カボテグラビル リルピビリン併用の作用機序と臨床的位置づけ
投与予定日の7日後までに投与できないと錠剤への切り替えが必要です。
カボテグラビルの作用機序とINSTI分類での特徴
カボテグラビル(商品名:ボカブリア)は、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)に分類される抗ウイルス剤です。HIVインテグラーゼの活性部位に結合し、ウイルスDNAのヒト免疫細胞DNAへの組み込みを抑制する働きがあります。
参考)HIV感染症の新薬!「カボテグラビル」「リルピビリン」を解説…
INSTIクラスの中でも、カボテグラビルは筋肉内注射による持効性製剤として開発された点が特徴的です。投与間隔は1ヵ月または2ヵ月に設定されています。pins.japic.or+1
投与量は、1ヵ月間隔投与の場合、初回600mgを臀部筋肉内に投与し、以降は400mgを1ヵ月に1回投与します。2ヵ月間隔投与では、初回と2回目に600mgを投与し、以降は600mgを2ヵ月に1回投与する形式です。pmda+1
リルピビリンのNNRTI分類と逆転写酵素阻害効果
リルピビリン(商品名:リカムビス)は、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)に分類される抗ウイルス剤です。逆転写酵素を阻害し、ウイルスの複製を抑制します。
リルピビリンもカボテグラビルと同様に、持効性の筋肉内注射剤として製剤化されています。これによりカボテグラビルとの併用で、完全な注射レジメンが実現されました。
参考)https://www.hiv-practiceupdates.jp/conference/AIDS2022/AIDS2022_day05_news06.html
投与方法は、1ヵ月間隔投与の場合、初回900mg、2回目以降は600mgを1ヵ月に1回臀部筋肉内に投与します。2ヵ月間隔投与では、初回900mg、2回目は1ヵ月後に900mg、以降は900mgを2ヵ月に1回投与します。
カボテグラビル リルピビリン併用療法の臨床試験成績
臨床試験では、カボテグラビルおよびリルピビリンによる持効性注射レジメンは、臨床的有効性が高く、スタディ実施期間を通じてウイルス学的失敗率が低いことが示されました。
参考)ヴィーブヘルスケア、ボカブリア (カボテグラビル)およびリカ…
ATLAS試験とFLIX試験では、リルピビリンとカボテグラビルの併用投与群(RPV+CAB群)に308例、現行のレジメンを継続する群(継続投与群)に308例が割り付けられました。RPV+CAB群に割り付けられた被験者には、リルピビリン経口剤25mgとカボテグラビル経口剤30mgを1日1回、少なくとも4週間併用経口投与した後、注射剤に切り替えられました。pmda+1
別の臨床試験では、1ヵ月間隔投与群に523例、2ヵ月間隔投与群に522例が割り付けられました。2ヵ月間隔投与群のウイルス学的失敗例(8例)において、ベースライン時に5例がリルピビリン耐性関連変異を有していました。image.packageinsert+1
カボテグラビル リルピビリン療法の適応患者条件
カボテグラビル注射剤とリルピビリン注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られている患者が対象です。
さらに、カボテグラビルおよびリルピビリンに対する耐性関連変異を持たないことが条件となります。カボテグラビルおよびリルピビリンの禁忌または併用禁忌がないことも確認が必要です。
参考)ボカブリア+リカムビス
適応外となる患者として、これらの薬剤にアレルギーがある場合は使用できません。アレルギー反応が生じた場合、カボテグラビルおよびリルピビリン注射が永久的に中断される可能性があります。
参考)카보테그라비르 및 릴피비린 사용, 부작용 및 경고 – …
カボテグラビル リルピビリン治療における経口導入期の重要性
注射治療を開始する前に、まず経口剤による導入期が設けられています。これは忍容性を確認するための重要なステップです。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000246454.pdf
経口導入期では、カボテグラビル錠30mgとリルピビリン錠25mgをそれぞれ1日1回、1ヵ月間(少なくとも28日間)を目安に服用します。服用は食事中または食直後に決まった時間帯に行う必要があります。viivexchange+1
初回の注射投与は、カボテグラビル錠とリルピビリン錠の投与最終日と同日に行います。つまり経口剤の最終服用日に、注射剤の初回投与を実施するということです。
この経口導入期を設けることで、注射治療開始前に副作用や忍容性の問題を早期に発見できます。適切に管理することで、注射治療への円滑な移行が可能になります。
カボテグラビル リルピビリン投与における副作用と安全性管理
カボテグラビル リルピビリン注射時の局所反応と管理
注射部位反応は、この治療で最も頻度の高い副作用です。10%以上の患者で注射部位の疼痛、結節、硬結が報告されています。
1~10%未満の頻度で、注射部位の不快感、腫脹、紅斑、そう痒感、内出血、熱感、血腫、知覚消失などが生じます。これらは注射という投与経路の特性上、避けられない反応といえます。
注射後数分以内に発生する可能性がある副作用として、不安感、温感、頭のふらつき、発汗、腹痛、口の麻痺などがあります。これらの症状に気づいた場合は、すぐに医療スタッフに伝える必要があります。
重症例として、薬物関連の重篤な有害事象として壊死を伴う注射部位紅斑が報告された事例もあります。注射部位の観察と適切なアセスメントが不可欠です。
参考)ヴィーブヘルスケア、投与間隔が4カ月以上のカボテグラビル超長…
カボテグラビル リルピビリン投与における全身性副作用
全身性の副作用として、1~10%未満の頻度で不安、異常な夢、不眠症、頭痛、浮動性めまいが報告されています。
消化器症状では、悪心や下痢が同程度の頻度で生じます。その他、発疹、筋肉痛、発熱、疲労、無力症、倦怠感などが報告されています。
重要な副作用として、心電図QT延長が報告されています。リルピビリンはQT延長のリスクがあるため、QT延長症候群等の患者では不整脈が発現するおそれがあります。pins.japic+1
その他の検査値異常として、リパーゼ増加や血中クレアチンホスホキナーゼ増加も報告されています。
定期的な検査値モニタリングが必要です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00002764.pdf
カボテグラビル リルピビリン療法のアレルギー反応リスク
アレルギー反応は、カボテグラビルとリルピビリンの使用において注意すべき重篤な副作用です。アレルギー反応の徴候には、蕁麻疹、発熱、疲労、体の痛み、体調不良などがあります。
口腔内の炎症や水疱、目の充血や腫脹も警戒すべき症状です。さらに呼吸困難、顔・口唇・舌・喉の腫脹といった症状が出現した場合は、直ちに医療対応が必要です。
アレルギー反応が生じた場合、カボテグラビルおよびリルピビリン注射が永久的に中断される可能性があります。患者の既往歴を十分に確認し、初回投与時は特に注意深い観察が求められます。
カボテグラビル リルピビリン投与スケジュール遵守の重要性
投与スケジュールの遵守は、治療効果を維持する上で極めて重要です。予定通りに来院できない場合は、必ず病院へ連絡し治療予定を相談する必要があります。
投与予定日の7日後までに投与できない場合は、錠剤への切り替えが必要になります。これは血中濃度が低下し、ウイルス量を抑制する効果が弱まるためです。longacting+1
カボテグラビルとリルピビリンは、注射した後、時間が経過するにつれて体の中から減っていきます。体の中の薬剤濃度が低くなると、ウイルス学的失敗のリスクが高まります。
参考)よくある質問 | ボカブリア+リカムビス®による治療を受けて…
スケジュール管理の失敗は、耐性獲得のリスクにもつながります。医療従事者は、患者が投与スケジュールを理解し、確実に来院できるようサポート体制を整える必要があります。
カボテグラビル リルピビリン療法の薬物相互作用
多くの薬剤がカボテグラビルおよびリルピビリンと相互作用し、危険な影響を及ぼす可能性があります。一部の薬剤は、これらと併用してはいけません。
併用により血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱する可能性がある薬剤があります。逆に、本剤の血中濃度が上昇し、副作用が出現する可能性がある薬剤も存在します。
併用薬の効果が低下する可能性もあるため、併用注意薬のリストを確認することが重要です。感染症治療薬、天候治療薬、心疾患治療薬、高血圧治療薬、抗うつ薬、精神疾患治療薬、がん治療薬、マラリア治療薬などとの併用時は特に注意が必要です。drugslib+1
リルピビリン錠を服用中は制酸剤が併用注意となり、カボテグラビル錠およびリルピビリン錠を服用中は制酸剤が併用注意となります。
経口導入期の薬剤管理も重要です。
参考)https://viivexchange.com/content/dam/cf-viiv/viivexchange/ja_JP/cabenuva/pdf/tool-5.pdf
国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターの薬剤リストページでは、リカムビスの併用禁忌・注意薬の詳細情報が確認できます