GLP-1ダイエット方法 効果的に痩せる栄養バランスと運動

GLP-1ダイエット方法と効果

GLP-1ダイエットの基本

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医療的根拠

GLP-1受容体作動薬を用いた医療的ダイエット法で、もともと2型糖尿病治療薬として開発されました

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食欲抑制効果

脳の食欲中枢に作用して自然な形で食欲を抑制し、胃の内容物排出を遅らせて満腹感を持続させます

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対象者

BMI25以上の肥満症で、食事療法や運動療法で効果が得られなかった方が対象です

GLP-1ダイエットは、単なる流行のダイエット法ではなく、医学的根拠に基づいた肥満治療法。

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬を用いることで、自然な形での減量を目指します。この治療法は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発されましたが、その食欲抑制作用から肥満治療にも応用されるようになりました。

GLP-1受容体作動薬は、私たちの体内で自然に分泌される消化管ホルモンと同様の働きをします。食事を摂取すると小腸からGLP-1が分泌され、これが複数の作用メカニズムを通じて効果的な体重管理を実現します。具体的には、血糖値が上昇した際にインスリンの分泌を促進し、脳の視床下部にある食欲中枢に直接作用することで自然な形で食欲を抑制します。また、胃の内容物の排出を遅らせる効果があり、満腹感を長時間持続させることができます。

さらに、GLP-1受容体作動薬は褐色脂肪細胞の活性化を促進し、エネルギー消費を増加させる効果もあります。これにより基礎代謝が向上し、より効率的な体重減少が期待できるのです。

医療機関でGLP-1ダイエットを開始できるのは、BMIが25以上の肥満症で、これまでの食事療法や運動療法で十分な効果が得られなかった方が対象となります。ただし、医師による適切な診断と継続的な管理が必須です。

GLP-1ダイエットに使われる薬の一覧

ダイエットに使用されるGLP-1受容体作動薬には、注射薬と飲み薬の2つのタイプがあります。それぞれの薬剤には特徴があり、使用方法や効果にも違いがあります。

飲み薬も医療機関での診療が必要ですが、現在はオンライン診療が可能なところもあります。

注射タイプのGLP-1受容体作動薬

サクセンダ

サクセンダはリラグルチドを有効成分とする注射タイプの薬剤です。1日1回の皮下注射で使用し、食欲を抑制する効果があります。0.6mgから3.0mgまでの用量で投与可能で、体重管理に特化した薬剤として知られています。ただし、現時点では日本での販売はされていないとの情報もあります。

ウゴービ

ウゴービはセマグルチドを有効成分とする注射薬で、週1回の投与で効果を発揮します。2023年に日本で初めて抗肥満薬のGLP-1受容体作動薬として承認され、肥満症に悩む方に保険適用で処方されることがあります。

オゼンピック

オゼンピックもセマグルチドを有効成分とする注射薬です。週1回のペースで投与できるため、投与頻度を減らすことで患者の負担を軽減できるという特徴があります。

ビクトーザ

ビクトーザはリラグルチドを有効成分とする注射薬です。渋谷ヒフ科クリニックでは対応可能なGLP-1薬の一つとして紹介されています。

トルリシティ(デュラグルチド)

デュラグルチドは主に「トルリシティ」という商品名で扱われています。週に1回の投与で済むため、患者の負担が少ないことが特徴です。

マンジャロ(チルゼパチド)

マンジャロはチルゼパチドを有効成分とする注射薬で、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬の両方の作用を持つ初めての薬剤です。GIPは脂肪細胞に作用してレプチンという抗肥満作用を有するホルモンの分泌を促進するため、GLP-1単独よりも強力に体重を抑制すると期待されています。週1回の注射で使用します。

血糖降下作用としては、マンジャロが最も強く、次がオゼンピック、ほかは似たような感じです。ただし、目的としては食欲が抑えられれば良いので、強度よりも副作用がどの程度かで決めたほうが良いでしょう。

飲み薬タイプのGLP-1受容体作動薬

リベルサス(セマグルチド)

リベルサスはセマグルチドを有効成分とする唯一の経口型(飲み薬)GLP-1受容体作動薬です。2021年2月に販売開始され、3mgから14mgを1日1回空腹時に服用します。自己注射の必要がなく、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されているという特徴があります。

オンライン診療対応の医療機関もありますが、BMIが25以下だと処方してくれない(医学的必要性がない)とみなされると思います。

オンライン診療でリベルサスを処方してくれる医療機関

GLP-1受容体作動薬の作用機序と効果

GLP-1受容体作動薬は、腸ホルモン「GLP-1」を模倣して作用する薬剤で、以下のような効果があります。

  1. 食欲抑制効果: 満腹中枢に直接働きかけることで食欲を抑えます。
  2. <strong満腹感の持続: 胃から小腸への食べ物の移動を遅くし、胃にとどまる時間を長くすることで満腹感が持続します。
  3. 基礎代謝の向上: 脂肪細胞に働きかけて熱産生を促進し、基礎代謝を上げることで体に蓄積した脂肪を分解しやすくします。
  4. 血糖値の安定化: インスリンを分泌して血糖値を下げる効果があります。

これらの作用により、GLP-1受容体作動薬は食事量の自然な減少を促し、減量しやすい体質へと導きます。特に持続性GIP・GLP-1受容体作動薬は、運動が苦手な人や初めて医療ダイエットをする人でも医師に相談した上で始められるため、初心者向けのダイエット薬として推奨されています。

ただし、これらの薬剤は医師の診察と処方が必要であり、自由診療(保険適用外)となる場合が多いことに注意が必要です。また、下痢・便秘・吐き気・嘔吐などの副作用が生じる可能性もあります。

GLP-1ダイエット方法における栄養バランスの重要性

GLP-1ダイエットでは、薬の作用で食欲が抑制され食事量が自然と減少します。しかし、単に食事量を減らすだけでは栄養不足を招き、かえって痩せにくい体質になってしまう可能性があります。栄養バランスを意識した食事が非常に重要です。

栄養不足によって起こりうる問題には以下のようなものがあります。

  • 基礎代謝の低下:筋肉量の減少により脂肪を蓄積しやすい体質になる
  • 便秘:食物繊維や水分不足が原因で排便が滞る
  • 低血糖倦怠感や冷や汗、めまいなどを引き起こす可能性がある
  • 免疫低下:感染症への抵抗力が弱まる

栄養バランスを意識した食事のポイントとして、以下の点に注意しましょう。

項目 詳細
主食・主菜・副菜を揃える 必要な栄養素をバランスよく摂取できる
タンパク質 鶏肉や卵、魚介類で筋肉を維持する
食物繊維 野菜や全粒穀物で腸内環境をサポート
ビタミン・ミネラル 緑黄色野菜や果物で摂取

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、エネルギー摂取量に占める三大栄養素のバランスの目標を以下のように設定しています。

栄養素 18~49歳における目標量
炭水化物 50~65%
脂質 20~30%
たんぱく質 13~20%

GLP-1ダイエット中は食欲が抑えられるため、少ない食事量でも栄養バランスを整えることが大切です。野菜や脂質の少ないたんぱく質を中心に、炭水化物・たんぱく質・野菜や海藻類が揃った栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

GLP-1ダイエット方法に適した運動の取り入れ方

GLP-1ダイエットでは、激しい運動は必要ありませんが、適度な運動を取り入れることで効果を高めることができます。運動はカロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて基礎代謝量を増加させたり、ストレスを軽減させたりする効果が期待できます。

特に重要なのは、GLP-1ダイエットでは食事量が減ることで筋肉までも落ちてしまうリスクがあることです。筋肉が減少すると基礎代謝が低下し、リバウンドしやすい体質になる可能性があるため、運動で筋肉量を維持することが重要です。

適度な運動を取り入れるメリット。

  • 筋肉量を維持して基礎代謝を保つ
  • 有酸素運動により体脂肪を効率的に分解する
  • 心肺機能の向上やストレス解消にもつながる

ウォーキングやジョギングといった適度な有酸素運動を取り入れることで、体脂肪を効率的に燃焼させる効果が期待できます。また、心肺機能の向上やストレス解消にもつながり、全身の健康をサポートします。

ただし、GLP-1受容体作動薬は血糖値を下げるため、筋トレなどの無酸素運動をすると低血糖のリスクが高くなる場合があります。医師と相談の上、無理のない範囲で有酸素運動を取り入れましょう。

日常生活の中でも、エレベーターではなく階段を使うなど、小さな運動習慣を取り入れることも効果的です。運動不足はダイエットの大敵ですので、自分のペースで継続できる運動を見つけることが大切です。

GLP-1ダイエット方法でのアルコールと間食の管理

GLP-1ダイエットを成功させるためには、アルコールと間食の管理も重要なポイントです。アルコールを控えることは、ダイエット効果を高める上で大切な要素となります。

アルコール飲料は高カロリーなものが多く、知らず知らずのうちに過剰にカロリーを摂取してしまう可能性があります。例えば、アルコール度数が9%の缶チューハイ500mlを1本飲むと、アルコール分だけで250kcalも摂取してしまいます。これは、ご飯茶碗1杯分のカロリーに相当します。

飲酒量が多いと、アルコールの代謝によって脂肪などの他のエネルギーが消費されないため、太りやすくなってしまいます。また、アルコールは血糖コントロールに影響し、GLP-1受容体作動薬の効き目に影響が出る可能性があるため、飲み過ぎには注意が必要です。

間食についても、GLP-1ダイエット中は食欲が抑えられるため自然と減る傾向にありますが、選び方に注意が必要です。どうしても間食が必要な場合は、以下のようなものを選びましょう。

  • ナッツ類(無塩・少量)
  • ギリシャヨーグルト
  • 果物(適量)
  • 野菜スティック

間食をする際のポイント。

  1. 食べる時間を決める(午後3時など)
  2. 量を決めておく(一握りなど)
  3. 栄養価の高いものを選ぶ
  4. 水分をしっかり摂る

アルコールや間食を完全に禁止するのではなく、適切に管理することで、ストレスなくGLP-1ダイエットを続けることができます。特に社会生活の中で完全に避けることが難しい場合は、量や頻度を調整することが現実的なアプローチとなります。

GLP-1ダイエット方法の副作用とリスク管理

GLP-1ダイエットには効果がある一方で、副作用やリスクも存在します。これらを正しく理解し、適切に管理することが安全なダイエットのために不可欠です。

主な副作用としては、消化器系のトラブルが挙げられます。

  • 吐き気
  • 腹痛
  • 下痢
  • 消化不良

これらの症状は特に治療の初期段階に発生しやすく、服用量を徐々に増やすことで症状の軽減が図られることが多いです。

また、GLP-1受容体作動薬使用中には、より重篤な副作用のリスクも存在します。

  • 急性膵炎:持続的な腹痛や嘔吐などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関での診断を受ける必要があります
  • 低血糖:特に他の糖尿病治療薬と併用する場合にリスクが増加します
  • 腸閉塞:腸内の移動が遅れることでリスクが上昇する可能性があります

GLP-1受容体作動薬は劇薬に分類されるため、医師の指示のもとでのみ安全に使用できます。個人輸入やインターネット経由での入手は厚生労働省も警告しており、専門医の診察や指導なしに使用することは非常に危険です。

項目 一般的医薬品 劇薬(GLP-1受容体作動薬)
毒性 比較的低く適切な用量で安全 少量でも人体に有害な可能性あり
販売条件 処方箋または薬局で購入可能 医師や薬剤師の管理下でのみ使用可能
副作用のリスク 通常は軽微で管理しやすい 誤用した場合、重篤な副作用のリスクあり

GLP-1ダイエットを始める前には、必ず医師に現在の体調や目標体重などを相談し、自身の健康状態に適した計画を立てることが重要です。また、ダイエット中も定期的な検査を受けることで、安全に体重管理を行うことができます。

副作用を感じた場合は、自己判断で薬の使用を中止したり用量を変更したりせず、すぐに医師に相談するようにしましょう。

GLP-1ダイエット方法と心理的アプローチの併用効果

GLP-1ダイエットの効果を最大限に引き出すためには、薬物療法だけでなく心理的アプローチを併用することが非常に効果的です。ダイエットの成功には身体的な変化だけでなく、心理的な要素も大きく関わっています。

ストレスを溜め込むと、コルチゾールというホルモンが分泌され、食欲を増進してしまいます。GLP-1受容体作動薬は食欲を抑制する効果がありますが、強いストレスがある状態では十分な効果を発揮できない場合があります。

心理的アプローチとして効果的な方法。

  1. マインドフルイーティング:食事に集中し、ゆっくり味わって食べることで満足感を高める
  2. 目標設定:現実的で具体的な短期・中期・長期目標を設定する
  3. セルフモニタリング:食事や体重の記録をつけ、変化を可視化する
  4. ポジティブな自己対話:自分を責めるのではなく、小さな成功を認め、励ます
  5. ストレス管理技術:瞑想やヨガ、深呼吸などでストレスを軽減する

GLP-1ダイエットと心理的アプローチを併用することで、単に体重を減らすだけでなく、健康的な食習慣や生活習慣を身につけることができます。これにより、ダイエット終了後もリバウンドしにくい体質づくりが可能になります。

また、ダイエットの過程で挫折感を感じることは珍しくありませんが、そのような時こそ心理的アプローチが役立ちます。失敗を学びの機会と捉え、柔軟に計画を修正していくことが長期的な成功につながります。

GLP-1ダイエットは急激に体重を減少させるのではなく、緩やかで持続的に体重を落としていくのが特徴です。この特性を理解し、焦らずに取り組むことが大切です。短期間での劇的な変化を期待するのではなく、健康的な生活習慣の確立を目指しましょう。

医療機関によっては、GLP-1ダイエットと並行して心理カウンセリングや栄養指導を提供しているところもあります。専門家のサポートを受けることで、より効果的かつ安全にダイエットを進めることができるでしょう。

心理的アプローチを併用した減量プログラムの効果に関する研究