トリメタジジン ドーピング 効果と医療現場での注意点
「トリメタジジンを軽い疲労回復目的で試すと、一度の自己申告漏れだけで4年間の資格停止と数百万円単位の収入喪失を招くことがあります。」
トリメタジジン ドーピング 効果と心筋代謝のメカニズム
運動生理学的には、持久運動時の心拍出量を大きく変えずに心筋のエネルギー効率を改善しうるため、長時間の高強度運動における疲労耐性やリカバリー向上に寄与すると考えられています。 ラットの水泳試験では、トリメタジジン投与群の「限界まで泳げる時間」が約14分から約34分まで延び、トレーニング併用群では約74分まで伸びたとする報告もあります。 数字だけ見ると約2〜5倍の持久時間延長であり、アスリートにとっては試合1本分の差になり得るインパクトです。 結論は「心筋の省エネ」と「疲労耐性向上」です。 dshs-koeln(https://www.dshs-koeln.de/institut-fuer-biochemie/doping-substanzen/doping-lexikon/t/trimetazidine-and-doping/)
一方で、トリメタジジンは狭心症に対する第一選択薬ではなく、欧州医薬品庁(EMA)は、既存治療で十分な効果が得られない、あるいは不耐性の患者に限定した追加治療薬としての使用を推奨しています。 また、耳鳴りやめまいなどでの使用は利益よりリスクが大きいとして、適応外使用を避けるべきとの勧告も出されています。 こうした背景から、心筋代謝改善薬としての「理論上のメリット」と、実臨床での位置づけにはギャップがあることを理解しておく必要があります。 ギャップが基本です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%B8%E3%83%B3)
この節の内容をより詳しく確認したい場合は、代謝調節薬としての作用機序と心筋エネルギー代謝の解説がまとまっている以下の解説記事が参考になります。
トリメタジジン ドーピング 効果とWADA禁止指定・検出期間
トリメタジジンは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって2014年から禁止物質リストに収載され、当初は興奮剤区分(S6)に、その後「代謝調節薬(S4.5.3)」として再分類されています。 この変更により、競技会期間中のみならず、トレーニング期間(競技会外)での使用も禁止される「常時禁止」の扱いとなりました。 つまり、処方のタイミングを問わず検出されれば違反です。 cen.acs(https://cen.acs.org/analytical-chemistry/forensic-science/trimetazidine-banned-Olympic-competition/100/web/2022/02)
実際、2014年ソチ冬季五輪でトリメタジジンによる陽性例が報告されたほか、その後も国際大会で複数のアスリートにおいて陽性事例が蓄積しており、2022年の北京五輪でもフィギュアスケート選手の事例が大きく報道されました。 こうした事例では、メダル剥奪や数年単位の出場停止に加え、スポンサー契約解除など金銭面の損失も数百万円から数千万円規模に達することが少なくありません。 医療従事者が安易に処方し、ドーピングリスクを説明しなかった場合、訴訟や信用失墜など法的・職業的なダメージも想定されます。 ドーピング説明の記録だけ覚えておけばOKです。 nikkansports(https://www.nikkansports.com/olympic/beijing2022/figure_skating/news/202202100000440.html)
WADAコードと禁止物質リストの最新版は、原本(英語)を定期的に確認する必要があります。
WADA Prohibited List(世界アンチ・ドーピング機構 禁止表国際基準)
トリメタジジン ドーピング 効果と臨床試験・パフォーマンス向上の実際
ヒトの心疾患患者を対象とした臨床試験では、狭心症発作の頻度減少や運動耐容能の改善、運動負荷試験でのST低下までの時間延長などが報告されており、「軽い丘を越える距離」が延びる程度の機能改善が示されています。 しかし、健常アスリートを対象としたプラセボ対照試験は限られ、実際の競技成績(記録)にどこまで寄与するかは、まだ十分にエビデンスが整理されていません。 ここが現場のモヤモヤの源です。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067270)
それでもWADAが禁止指定に踏み切った背景には、
・心筋代謝改善という作用機序上、持久力系競技での潜在的アドバンテージが大きいこと
・一部の国や競技で乱用傾向が見られたこと
・他の代謝調節薬(メルドニウムなど)と同様の「不公平な優位性」を与え得ること
などが挙げられています。 結論は「効果のポテンシャルが高く、乱用リスクもある」という評価です。 cen.acs(https://cen.acs.org/analytical-chemistry/forensic-science/trimetazidine-banned-Olympic-competition/100/web/2022/02)
心疾患患者での臨床試験データと、アスリートに対する影響をまとめて確認したい場合、以下の資料が参考になります。
Trimetazidine and Doping(ドイツ・スポーツ大学ケルンの解説)
トリメタジジン ドーピング 効果と安全性・禁忌(パーキンソン症状・腎機能障害など)
トリメタジジンは、心筋代謝改善薬としては比較的古い薬剤である一方、近年になってパーキンソン病様症状や振戦、むずむず脚症候群などの運動障害を誘発・増悪しうることが明らかになり、欧州医薬品庁や各国当局から警告が出されています。 治療中止後4か月以内に多くの患者で症状改善が見られたことから、薬剤性パーキンソニズムとして注意喚起されています。 つまり可逆性だが見逃しやすい副作用です。 ccfdie(https://www.ccfdie.org/zryyxxwjp/cfdazsjg/yppjzx/webinfo/2017/01/1485778138797907.htm)
禁忌または慎重投与とされるのは、パーキンソン病やパーキンソン症候群、振戦、むずむず脚症候群など運動障害のある患者、さらにクレアチニンクリアランス30 mL/min未満など重度腎機能障害を有する患者です。 加齢とともに腎機能が低下しやすい高齢患者では、体格が同じでも若年者の半分以下のクリアランスしかないケースも珍しくなく、同じ3 mg錠でも実質的な曝露量が2倍以上になる可能性があります。 高齢の元アスリートでは、心疾患と競技歴が重なりうる点もポイントです。 weblio(https://www.weblio.jp/content/Trimetazidine)
また、EMAは耳鳴りやめまい、視力障害などに対してトリメタジジンを処方しないよう勧告しており、従来行われてきた「耳鳴り薬」としての使用は、利益よりリスクが上回ると判断されています。 日本を含む一部地域でも、虚血性心疾患に対する追加療法としての使用に限定し、それ以外の適応外使用を控えるよう情報提供がなされています。 適応を絞ることが原則です。 ccfdie(https://www.ccfdie.org/zryyxxwjp/cfdazsjg/yppjzx/webinfo/2017/01/1485778138797907.htm)
医療従事者の実務としては、
・高齢患者や腎機能低下患者への投与前にeGFRやCrClを確認する
・パーキンソン病や振戦、むずむず脚症候群の既往・症状を問診する
・耳鳴りやめまい、非典型的な適応への使用は避ける
・新たな運動症状出現時には、トリメタジジンによる薬剤性パーキンソニズムを疑い、中止を検討する
といったステップでリスクを下げることができます。 これに注意すれば大丈夫です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%B8%E3%83%B3)
安全性や禁忌情報の詳細は、各国当局の安全性情報および添付文書を確認するのが確実です。
医療用医薬品:バスタレル(トリメタジジン塩酸塩)の添付文書情報
トリメタジジン ドーピング 効果と医療従事者の説明・処方判断のポイント(独自視点)
医療従事者にとってのトリメタジジンの難しさは、「心疾患治療薬」と「ドーピング薬」という二つの顔を持ち、患者背景によって全く異なる意味を持つ点にあります。 同じ3 mg錠でも、70歳の狭心症患者では運動耐容能とQOLの改善につながり得る一方、20代のトップアスリートでは4年の資格停止と莫大な損失につながる可能性があります。 つまり「誰に処方するか」で薬の意味が180度変わる薬です。 dshs-koeln(https://www.dshs-koeln.de/institut-fuer-biochemie/doping-substanzen/doping-lexikon/t/trimetazidine-and-doping/)
そこで実務上役立つのが、「競技者チェックリスト」をカルテに組み込む発想です。
・患者が競技スポーツに関わっているか(本人・指導者を含む)
・競技レベル(国際、全国、地域、学生トップなど)
・アンチ・ドーピング規則の適用対象かどうか
・チームドクターやスポーツドクターが別にいるか
を受診時に簡易チェックし、「対象の可能性あり」と判断した場合は、トリメタジジンなど禁止物質の処方を原則避ける、あるいはスポーツドクターと相談する運用を決めておくと、リスクを大きく減らせます。 競技歴の確認が条件です。 cen.acs(https://cen.acs.org/analytical-chemistry/forensic-science/trimetazidine-banned-Olympic-competition/100/web/2022/02)
また、患者説明の場面では、
・トリメタジジンが世界的にドーピング禁止物質であること
・ごく少量でも尿検査で検出され得ること
・陽性となった場合の資格停止期間(通常最長4年)や、メダル剥奪・スポンサー解約などの影響
・TUE(治療目的使用特例)が原則認められていないこと
必要に応じて、院内で「アスリート向け処方チェックサービス」や、「ドーピング相談の窓口」を設けることも検討できます。具体的には、スポーツファーマシストや日本体育協会公認スポーツドクターと連携し、処方前にオンラインで禁止物質を確認する体制を整えると、現場の不安が軽減します。 行動としては「処方前に一度確認する」だけで済むため、負担も比較的少ない運用です。 結論は「仕組みで守る」です。 cen.acs(https://cen.acs.org/analytical-chemistry/forensic-science/trimetazidine-banned-Olympic-competition/100/web/2022/02)
スポーツ現場と医療現場をつなぐ情報として、ドーピング相談体制や医療従事者向けの解説を扱う資料も役立ちます。
このテーマをさらに深掘りしたい場合、どの競技レベルのアスリートを主に診療する場面を想定して情報を整理しましょうか?