アモロルフィン作用機序とエルゴステロール生合成阻害
アモロルフィンは1回の投与で2箇所を同時攻撃する珍しい薬剤です。
アモロルフィンの基本的作用機序と標的酵素
アモロルフィン塩酸塩は、真菌のエルゴステロール生合成経路上で2つの異なる段階を選択的に阻害します。pins.japic+1
具体的には、Δ14-レダクターゼ反応とΔ8-Δ7-イソメラーゼ反応という2つの酵素反応を同時にブロックすることで、細胞膜の構造と機能を障害します。エルゴステロールは真菌の細胞膜を安定化させるために必須の成分であり、この合成が阻害されると真菌細胞内ではエルゴステロールが枯渇していきます。
つまり二段階阻害が基本です。
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同時に、阻害された酵素の基質(中間産物のフェコステロールなど)が細胞膜や細胞質に蓄積し、これが真菌に対して致命的な打撃を与えます。u-tokyo+1
この二段階同時阻害という作用機序は、エルゴステロール合成阻害剤の中でもアモロルフィンに特有の特徴といえます。
アモロルフィン作用機序と他の抗真菌薬の違い
同じエルゴステロール合成阻害剤でも、作用点と蓄積する中間産物が異なります。
テルビナフィンはスクアレンエポキシダーゼを阻害してスクアレンを蓄積させ、フルコナゾールはラノステロール14α-デメチラーゼを阻害してラノステロールを蓄積させます。一方、アモロルフィンはより下流のΔ14-レダクターゼとΔ8-Δ7-イソメラーゼを阻害し、フェコステロールという中間産物を蓄積させます。
この違いが臨床応用にも影響します。
東京大学の研究によると、カンジダ属に対してアモロルフィンは殺真菌活性を示すのに対し、フルコナゾールとテルビナフィンは静真菌活性(増殖を止めるだけで殺さない)しか持ちません。
殺真菌活性があるということですね。
この特性から、アモロルフィンやテルビナフィンなどのアリルアミン・モルホリン系は主に皮膚、爪、水虫、白癬などの真菌感染に使用され、フルコナゾールなどのアゾール系は髄膜炎や口腔感染症、カンジダ症の治療に広く使用されるという使い分けがなされています。
アモロルフィン作用の抗真菌スペクトルと効果範囲
アモロルフィン塩酸塩は、皮膚糸状菌から酵母類まで幅広い真菌に対して強力な抗真菌作用を示します。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00054184.pdf
具体的には、皮膚糸状菌(Trichophyton属、Microsporum属、Epidermophyton属)、酵母類(Candida属)、黒色真菌(Fonsecaea compactum等)、癜風菌(Malassezia furfur)に対して有効です。Trichophyton属に対しては0.001μg/mLという非常に低い濃度で殺真菌作用を発揮し、Candida albicansに対しては1μg/mLの濃度で殺真菌作用を示します。yakuten-ichiba+1
臨床試験における有効率も高く、足白癬で79.1%(265/335例)、手白癬で83.3%(50/60例)、体部白癬で85.3%(168/197例)、股部白癬で91.9%(136/148例)という成績が報告されています。
ただし、爪白癬に対する外用療法では、6ヶ月間の治療後3ヶ月のフォローアップで完全治癒率は38~46%程度に留まるため、爪白癬には内服療法との併用や長期治療が必要となる場合があります。
アモロルフィン塩酸塩の詳細な作用機序と臨床データ(添付文書PDF)
アモロルフィン作用における細胞膜障害のメカニズム
エルゴステロールの枯渇と異常ステロールの蓄積が二重に細胞膜を攻撃します。
アモロルフィンによるΔ14-レダクターゼとΔ8-Δ7-イソメラーゼの阻害により、真菌細胞内では正常なエルゴステロールの合成が停止します。エルゴステロールは哺乳類細胞のコレステロールに相当する役割を果たしており、細胞膜の流動性や透過性、膜タンパク質の機能維持に不可欠です。kegg+1
この必須成分が枯渇すると同時に、本来は次の段階で代謝されるはずの中間産物(フェコステロールなど)が細胞膜や細胞質に異常蓄積します。wikipedia+1
これらの異常ステロールは細胞膜の物性を変化させ、膜の構造的完全性を損ないます。結果として細胞膜の構造と機能が障害され、真菌細胞の生存が脅かされるということです。
参考)ペキロンクリーム0.5%の効能・副作用|ケアネット医療用医薬…
この二重の作用メカニズムが、アモロルフィンの強力な抗真菌活性の基盤となっています。
アモロルフィン作用の臨床的特徴と使用上の注意点
アモロルフィン塩酸塩は1日1回の外用で効果を発揮する抗真菌薬です。
0.5%クリーム製剤として処方され、足白癬、手白癬、体部白癬、股部白癬、皮膚カンジダ症、癜風などの治療に用いられます。経皮吸収性は極めて低く、健常人を対象とした試験では血清中および尿中のアモロルフィン濃度は検出限界以下であり、全身性の副作用リスクは最小限です。teika-products+1
主な副作用は局所の刺激感、接触皮膚炎、糜爛、疼痛、発赤、そう痒、紅斑などですが、発現頻度は比較的低いです。
アモロルフィン塩酸塩には特定の併用禁忌薬はありませんが、他の外用薬との併用時は塗布する順序や時間間隔に注意が必要です。
これは問題ないですね。
なお、アモロルフィン塩酸塩と同じ成分の市販薬は2025年9月時点で存在しないため、医療機関での処方が必要です。個人輸入代行業者からの購入は副作用救済制度の対象外となるため避けるべきです。
参考)ペキロン®クリーム(アモロルフィン塩酸塩)の代用となる市販薬…
アモロルフィン塩酸塩製剤(ペキロンクリーム)の医薬品情報

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