レボブノロール先発品の販売中止と後発品への移行

レボブノロール先発品の基本と後発品への切り替え

先発品「ミロル点眼液0.5%」は販売中止済みなのに、今も処方せんに「ミロル」と書く医師がいます。

この記事の3つのポイント
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先発品ミロルは販売中止

レボブノロールの先発品「ミロル点眼液0.5%」(杏林製薬)はすでに販売中止。現在流通しているのは後発品のみです。

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適応は緑内障・高眼圧症

非選択性β遮断薬として房水産生を抑制。1回1滴・1日1回または2回の点眼で眼圧をコントロールします。

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気管支喘息患者は禁忌

β遮断薬のため気管支喘息・既往歴のある患者は絶対禁忌。処方・調剤時に必ず既往歴を確認する必要があります。

レボブノロール先発品「ミロル」の販売中止の経緯

レボブノロールの先発品は、杏林製薬が販売していた「ミロル点眼液0.5%」です。 しかしこの製品はすでに販売中止となっており、現在日本国内で流通しているレボブノロール製剤はすべて後発品(ジェネリック)に当たります。 nihs.go(https://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged/bluebook/r/e_Levobunolol_Eed_01.pdf)

先発品が存在しない状況での処方は、医療現場で混乱を招くことがあります。 これは珍しいケースです。 処方せんに「ミロル」と記載されても調剤薬局では後発品で対応するしかなく、患者への説明を含めた対応フローを薬局・病院ともに整備しておく必要があります。 interq.or(http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se13/se1319744.html)

現在流通している主な製品は「レボブノロール塩酸塩点眼液0.5%『ニッテン』」(ロートニッテンファーマ)と「レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%『日点』」(日本点眼薬研究所)の2種類です。 薬価はいずれも1mLあたり約161.9円(後発品)となっています。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055379)

緑内障診療や処方変更に関する詳細な背景は以下の公式ガイドラインも参照してください。

医療用医薬品最新品質情報集(ブルーブック):レボブノロール塩酸塩 先発・後発品一覧(国立医薬品食品衛生研究所)

レボブノロール先発品と後発品の薬価・規格の違い

先発品が販売中止になった現在、後発品同士の比較が処方選択の軸になります。 これが基本です。 2製品の主な違いは「防腐剤の有無」にあります。 rad-ar.or(https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=36368)

「ニッテン」は塩化ベンザルコニウム(BAK)を含む一般的な防腐剤入り製剤で、「日点」はPF(Preservative Free、防腐剤フリー)製剤です。 防腐剤アレルギーやドライアイ合併症例には、PF製剤の「日点」を選択することが点眼継続率の向上につながります。 角膜保護の観点から大きな差がある点は意外に知られていません。 rohto-nitten.co(https://www.rohto-nitten.co.jp/medical/products/detail/?id=63)

薬価は両者ともほぼ同等ですが、医療機関によっては採用品が1種類に絞られているケースもあります。 その場合、防腐剤アレルギーを持つ患者への対応が制限されるため、採用薬の見直し検討が推奨されます。 data-index.co(https://www.data-index.co.jp/kusulist/detail.php?trk_toroku_code=1319744Q1038)

くすりのしおり:レボブノロール塩酸塩PF点眼液0.5%「日点」の効能・作用機序(くすりのしおり公式)

レボブノロール点眼液の禁忌と副作用:医療従事者が見落としやすいリスク

レボブノロールは非選択性β遮断薬です。 点眼薬なのに、全身性の副作用が出ることがあります。 これは見落とされやすいリスクです。

禁忌として定められているのは以下の通りです。 rohto-nitten.co(https://www.rohto-nitten.co.jp/upload/product/62/tennpu_levobunololhydrochloride_202204-2.pdf)

特に注意が必要なのは、喘息の既往がある患者への誤処方です。 点眼という投与経路だと「全身への影響は少ない」と誤解されやすいですが、β遮断薬の全身吸収は鼻涙管を経由して起こります。 1日1滴の点眼でも、循環器系・呼吸器系への影響が報告されており、副作用報告には「徐脈」「右脚ブロック」が含まれています。 pins.japic.or(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055379.pdf)

副作用分類 具体的な症状(0.1〜5%未満)
眼局所 しみる・眼痛角膜炎・結膜充血・眼瞼炎霧視・そう痒感
循環器 徐脈・右脚ブロック
精神神経系 頭痛・めまい

点眼薬でも全身への副作用ゼロではありません。 処方時の問診・調剤時の確認、いずれの段階でも既往歴チェックが不可欠です。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055379)

レボブノロール先発品切り替え時に必要な患者説明のポイント

先発品から後発品への切り替えは、患者にとって「薬の見た目が変わる」体験でもあります。 戸惑いは当然です。 特に長期処方を受けてきた緑内障患者には、切り替えの理由と同等性についての丁寧な説明が必要です。

厚生労働省・日本ジェネリック製薬協会のブルーブック(最新品質情報集)では、レボブノロールの後発品2品目について先発品との生物学的同等性が確認されています。 AUC(血中濃度時間曲線下面積)データを見ると、ニッテンのAUC値3.740に対しミロル点眼液(先発)は3.547と、数値はほぼ同等です。 つまり効果は同等ということです。 nihs.go(https://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged/bluebook/r/e_Levobunolol_Eed_01.pdf)

患者説明時には以下の点を伝えると理解されやすくなります。

  • 💬 「製品名は変わるが、有効成分・濃度はまったく同じ」
  • 💬 「国が同等と認めた製品であること」
  • 💬 「防腐剤なし(PF製剤)を希望する場合は医師・薬剤師に相談可能」
  • 💬 「眼圧値の定期確認はこれまでと変わらず必要」

切り替え後1〜2ヶ月での眼圧フォローアップが推奨されます。 これだけ覚えておけばOKです。

レボブノロール点眼液と他の緑内障治療薬との併用・相互作用

単剤で眼圧コントロールが不十分な場合、他剤との併用が検討されます。 ただし注意点があります。 添付文書に明示されている相互作用は以下の通りです。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055379)

併用薬の種類 起こりうるリスク 機序
β遮断剤(全身投与)アテノロールプロプラノロールなど 眼内圧または全身β遮断作用の増強 作用の相加
カルシウム拮抗剤(ベラパミルジルチアゼムなど) 房室伝導障害・左室不全・低血圧 相互に作用増強
ジギタリス製剤ジゴキシンなど) 房室伝導時間のさらなる延長 相加的作用増強
カテコールアミン枯渇剤(レセルピンなど) 低血圧・徐脈・眩暈・失神 β遮断作用の相加的増強
アドレナリン・ジピベフリン塩酸塩 散瞳のおそれ 機序不明

内科で心疾患・高血圧の治療を受けている患者は、ベラパミルやジゴキシンを服用しているケースが少なくありません。 緑内障患者の多くが高齢者であることを考えると、多剤併用(ポリファーマシー)のリスクは現実的です。 痛いところです。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055379)

処方チェック時は必ず「内科での処方歴」「既往の不整脈・心不全歴」を確認し、必要に応じて処方医へ疑義照会を行うことが安全管理の基本です。 緑内障診療ガイドライン(第5版)でも、点眼β遮断薬の全身リスクは明示されています。 nichigan.or(https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf)

緑内障診療ガイドライン第5版(日本眼科学会):β遮断点眼薬の全身副作用・禁忌に関する記載あり