抗インフルエンザウイルス薬妊婦への投与と安全性リスク管理

抗インフルエンザウイルス薬妊婦投与の適応判断

ファビピラビルは妊婦への投与が絶対禁忌です。

この記事のポイント
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妊婦への抗インフルエンザ薬投与の原則

妊婦はインフルエンザ重症化リスクが高く、発症後48時間以内の投与が推奨される

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薬剤選択の安全性

タミフルは4万人以上の使用実績があり、妊娠初期でも先天異常の増加は認められていない

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禁忌薬剤への注意

ファビピラビルは催奇形性があり妊婦への投与は絶対禁忌とされている

抗インフルエンザウイルス薬妊婦への投与が推奨される理由

 

妊婦がインフルエンザに罹患すると、非妊娠時と比較して重症化リスクが著しく上昇します。妊娠週数とともに心肺機能悪化による入院リスクは増加し、妊娠14~20週で1.4倍、妊娠27~31週で2.6倍、妊娠37~42週では4.7倍に達することが報告されています。fpa+1

重症化が進むと肺炎などの合併症を引き起こす可能性があります。

参考)インフルエンザが妊婦と赤ちゃんに及ぼす影響 – 新型出生前診…

発症後48時間以内の抗インフルエンザ薬投与は、重症化予防に有効であることがパンデミック(H1N1)2009時に明らかにされました。このエビデンスに基づき、日本産科婦人科学会は妊婦への抗インフルエンザ薬投与を推奨しています。pharmacist.m3+2

治療開始が遅れることで重症化リスクが高まるため、医療従事者は妊婦からの相談に対して抗インフルエンザ薬の投与を躊躇すべきではありません。妊婦は免疫機能の変化や心肺機能への負荷増大により、インフルエンザウイルスに対する防御能力が低下している状態です。

参考)https://www.jaog.or.jp/sep2012/News/influ/090519.pdf

早期治療介入が母体と胎児双方の安全確保につながります。

抗インフルエンザウイルス薬タミフルの妊婦への安全性データ

タミフル(オセルタミビル)は、妊婦へのインフルエンザ治療において最も使用実績が多い薬剤です。日本では推定4万人以上の妊婦が使用しており、現時点で特段の安全性の懸念は示されていません。hirotsu+3

2010年の調査では、タミフル投与を受けた妊婦490例のうち329例の出生時転帰情報が報告されました。副作用報告があったのは4例であり、出生時転帰情報で有害事象報告があったのは14例で、うちタミフルとの因果関係があるかもしれないとされたのは1例のみでした。

参考)妊娠中のインフルエンザの予防薬は安全なの? – …

妊娠初期の使用についても有害性の上昇は示されていません。

参考)妊娠中のインフルエンザ治療:絶対過敏期・相対過敏期とタミフル…

日本産科婦人科学会の調査では、妊娠第1三半期にオセルタミビルに曝露した156児のうち先天異常がみられたのは2例でした。この割合は一般的な先天異常発生率である約3%と同等であり、タミフル投与による先天異常リスクの増加は認められませんでした。

オセルタミビルはプロドラッグであり、体内で活性体に変換されて全身に行きわたります。妊娠中も通常用量(1日2回75mg)で5日間投与が基本です。米国CDC(疾病対策センター)も妊婦や授乳婦への抗インフルエンザ薬使用を推奨しています。pharmacist.m3+1

多数の観察研究で胎児奇形率の増加は報告されておらず、安全性データが最も充実しています。

抗インフルエンザウイルス薬リレンザ・イナビルの妊婦投与時の特徴

リレンザザナミビル)は吸入薬であり、局所で作用するため母体の全身循環への移行量がごくわずかです。この薬剤特性により、全身への影響が少ないという利点があります。wk-c.sakura.ne+1

リレンザ使用77例では、早産4例(5.2%)、低出生体重児4例(5.2%)等が認められましたが、これらの発生率は自然発生率よりむしろ低率でした。吸入により局所投与されるため、経口薬と比較して胎児への直接的な薬剤曝露が限定的です。

予防投与では1日2回を10日間吸入する方法が用いられます。

イナビルラニナミビル)も吸入薬であり、全身への影響が少ないとされています。治療時は1回吸入のみで完結するため、服薬アドヒアランスの面で優れています。

参考)インフルエンザの予防薬は妊婦でも使える? – W…

妊娠中、授乳中のオセルタミビル、ザナミビルの使用は安全とされていますが、妊娠第1三半期(妊娠初期)に関しては産婦人科と相談検討することが推奨されます。安全性データが多いことから、妊娠中はオセルタミビルが第一選択となることが多いです。

参考)https://medical.kameda.com/general/medical/assets/22.pdf

吸入薬は使用方法の指導が重要となります。

抗インフルエンザウイルス薬の投与タイミングと妊婦の重症化予防

発症後48時間以内の抗インフルエンザ薬投与が、重症化を防ぐのに役立つと考えられています。投与により発熱期間が約1日短縮され、重症化を予防できることが示されています。mhlw+1

抗インフルエンザ薬服用が遅れた妊婦(発症後48時間以降の服用開始)では重症化率が高かったことが報告されています。このため、妊婦であってもインフルエンザ発症が疑われる場合には速やかな治療開始が求められます。

参考)Q6.妊娠中に抗インフルエンザ薬を服用すると胎児に影響ありま…

48時間が原則です。

ただし、重症化リスクが高い患者に対しては、医師の判断で48時間経過後も抗インフルエンザ薬投与が検討されることがあります。妊婦は重症化ハイリスク群に該当するため、発症から時間が経過していても治療対象となる場合があります。nikkei+1

早期診断と早期治療開始が母体と胎児の安全確保に直結するため、医療従事者は妊婦からの発熱や上気道症状の相談に対して、インフルエンザの可能性を積極的に鑑別することが重要です。腎盂炎や虫垂炎等の他疾患との鑑別も必要ですが、上気道症状を認めた場合はインフルエンザを強く疑います。

迅速診断検査の実施と治療開始の判断を遅らせないことが求められます。

抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビルの妊婦への禁忌理由

ファビピラビル(アビガン錠)は催奇形性があることが知られており、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこととされています。動物実験において、初期胚の致死及び催奇形性が確認されているためです。gemmed.ghc-j+1

妊娠する可能性のある女性に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始する必要があります。また、投与期間中及び投与終了後10日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導することが求められます。

参考)エラー

絶対禁忌です。

新型コロナウイルス感染症の治療においてファビピラビルを選択する場合も、妊娠可能性のある女性への投与については慎重な検討が必要です。本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導することが重要です。gemmed.ghc-j+1

医療従事者は妊婦へのインフルエンザ治療において、ファビピラビルを選択肢から除外し、安全性が確立されているオセルタミビルやザナミビルを選択すべきです。催奇形性のリスクを踏まえた適切な薬剤選択が、母児の安全確保において不可欠です。pharmacist.m3+1

治療薬の選択には添付文書の禁忌事項を必ず確認してください。

抗インフルエンザウイルス薬妊婦投与時の服薬指導のポイント

妊婦へのインフルエンザ治療薬投与に際しては、患者の不安を和らげる服薬指導が重要です。妊娠中は服薬をしない方が良いと思われがちですが、インフルエンザの場合は治療介入が母児双方の利益につながることを説明します。

参考)https://pharmacist.m3.com/column/ninpu_kinki/6930

「薬が赤ちゃんに悪影響を与えるのでは」という不安を抱える妊婦は非常に多いです。安全性データを示しながら、治療上の有益性が危険性を上回ることを丁寧に説明することが求められます。jaog.or+1

説明同意が必須です。

タミフルやリレンザの妊婦での使用実績と安全性データを具体的に伝えることで、患者の理解と服薬アドヒアランスが向上します。特にタミフルは4万人以上の使用実績があり、先天異常の増加が認められていないことは重要な情報です。wk-c.sakura.ne+1

授乳中の使用についても、抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した赤ちゃんに有害な副作用の報告はないことを説明します。母親がタミフルあるいはリレンザを2日間以上服用していて、熱が下がっていれば、直接赤ちゃんに接したり、直接授乳できるとされています。

インフルエンザ感染自体による高熱の影響を防ぐため、できるだけ早期の投与が必要であることを強調します。妊婦はアセトアミノフェンぐらいしか解熱剤の使用が限られるため、早めの治療介入が大切です。

栄養バランスの良い食事をとり、体力の低下を防ぐことも併せて指導しましょう。

参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/ninpu_1217_2.pdf

日本産科婦人科学会による妊婦・授乳婦への抗インフルエンザ薬使用に関する公式見解(PDF)では、タミフルとリレンザの投与推奨について詳細に記載されています
厚生労働省による妊娠中・授乳中の方向けインフルエンザ対策ガイド(PDF)には、発症後48時間以内の投与の重要性や予防方法が分かりやすくまとめられています

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