成になります。

高薬価帯(20円/g以上)

  • 小柴胡湯:31.9円/g – 肝機能改善、慢性肝炎に使用
  • 白虎加人参湯:26円/g – 高熱、口渇、糖尿病の随伴症状に適応
  • 加味帰脾湯:25円/g – 不眠、健忘、貧血症状に処方
  • 大柴胡湯:23.3円/g – 胆石症、高血圧、便秘症に使用
  • 人参養栄湯:23.1円/g – 病後の体力回復、貧血、冷え症に適応

中薬価帯(10円/g~20円/g)

  • 柴胡桂枝湯:21.6円/g – 胃腸炎、風邪の後期症状に処方
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯:22.3円/g – 不眠、神経症、高血圧症に使用
  • 補中益気湯:21.2円/g – 虚弱体質、胃腸虚弱、病後の体力低下に適応
  • 六君子湯:19.4円/g – 胃炎、胃下垂、食欲不振に処方
  • 加味逍遙散:19円/g – 更年期障害、月経不順、不安神経症に使用

低薬価帯(10円/g未満)

  • 甘草湯:6円/g – 咽頭痛、口内炎の急性症状に使用
  • 五虎湯:6.4円/g – 小児の咳嗽、気管支炎に適応
  • 桂枝加苓朮附湯:6.5円/g – 神経痛、関節痛、冷え症に処方
  • 防風通聖散:6.8円/g – 肥満症、便秘、高血圧症に使用
  • 葛根湯:6.9円/g – 感冒の初期、肩こり、筋肉痛に適応

この薬価設定は、配合される生薬の種類数や希少性、製造工程の複雑さなどを反映しています。

クラシエ漢方とツムラ漢方の違いと選択基準

医療現場でクラシエとツムラの漢方薬を選択する際の基準について、具体的な違いを整理します。

処方数の違い

  • ツムラ:129処方(全体の87%をカバー)
  • クラシエ:約60処方(全体の40%をカバー)

製剤特性の違い

  • 服用回数: クラシエは「KBスティック」シリーズで1日2回服用を実現
  • 剤形バリエーション: ツムラは主にエキス細粒、クラシエは細粒・顆粒・錠剤を展開
  • 溶解性: メーカーによって若干の溶け方の違いがあり、患者の嗜好に影響

成分量の特徴

同じ処方名でも、メーカーによって生薬成分や成分量が異なります。これは「日本薬局方」や「一般用漢方製剤製造販売承認基準」で定められた製法が複数存在するためです。

臨床選択のポイント

  • 患者の服薬コンプライアンス: 1日2回希望ならクラシエのKBスティック
  • 処方の豊富さ: 特殊な処方が必要な場合はツムラが有利
  • 経済性: 同効果なら薬価の低い方を選択
  • 患者の既往歴: 過去にアレルギー反応があった場合のメーカー変更

クラシエ医療用漢方の供給に関する最新情報は、医療関係者向けサイト「漢・方・優・美」で定期的に更新されています。

クラシエ医療関係者向けサイト「漢・方・優・美」

漢方の基礎から臨床まで、医療従事者に必要な情報が網羅されています。

クラシエ医療用漢方の服用方法と剤形の特徴

クラシエの医療用漢方薬は、患者の服用負担を軽減するため、様々な工夫が施されています。

KBスティックシリーズの特徴

KBスティックは「患者さんの服用負担を軽減することを目的に開発された1日2回服用の医療用漢方ブランド」です。従来の1日3回服用から2回に減らすことで、以下のメリットがあります。

  • コンプライアンス向上: 昼食時の服用忘れを防止
  • QOL改善: 職場や学校での服用の煩わしさを軽減
  • 効果の安定性: 安定した血中濃度の維持

エキス細粒の品質管理

クラシエのエキス細粒は、以下の品質管理基準で製造されています。

  • 標準化: 有効成分の含量を一定に保つ標準化技術
  • 安定性: 保存期間中の品質変化を最小限に抑制
  • 溶解性: 適切な溶解速度による吸収効率の向上
  • 味の改良: 苦味を軽減する製剤技術

服用指導のポイント

医療従事者として患者に伝えるべき服用方法。

  • 服用タイミング: 食前または食間(空腹時)が基本
  • 溶解方法: 白湯に溶かして服用が推奨
  • 継続期間: 効果発現まで通常2-4週間必要
  • 併用注意: 他の医薬品との相互作用に注意

クラシエ漢方医療用の臨床活用事例と処方のポイント

クラシエの医療用漢方薬の臨床活用において、特に注目すべき処方例を紹介します。

人参養栄湯の臨床応用

人参養栄湯は「補気の基本処方『四君子湯』と補血の基本処方『四物湯』を組み合わせ、黄耆・遠志・五味子・陳皮を配合し、川芎を除いた処方」です。

適応症例。

  • がん化学療法後の体力回復: 白血球減少、食欲不振に効果
  • 慢性疲労症候群: 気血両虚の状態改善
  • 高齢者の虚弱状態: フレイル予防・改善
  • 術後の回復期: 創傷治癒促進、感染予防

十味敗毒湯の皮膚科領域での活用

「江戸時代の外科医である華岡青洲が創製した漢方薬で、化膿性皮膚疾患、蕁麻疹、湿疹などの皮膚疾患に用いられています」。

現代的な活用法。

抑肝散加陳皮半夏の精神科領域応用

「抑肝散に『陳皮』と『半夏』という2つの生薬を加えた日本独自の処方」で、「陳皮と半夏はどちらも悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状を改善する働きがあります」。

臨床での処方例。

  • 認知症の周辺症状: 興奮、不安、不眠の改善
  • 小児の夜泣き: 神経過敏状態の鎮静
  • 更年期の情緒不安定: ホルモン補充療法との併用
  • 慢性疼痛の心理的側面: 痛みに伴う不安・抑うつの軽減

処方時の注意点

  • 体質診断: 虚実、寒熱、気血水の状態把握
  • 西洋薬との併用: 相互作用や重複効果の確認
  • 効果判定: 2-4週間での評価と処方調整
  • 副作用モニタリング: 肝機能、電解質バランスの定期確認

クラシエ漢方セラピー公式サイト

一般用医薬品の情報も含め、漢方薬の基本的な知識を提供しています。

クラシエの医療用漢方薬は、ツムラと比較して処方数は少ないものの、独自の製剤技術や患者中心のアプローチにより、臨床現場で重要な選択肢となっています。特にKBスティックシリーズは、現代の生活様式に適合した画期的な製品として、今後の普及が期待されます。

医療従事者として、患者個々の状態や生活背景を考慮し、最適な漢方薬の選択と適切な服用指導を行うことが、漢方治療の成功の鍵となります。