アデホビル作用機序とHBV複製阻害の詳細解説

アデホビル作用機序とHBV複製阻害

アデホビル二リン酸の細胞内半減期は肝細胞で40時間もあります。

この記事の3つのポイント
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アデホビルの代謝とリン酸化

細胞内で二リン酸体に変換され、HBV-DNAポリメラーゼを選択的に阻害します

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ラミブジン耐性ウイルスへの効果

逆転写酵素の変異株にも有効で、耐性ウイルスの複製を阻止できます

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長い細胞内半減期の臨床的意義

肝細胞内で40時間持続し、1日1回投与を可能にする薬物動態特性を持ちます

アデホビルの細胞内リン酸化過程

 

アデホビルピボキシルは経口投与後、消化管から速やかに吸収され、エステラーゼによってアデホビルに変換されます。この変換は投与後すぐに起こり、血漿中にはアデホビルとして検出されるのが特徴です。image.packageinsert+1

アデホビルが肝細胞内に取り込まれると、細胞内の酵素によって段階的にリン酸化されます。まず一リン酸体に変換され、最終的にアデホビル二リン酸という活性型になります。この二リン酸体がB型肝炎ウイルス(HBV)に対する実際の抗ウイルス作用を発揮するのです。

参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=6250026F1020

アデホビル二リン酸はHBV-DNAポリメラーゼを選択的に阻害します。Ki値は0.1μmol/Lという非常に低い値を示し、これは高い選択性を意味しています。つまり効率的にウイルス酵素を阻害できるということですね。image.packageinsert+1

投与後約1時間で血漿中濃度が最高値(Cmax)に達し、その後約8時間の血漿中消失半減期で減少していきます。投与24時間後には血漿中からほぼ消失する薬物動態パターンを示します。

参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?yjcode=6250026F1020

アデホビルのHBV-DNA複製阻害機序

アデホビル二リン酸の作用メカニズムは、ヌクレオシド類似体としてウイルスDNAの合成を妨げることです。HBV-DNAポリメラーゼは、ウイルスの遺伝情報を複製するために必要な逆転写酵素ですが、アデホビル二リン酸はこの酵素の働きを選択的に阻害します。image.packageinsert+1

具体的には、アデホビル二リン酸がウイルスDNA鎖に取り込まれると、それ以上のDNA鎖延長が止まります。これはDNAチェーンターミネーター効果と呼ばれる現象です。結果としてウイルスの複製サイクルが中断され、新しいウイルス粒子の産生が抑制されます。

ラミブジンも同様にHBV-DNAポリメラーゼを標的とする薬剤ですが、長期使用により逆転写酵素に変異が生じ、薬効を失うことがあります。しかしアデホビルはラミブジン耐性となった逆転写酵素にも効果を示すのが大きな利点です。

参考)アデホビル – Wikipedia

DHBV(アヒルB型肝炎ウイルス)感染肝細胞を用いた実験では、アデホビルとラミブジンを併用すると、ウイルス濃度が相乗的に低下することが確認されています。

併用療法が有効な選択肢ということですね。

参考)https://www.wam.go.jp/wamappl/bb11gs20.nsf/0/49256fe9001b533f49256f250004cb82/$FILE/siryou4,5.pdf

アデホビル二リン酸の細胞内半減期と臨床的意義

アデホビル二リン酸の細胞内半減期は、血漿中半減期とは大きく異なります。T リンパ球由来のMT-4細胞を用いた試験では、アデホビル二リン酸の細胞内半減期が16~18時間と長いことが示されました。

参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2004/P200400023/34027800_21600AMY00132_B104_01.pdf

さらに重要なのは、肝細胞由来のHep-G2細胞での検討結果です。この細胞系では、アデホビル二リン酸の細胞内半減期が40時間にも及ぶことが確認されています。この値はMT-4細胞の2倍以上に相当します。

40時間という長い細胞内半減期は、臨床的に大きな意味を持ちます。血漿中からアデホビルが消失した後も、肝細胞内では活性型のアデホビル二リン酸が長時間維持されるからです。これにより1日1回の投与で十分な抗ウイルス効果が得られます。

肝細胞は実際にHBVが感染・複製する標的臓器であり、そこでの長い半減期は持続的なウイルス複製抑制を可能にします。患者のアドヒアランス向上にもつながる薬物動態特性です。

アデホビルの腎排泄経路と相互作用リスク

アデホビルは主に腎臓から排泄される薬剤です。糸球体ろ過に加えて、尿細管分泌が排泄の主要経路となっています。この尿細管分泌は、ヒト有機アニオントランスポーター1(hOAT1)という輸送体を介して行われます。

hOAT1を介して排泄される他の薬剤と併用すると、腎排泄が競合的に阻害される可能性があります。その結果、アデホビルの血漿中濃度が上昇し、腎毒性などの副作用リスクが高まる恐れがあります。

ラットにアデホビルピボキシルを投与した動物実験では、腎臓、肝臓、腸といった組織に高濃度で分布することが確認されています。特に腎臓での蓄積は、この臓器が主要な排泄経路であることを反映しています。

腎機能が低下している患者では、アデホビルのクリアランスが低下し、血漿中濃度が上昇します。そのため腎機能障害患者では投与量調整が必要です。クレアチニンクリアランス値に応じた用量設定が推奨されています。

アデホビルとラミブジン耐性ウイルスへの対応

ラミブジンは広く使用されているHBV治療薬ですが、長期投与により耐性ウイルスが出現する問題があります。耐性化の原因は、HBV-DNAポリメラーゼ遺伝子の特定部位に変異が生じることです。

代表的な変異パターンには、rtM204I/VやrtL180Mなどがあります。これらの変異により、ラミブジンがポリメラーゼに結合しにくくなり、薬効が失われます。ラミブジン投与患者の約70%が5年以内に耐性ウイルスを獲得するという報告もあります。

アデホビルは、このようなラミブジン耐性ウイルスに対しても有効性を維持します。アデホビルとラミブジンでは、ポリメラーゼへの結合様式が異なるためです。ラミブジン耐性変異があっても、アデホビルの結合部位は影響を受けません。

ラミブジン治療中に耐性ウイルスが出現した場合、アデホビルへの切り替えまたは追加投与が治療選択肢となります。併用療法では相乗効果も期待できることから、耐性対策として重要な位置づけです。

アデホビルの組織分布と標的臓器への到達

アデホビルの薬物動態において、標的臓器である肝臓への分布は治療効果を決定する重要な要素です。動物実験のデータでは、肝臓がアデホビルの主要な分布組織の一つであることが示されています。

経口投与されたアデホビルピボキシルは、エステラーゼによる速やかな代謝を受けてアデホビルに変換されます。このアデホビルが肝細胞に取り込まれ、細胞内でリン酸化されることで、実際の抗ウイルス活性を発揮する活性型に変わります。

肝細胞内でのアデホビル二リン酸の半減期が40時間と長いことは、すでに述べました。この特性により、血漿中濃度が低下した後も、肝細胞内では十分な濃度の活性型薬物が維持されます。

これが1日1回投与を可能にする根拠です。

B型慢性肝炎患者とB型肝硬変患者で薬物動態を比較した試験では、両群で同様のパラメータが得られています。肝硬変という進行した肝疾患でも、アデホビルの薬物動態に大きな変化がないということですね。

これは臨床使用において安心できる情報です。




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