プレリキサホル添付文書の用法用量と重大副作用の確認ポイント

プレリキサホル添付文書の用法用量と副作用

中等度以上の腎機能障害では減量検討が必須です。

📋 プレリキサホル添付文書の3つの重要ポイント
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用法用量の厳守

G-CSF製剤投与開始4日目以降、末梢血幹細胞採取の9~12時間前に0.24mg/kgを皮下投与。投与期間は4日間までが目安

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重大な副作用への警戒

ショック、アナフィラキシー、脾腫、脾破裂が重大な副作用として報告されており、特に初回投与時に注意が必要

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腎機能障害時の調整

クレアチニンクリアランス50mL/分以下の中等度以上の腎機能障害患者では血中濃度が上昇し、減量を考慮する必要がある

プレリキサホルの基本情報と添付文書の概要

プレリキサホル(商品名:モゾビル皮下注24mg)は、自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員促進を目的として使用される医薬品です。販売会社はサノフィで、2016年12月に製造販売が承認されました。

本剤はCXCR4ケモカイン受容体拮抗剤に分類されます。造血幹細胞の細胞膜上に発現しているCXCRケモカイン受容体4(CXCR4)に対して拮抗作用を示し、骨髄の間質細胞表面に発現するSDF-1との結合を阻害することで、造血幹細胞を骨髄から末梢血中へ動員する働きがあります。この独特な作用機序により、従来のG-CSF製剤単独では十分な幹細胞動員が得られない症例においても、効果的な幹細胞採取を可能にしています。

添付文書では効能効果として「自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員促進」と明記されています。対象疾患は多発性骨髄腫および非ホジキンリンパ腫です。本剤は必ずG-CSF製剤との併用で使用することが原則となっており、単独での使用は認められていません。

薬価は1瓶(24mg/1.2mL)あたり592,719円と高額です。

つまり約59万円ということですね。

この高額な薬価のため、使用にあたっては適応患者の選択が非常に重要になります。添付文書の「効能または効果に関連する注意」の項では、臨床成績を熟知し、有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うことが求められています。

KEGGデータベースの医薬品情報ページでは、プレリキサホルの添付文書全文、薬物動態、臨床成績などの詳細情報を確認できます。

プレリキサホルの用法用量と投与タイミングの詳細

プレリキサホルの用法用量は、G-CSF製剤との併用において通常成人にはプレリキサホルとして0.24mg/kgを1日1回、末梢血幹細胞採取終了時まで連日皮下投与することとされています。体重換算による投与量の計算が必要であり、例えば体重60kgの患者では14.4mg(0.24mg/kg×60kg)となります。

投与タイミングについては、添付文書の「用法及び用量に関連する注意」の項で厳密に規定されています。本剤の投与は、G-CSF製剤の投与開始4日目以降、各末梢血幹細胞採取実施の9~12時間前に行うことが必須です。このタイミングは薬物動態に基づいて設定されており、採取時に末梢血中の造血幹細胞濃度が最も高くなるように計算されています。

2024年5月の添付文書改訂により、従来の「G-CSF製剤を4日間連日投与した後」という表現から「G-CSF製剤の投与開始4日目以降」という表現に変更されました。この改訂は投与タイミングの柔軟性を持たせるためですが、基本的にはG-CSF製剤を最低4日間投与してから本剤を使用するという原則は変わっていません。

投与期間については4日間までを目安とすることが明記されています。海外臨床試験では最大7日間投与された症例もありますが、国内では4日間までが推奨されています。効果が不十分な場合でも、むやみに投与期間を延長せず、CD34陽性細胞数の推移を見ながら慎重に判断する必要があります。

皮下注射にのみ使用することが規定されており、静脈内投与や筋肉内投与は認められていません。また、バイアルは1回使い切りとされており、未使用残液は適切に廃棄する必要があります。保存剤を含有していないため、調製後の長時間保存は避けるべきです。

併用するG-CSF製剤の種類や用量については、各製剤の添付文書を熟読することが求められています。国内臨床試験ではフィルグラスチム400μg/m²が使用されましたが、海外試験では10μg/kgが使用されました。

プレリキサホルの重大な副作用と対処法

添付文書の「重大な副作用」の項には、ショック、アナフィラキシー、脾腫、脾破裂の4つが記載されています。これらは頻度不明とされていますが、いずれも生命に関わる可能性がある重篤な副作用です。

ショックとアナフィラキシーは、特に本剤の初回投与時に多く認められています。

これは重要な情報です。

したがって、初回投与時には特に慎重な観察が必要であり、バイタルサインのモニタリング、患者の状態観察を十分に行うことが求められます。過敏症の既往歴がある患者では禁忌となっており、投与前に必ず確認する必要があります。

脾腫と脾破裂は海外市販後において報告されている副作用です。国内外の臨床試験では副作用として報告されていませんでしたが、市販後の使用経験から重大な副作用として追加されました。脾臓の急激な腫大が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。

副作用の早期発見のためには、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により観察を十分に行うことが推奨されています。特に左上腹部痛を訴える患者では、脾破裂の可能性を念頭に置いた対応が必要です。

その他の比較的頻度が高い副作用としては、錯感覚、頭痛、下痢、悪心、注射部位反応、疲労などが報告されています。国内臨床試験では、多発性骨髄腫患者で背部痛が71.4%と高頻度に認められました。背部痛はG-CSF製剤の副作用としても知られていますが、本剤の併用により増強される可能性があります。

白血球増加症にも注意が必要です。本剤投与中は定期的に白血球数をモニタリングし、白血球数が50,000/mm³を超えた場合には本剤投与の可否を慎重に判断する必要があります。また、血小板減少症も報告されており、定期的な血小板数のモニタリングも重要です。

副作用が発現した場合の対処法としては、まず投与を中止することが基本となります。ショックやアナフィラキシーが疑われる場合には、直ちに投与を中止し、適切な救急処置を行います。エピネフリン、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などの準備を事前に整えておくことが推奨されます。

プレリキサホル投与時の腎機能障害患者への対応

腎機能障害患者に対する使用については、添付文書の「特定の背景を有する患者に関する注意」の項で詳細に記載されています。中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/分以下)のある患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があります。

薬物動態試験の結果によると、軽度、中等度、重度の腎機能障害患者における投与量で補正していないAUC0-24hrの健康被験者に対する最小二乗平均の比は、それぞれ106.6%、132.3%、138.8%でした。つまり、中等度腎機能障害では約1.3倍、重度では約1.4倍に血中濃度が上昇します。

これは見逃せない数値ですね。

腎機能障害がある患者では、プレリキサホルの主要な排泄経路である腎排泄が低下するため、血中からの消失が遅延します。投与24時間後までに投与量の約70%が未変化体として尿中に排泄されることから、腎機能が低下すると体内蓄積のリスクが高まります。

このような薬物動態の変化を踏まえ、添付文書では中等度以上の腎機能障害患者に対しては「減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること」と記載されています。具体的な減量の目安は添付文書には明記されていませんが、海外では体重換算用量を調整する方法が検討されています。

腎機能の評価にはクレアチニンクリアランス(CLcr)を用いることが推奨されています。CLcrは血清クレアチニン値、年齢、体重から算出できますが、正確な評価のためには実測値を用いることが理想的です。Cockcroft-Gault式などを用いた推算値でも評価可能ですが、高齢者や体格の小さい患者では過大評価される可能性があります。

腎機能障害患者では副作用の発現リスクも高まる可能性があります。特に、錯感覚、頭痛、消化器症状などの副作用に注意し、定期的なバイタルサイン測定、血液検査を実施することが重要です。万が一重篤な副作用が発現した場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。

PMDA審議結果報告書では、腎機能障害患者における本剤の用量調節の妥当性について詳しく議論されており、参考になります。

プレリキサホルの禁忌事項と特定患者への注意

添付文書の「禁忌」の項には、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、および妊婦または妊娠している可能性のある女性の2点が記載されています。これらの患者には絶対に投与してはいけません。

過敏症の既往については、初回投与前に必ず患者に確認する必要があります。本剤に含まれる有効成分プレリキサホルだけでなく、添加物に対する過敏症も含まれます。

アレルギー歴の詳細な聴取が重要です。

妊婦への投与が禁忌とされている理由は、動物実験(ラット及びウサギ)において催奇形性が認められているためです。

これは極めて重要な情報です。

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中および最終投与後1週間は避妊する必要性と適切な避妊法について説明することが必須となっています。

授乳婦については絶対禁忌ではありませんが、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討することとされています。本剤の乳汁中への移行は検討されていないため、授乳中の場合は慎重な判断が求められます。

小児等に関しては、臨床試験が実施されていないため、使用経験がありません。したがって、小児への投与は推奨されておらず、やむを得ず使用する場合には十分な注意が必要です。

高齢者については、一般に生理機能が低下していることから、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与することとされています。高齢者では腎機能が低下している場合も多く、血中濃度が上昇する可能性があるため、より綿密なモニタリングが求められます。

その他の注意事項として、海外の製造販売後において本剤とG-CSF製剤を投与した急性骨髄性白血病患者及び多発性骨髄腫患者で、循環血中の腫瘍細胞の増加が認められたとの報告があります。これは本剤が造血幹細胞だけでなく、腫瘍細胞も末梢血中に動員する可能性を示唆しています。

本剤は造血幹細胞移植について十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用することが必須とされています。つまり、本剤の使用は専門施設に限定されるということですね。適切な患者選択、投与管理、副作用対応ができる体制が整った施設でのみ使用すべきです。

相互作用については、添付文書上特に記載はありませんが、G-CSF製剤との併用が前提であるため、併用薬剤の添付文書を熟読し、相互作用の可能性を確認することが推奨されています。