ビクトーザ皮下注販売中止で切り替え時に注意すべき代替薬の選び方

ビクトーザ皮下注の販売中止と代替薬への対応

ビクトーザから同じGLP-1製剤に切り替えても、投与頻度が毎日から週1回になることで、約30%の患者が用法を間違えた報告があります。

ビクトーザ皮下注 販売中止|3つのポイント
📅

販売終了時期

2026年後半をめどにノボ ノルディスク ファーマが出荷終了(販売終了)を予定。現在は通常出荷中。

💊

代替薬の候補

同社のオゼンピック皮下注(セマグルチド・週1回)またはリベルサス錠(経口セマグルチド)が主な候補として挙げられている。

⚠️

切り替え時の注意

用法・用量・投与頻度が大きく変わるため、患者への丁寧な再指導と血糖モニタリングが不可欠。

ビクトーザ皮下注の販売中止が決まった経緯と背景

ビクトーザ皮下注18mg(一般名:リラグルチド)は、2010年6月にノボ ノルディスク ファーマが発売した、日本初のGLP-1受容体作動薬です。 国内でGLP-1製剤の先駆けとなったこの薬が、2026年後半をめどに販売終了となることが2025年10月に正式発表されました。 jds.or(https://www.jds.or.jp/uploads/files/document/info/info_novo_2025-10-20_Novo_Victoza.pdf)

注目すべきは、2019年5月に最高用量が0.9mg/日から1.8mg/日へ増量承認されたばかりであった点です。 つまり、承認からわずか7年ほどで販売終了に至ったことになります。意外ですね。 ouhp-dmcenter(https://www.ouhp-dmcenter.jp/project/donats/glp-1%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%E4%BD%9C%E5%8B%95%E8%96%AC%E3%81%AE%E3%83%93%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B6%EF%BC%88%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%89%EF%BC%89%E3%81%AE/)

現時点(2026年4月)では出荷量は「通常」とされており、急な供給不足は生じていません。 しかし、早めに代替薬への切り替え計画を立てておくことが、医療機関にとって重要です。 jds.or(https://www.jds.or.jp/uploads/files/document/info/info_novo_2025-10-20_Novo_Victoza.pdf)

    >📋 正式発表:2025年10月20日(ノボ ノルディスク ファーマ)

    >🗓️ 販売終了予定:2026年後半(出荷終了)

    >🏥 影響:全国の2型糖尿病外来・入院患者が対象

    >📦 現状:出荷量A(通常)・製造販売業者対応①(通常出荷)

販売終了まで時間的余裕があるようで、実は切り替え準備には相当な工数がかかります。これが基本です。

参考:日本糖尿病学会によるノボ ノルディスク ファーマからの公式案内ページ

日本糖尿病学会 ビクトーザ皮下注18mg 販売終了に伴うご案内

ビクトーザ皮下注と代替薬オゼンピック・リベルサスの違いを比較

販売終了後の代替薬として、製造販売元のノボ ノルディスク ファーマが公式に提示しているのはオゼンピック皮下注とリベルサス錠の2剤です。 両剤はいずれも有効成分がセマグルチドであり、リラグルチドとは異なる分子です。 dm-rg(https://dm-rg.net/news/ecd05eaa-6c14-427d-b013-0ccbedce2971)

項目 ビクトーザ皮下注 オゼンピック皮下注 リベルサス錠
有効成分 リラグルチド セマグルチド
投与経路 皮下注射 経口
投与頻度 1日1回 週1回 1日1回
最大用量(糖尿病適応) 1.8mg/日 0.5mg/週(最大1mg) 14mg/日
注射針 ペン型デバイス ペン型デバイス(別途A型針が必要) 不要

重要なのは、オゼンピックへ切り替えた場合には「毎日→週1回」という頻度変化が起きるという点です。 実際に医療安全情報として、「患者が毎日投与してしまった」というヒヤリハット事例が報告されています。 これは使えそうです。 yakkyoku-hiyari.jcqhc.or(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_2022_2_T001.pdf)

リベルサス錠は注射が不要な点で利便性は高いものの、空腹時にコップ半分(120mL以下)の水で服用するという厳格な服用条件があります。 服用方法を誤ると有効成分の吸収率が著しく低下するため、患者指導が欠かせません。 shoikai(https://www.shoikai.com/medical-portal/rybelsus/)

    >💉 注射頻度の変化(毎日→週1回)は患者への再指導が必須

    >💊 リベルサスは服用タイミングが吸収に直結する

    >🔄 切り替え直後は血糖値の変動リスクが上がる

参考:医療安全情報として報告された投与頻度誤認事例(日本医療機能評価機構)

薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業(糖尿病治療剤の注射薬)

ビクトーザ皮下注販売中止後の切り替え時に注意すべき副作用リスク

代替薬への切り替えにあたって、見落とされがちなのが「消化器系副作用の再燃」です。 ビクトーザに慣れた患者がオゼンピックやリベルサスに変更すると、吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状が新たに出現することがあります。 fa.kyorin.co(https://fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/info_Ozempic_2022-03-30.pdf)

これは分子構造の違いによるもので、同じGLP-1クラスであっても体内での挙動が異なるためです。 「同じ種類の薬だから副作用も同じ」という思い込みは危険です。つまり、切り替え初期の経過観察が非常に重要です。 fa.kyorin.co(https://fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/info_Ozempic_2022-03-30.pdf)

特に注意すべき副作用として、以下の3点が挙げられます。 gemmed.ghc-j(https://gemmed.ghc-j.com/?p=52612)

    >🤢 消化器症状:吐き気・嘔吐・下痢(切り替え後1〜2週間に集中しやすい)

    >🏥 胆嚢・胆管障害:腹部症状の出現に注意。血液検査での経過観察が推奨される

    >📉 急激な血糖コントロール悪化:切り替え直後は血糖自己測定や血液検査で適宜モニタリングを

また、インスリン治療と併用している患者においては、低血糖リスクの変化にも注意が必要です。 SU薬やインスリンとの併用時は、切り替え後も低血糖モニタリングを継続することが原則です。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/liraglutide/)

切り替え時の安全管理として、「前治療薬の効果持続期間を考慮した上で開始時期を決める」という手順を守ることが推奨されています。 これが条件です。 medical.lilly(https://medical.lilly.com/jp/answers/171797)

参考:GLP-1受容体作動薬への切り替え時の詳細な注意点(日本医薬情報センター)

ビクトーザ皮下注やリベルサス錠等の糖尿病治療薬に胆嚢炎・胆管炎のリスク(GemMed)

ビクトーザ皮下注の販売中止で院内採用中止が進む医療機関の実態

実は、ノボ ノルディスク ファーマの公式発表(2025年10月)より前から、院内採用を中止していた医療機関が存在します。 ある地域中核病院では2025年8月の薬事委員会で「ビクトーザ皮下注18mg【院外限定へ】」という決定が下されています。 seichokai.or(https://www.seichokai.or.jp/ozumc/upload/department/page/yakuji20250725.pdf)

これは院内での在庫管理コストや処方切り替えの準備を考慮した先行対応です。医療機関によっては、院外処方に切り替えることで患者の選択肢を維持しつつ、院内の管理負担を軽減するという戦略を取っています。

意外ですね。全国的な販売終了の前に、すでに一部病院では実質的な「販売中止対応」が完了しているわけです。

このことは、地域の医療機関・薬局間での情報共有の重要性を示しています。特に、以下のような場面で問題が起きやすくなります。

    >🏥 院内採用中止→患者が院外薬局で処方受け取り→在庫確認が必要

    >📞 薬局からの問い合わせ増加→処方医への確認コスト発生

    >🔄 同一患者に複数の医療機関・薬局が関与している場合、情報連携が途切れるリスク

医療機関ごとに「いつから、どの薬に、どのように切り替えるか」を統一した院内ガイドラインで整理しておくことが、トラブル防止の第一歩です。これだけ覚えておけばOKです。

参考:院内採用中止の実例と薬事委員会決定事項(聖光会大阪うめだ病院)

2025年8月薬事委員会決定事項(PDF)

ビクトーザ皮下注の販売中止を機に見直したい患者指導のポイント【医療従事者向け独自視点】

薬の切り替えは「薬が変わる」だけではありません。患者の生活リズムそのものが変わることを、医療従事者として強く意識する必要があります。これが原則です。

ビクトーザは1日1回の注射だったため、多くの患者が「朝食前に打つ」「夕食前に打つ」など固定した生活習慣として注射を位置づけていました。 オゼンピックに切り替えると週1回になるため、「いつ打つか」の習慣が一度リセットされます。習慣のリセットは、アドヒアランス低下の最大の要因です。 kenbi-clinic(https://kenbi-clinic.com/column/2021-03-22-215/)

特に高齢患者や認知機能が低下した患者では、「週1回」という概念の理解が難しく、過剰投与・投与忘れのリスクが高まります。 厳しいところですね。 yakkyoku-hiyari.jcqhc.or(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_2022_2_T001.pdf)

切り替え時の患者指導において、実践的に役立つ手順は以下の通りです。

    >投与頻度の変化を明確に伝える:「毎日から週1回になります」と口頭だけでなく書面でも伝える

    >打つ曜日を患者と一緒に決める:スマートフォンのアラームやカレンダーへの設定を勧める

    >最初の1〜2週間は電話フォローアップを検討する:副作用の早期発見にもなる

    >「同じ薬の仲間だから安全」という患者の思い込みを解く:分子が異なること・副作用が再燃しうることを説明する

    >家族や介護者への説明も必ず行う:特に独居高齢患者では、緊急連絡先を改めて確認する

リベルサス錠を選択する場合は、服用条件(空腹時・水120mL以下・服用後30分間は他の飲食物・薬を避ける)について、実際に患者に復唱させて理解度を確認するのが有効です。 これは必須です。 shoikai(https://www.shoikai.com/medical-portal/rybelsus/)

薬の切り替えを「事務的なタスク」で終わらせず、患者の生活全体を見直す機会として捉えることで、治療継続率の向上にもつながります。 医療従事者としての介入価値が最も発揮できる場面のひとつです。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/metabolism/metabolism-medicine/liraglutide/)

参考:GLP-1受容体作動薬の特徴と注意点の詳細解説(CareNet)

インスリン複数回投与患者へのGLP-1製剤併用効果(CareNet)

参考:リラグルチドの1.8mg増量承認と特性について(大阪大学附属病院)

GLP-1受容体作動薬のビクトーザ®(リラグルチド)の1.8mg増量承認(大阪大学附属病院)