エトラビリン販売中止理由と代替薬選択、切り替え注意点

エトラビリン販売中止理由と代替薬

エトラビリン服用中でも代替薬への切り替えなしで治療継続できる患者がいる

この記事の3ポイント
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販売中止の時期と経緯

エトラビリン(インテレンス錠)は2024年3月31日に経過措置期限満了により国内販売が正式に中止されました

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代替薬の選択肢

第2世代NNRTIのリルピビリンやドラビリン、INSTI系薬剤への切り替えが推奨され、耐性パターンに応じた選択が必要です

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耐性患者への対応

第1世代NNRTI耐性患者でエトラビリンが有効だったケースでは、交差耐性を考慮した慎重な代替薬選定が求められます

エトラビリン販売中止の背景

 

エトラビリン(商品名:インテレンス錠100mg)は、ヤンセンファーマ株式会社が製造販売していた非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)です。2023年11月に経過措置医薬品として告示され、2024年3月31日をもって経過措置期限が満了し、国内での販売が正式に中止されました。shirasagi-hp+1

この販売中止は、同時期にアタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)などの他の抗HIV薬も同様の措置を受けており、医薬品市場の再編や需要動向の変化が背景にあると考えられます。pfizermedicalinformation+1

つまり個別の有害事象が原因ではありません。

エトラビリンは第2世代NNRTIとして、第1世代のエファビレンツ(EFV)やネビラピン(NVP)に対する耐性を獲得した患者に対しても有効性を示す薬剤でした。K103N変異やY188C変異など、第1世代NNRTIに影響を及ぼす主要な変異の存在下でも活性を保持する特徴があったため、治療選択肢として重要な位置を占めていました。hiv-practiceupdates+1

販売中止により、これまでエトラビリンで良好なウイルス学的コントロールを得ていた患者の治療継続が課題となります。

エトラビリン代替薬の選択肢

エトラビリンの代替薬として、まず同じ第2世代NNRTIであるリルピビリン(RPV、商品名:エジュラント)が挙げられます。リルピビリンはエトラビリンと同様に柔軟な化学構造を持ち、変異があってもNNRTI結合ポケット内部で結合できる特性を有しています。kansen-ph+2

リルピビリンは単剤使用のほか、テノホビル/エムトリシタビンとの配合剤(オデフシィ、コムプレラ)としても利用可能です。

参考)https://kansen-ph.com/antiretroviral/

これは1日1回の服用で済むため服薬アドヒアランスの向上が期待できます。

もう一つの第2世代NNRTI代替薬として、ドラビリン(DOR、商品名:ピフェルトロ)があります。ドラビリンは2025年7月に国内で承認された比較的新しい薬剤で、通常5つ以上のNNRTI耐性関連変異(RAM)が必要になるまで感受性を保持する特徴があります。Y188L変異に対しては感受性低下が報告されているため、耐性パターンの確認が必要です。msd+2

NNRTI以外の選択肢として、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)ベースのレジメンへの切り替えも推奨されます。ビクタルビ(BIC/TAF/FTC)、トリーメク(DTG/ABC/3TC)、ドウベイト(DTG/3TC)などが初回治療でも推奨される組み合わせとされています。

参考)https://www.hok-hiv.com/for-medic/download/manual_202103/03.pdf?v=20221227

これらは耐性バリアが高く、長期的なウイルス学的抑制が期待できます。

エトラビリン耐性患者の治療選択

エトラビリンで治療中の患者が耐性を獲得している場合、代替薬選択には特に慎重な検討が必要です。エトラビリンへの耐性は、複数のNNRTI耐性関連変異の蓄積により生じることが知られています。

参考)https://www.hiv-practiceupdates.jp/education/edu004/edu05.html

特にY181C変異はエトラビリンの活性に影響を及ぼす数少ない変異の一つです。

Y181C変異がある場合は注意が必要です。

E138K変異はリルピビリン、エトラビリン、ネビラピン、エファビレンツに対する感受性を約2〜5倍低下させます。さらにNRTI耐性関連変異であるM184Iと共存すると、リルピビリンに対する感受性が最大5倍低下し、ウイルス学的失敗を引き起こす可能性が高まります。

このような耐性パターンを持つ患者では、NNRTIクラスからINSTI系薬剤へのクラス変更が推奨されます。

ドルテグラビル(DTG)やビクテグラビル(BIC)などの第2世代INSTIは、NNRTI耐性とは交差耐性がなく、高い耐性バリアを持つため、治療歴のある患者にも有効です。プロテアーゼ阻害薬(PI)ベースのレジメンとして、ダルナビル/コビシスタット/テノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン(シムツーザ)も選択肢となります。

ダルナビルは耐性バリアが高く、多剤耐性患者にも有効性を示します。

エトラビリン切り替え時の注意点

エトラビリンから代替薬への切り替えには、段階的かつ慎重なアプローチが求められます。急激な薬剤変更はウイルス学的リバウンドのリスクを高めるため、新しいレジメンの導入と同時または直前にエトラビリンを中止する方法が一般的です。

参考)ビペリデン代替薬選択と安全な切り替え方法

切り替え前には必ず薬剤耐性検査を実施し、現在のウイルスの耐性パターンを把握することが推奨されます。

これは最適な代替薬選択の基盤となります。

リルピビリンへ切り替える場合、E138K変異やM184I変異の有無を確認する必要があります。これらの変異が存在する場合、リルピビリンの有効性が低下する可能性があるため、INSTI系薬剤への切り替えを検討すべきです。

切り替え後は少なくとも4週間の観察期間を設け、ウイルス量(HIV-RNA)の測定とCD4陽性Tリンパ球数のモニタリングを行います。ウイルス学的失敗の早期発見には、切り替え後2〜4週間でのウイルス量測定が有用です。

副作用プロファイルの違いにも注意が必要です。エトラビリンから第2世代INSTIへ切り替える場合、体重増加や不眠、頭痛などの副作用が新たに出現する可能性があります。

患者への十分な説明と同意取得が不可欠です。

エトラビリン併用薬の相互作用確認

エトラビリンは多くの薬剤との相互作用が報告されており、代替薬への切り替え時には併用薬の見直しが重要になります。エトラビリンはCYP3A4、CYP2C9、CYP2C19を誘導する作用があるため、これらの酵素で代謝される薬剤の血中濃度を低下させる可能性がありました。aska-pharma+1

代替薬のリルピビリンやドラビリンは、エトラビリンとは異なる薬物動態プロファイルを持ちます。

つまり併用薬の調整が必要になることがあります。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬との併用には特に注意が必要です。リルピビリンは胃酸の存在下で吸収が促進されるため、PPIとの併用は禁忌とされています。エトラビリンからリルピビリンへ切り替える際、PPI服用中の患者では胃酸分泌抑制薬の変更または中止を検討する必要があります。

参考)エジュラント錠25mgの添付文書

抗不整脈薬抗てんかん薬免疫抑制薬など、治療域の狭い薬剤を併用している患者では、代替薬導入後の血中濃度モニタリングが推奨されます。特にカルバマゼピンフェノバルビタールフェニトインなどの強力なCYP誘導薬は、多くの抗HIV薬の血中濃度を低下させるため、併用を避けるか代替薬を検討すべきです。

参考)https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/news/filedownload.php?name=8dd4a2ed9387cbec827edc9dc1a96118.pdf

B型肝炎ウイルス(HBV)との重複感染患者では、抗HIV薬の選択がHBV治療にも影響します。テノホビル(TDF、TAF)やエムトリシタビン(FTC)、ラミブジン(3TC)は抗HBV活性を持つため、これらを含む配合剤への切り替えは両ウイルスのコントロールに有利です。

国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター – エトラビリンの薬剤情報と併用禁忌・注意薬リスト

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