トルナフタート作用機序と抗真菌作用の特徴

トルナフタート作用機序と抗真菌作用

カンジダには効果がないのに白癬治療で使うんです。

この記事で分かる3つのポイント
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スクアレンエポキシダーゼ阻害機序

真菌細胞膜のエルゴステロール生合成過程を阻害し、選択的な抗真菌作用を発揮する仕組み

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白癬菌への高い殺菌力

最小発育阻止濃度5~25ng/mLで白癬菌・表皮菌・小胞子菌に対し強力な殺菌作用を示す

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カンジダへの無効性

カンジダ・アスペルギルス・細菌には効果がなく、適応疾患の見極めが必要

トルナフタートの作用機序とエルゴステロール生合成阻害

 

トルナフタートは真菌細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロール生合成を阻害するチオカルバメート系抗真菌薬です。その作用点はエルゴステロール生合成経路の初期段階にあり、スクワレンからスクワレン-2,3-エポキシドへの変換を触媒するスクアレンエポキシダーゼという酵素を阻害します。tcichemicals+1

具体的な生合成経路は「アセチルCoA → ヒドロキシメチルグルタニル-CoA → メバロン酸 → スクワレン →(ここを阻害)→ スクワレン-2,3-エポキシド → ラノステロール → エルゴステロール」という流れになっています。

つまり生合成の比較的上流で阻害が起こります。

参考)トルナフタート – Wikipedia

このメカニズムはアリルアミン系やベンジルアミン系の抗真菌薬と同様の作用点ですが、アゾール系抗真菌薬とは異なる段階を標的としています。

作用点が違うということですね。

真菌細胞膜にはエルゴステロールが必須ですが、ヒトの細胞膜ではコレステロールが使われているため、トルナフタートは選択毒性を発揮します。

これが副作用の少なさにつながる理由です。

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エルゴステロール生合成が阻害されると真菌の細胞膜機能が障害され、最終的に殺菌的効果が得られます。pins.japic+1

トルナフタートの白癬菌に対する抗菌力と殺菌作用

トルナフタートは白癬菌、表皮菌、小胞子菌に対して殺菌的に作用し、その最小発育阻止濃度(MIC)は5~25ng/mLという非常に低い値を示します。この濃度は25ng/mLでも0.000025mg/mLに相当し、極めて微量で効果を発揮することを意味します。kegg+1

具体的な菌種別のMIC値を見ると、Trichophyton rubrum(紅色白癬菌)は0.0125μg/mL、T.interdigitale(趾間白癬菌)は0.025μg/mL、Microsporum gypseum(石膏状小胞子菌)は0.0125μg/mL、Epidermophyton inguinale(鼠径表皮菌)は0.005μg/mLと報告されています。これらは白癬(水虫・たむし)の主要な原因菌です。

参考)医療用医薬品 : ハイアラージン (ハイアラージン軟膏2%)

トルナフタートは1965年から「ハイアラージン」という医療用医薬品名で販売されており、イミダゾール系よりも歴史の古い抗真菌薬です。現在では処方箋医薬品だけでなくOTC医薬品としても入手可能です。tourokuhanbaisha+1

白癬菌に対する高い選択性と殺菌作用が特徴ということですね。

臨床現場で白癬治療を行う際は、患部の状態に応じて外用液剤、クリーム剤、軟膏剤、パウダー剤、スプレー剤などの多様な剤形から選択できます。浸潤型には軟膏、趾間型には液剤やパウダーといった使い分けが可能です。

トルナフタートのカンジダ・細菌への無効性と適応範囲

トルナフタートは各種細菌、カンジダ、アスペルギルスには無効であることが明確に報告されています。具体的な試験データでは、Candida albicansに対するMIC値は>500μg/mLと、白癬菌に対する値(0.005~0.025μg/mL)と比較して10万倍以上も高い値を示します。

つまり実用的な濃度では効果がありません。

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この無効性の理由は作用機序に関係しています。カンジダなどの酵母様真菌では、スクアレンエポキシダーゼの構造や生合成経路の調節機構が糸状真菌と異なる可能性が考えられます。白癬菌には効くがカンジダには効かないのです。

参考)https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/T3059

したがって臨床現場では、疾患の鑑別診断が極めて重要になります。白癬とカンジダ症は症状が似ている場合があるため、誤診すると治療が無効となるリスクがあります。

真菌培養や鏡検でカンジダが検出された場合は、イミダゾール系やポリエン系など別系統の抗真菌薬を選択する必要があります。

鑑別が原則です。

トルナフタートは白癬菌以外には効果が乏しいため、現在の臨床では使用頻度が減少傾向にあると指摘されています。より広範な抗真菌スペクトルを持つイミダゾール系抗真菌薬が一選択となるケースが増えています。

参考)トルナフタート(チオカルバメート系)・・・医療用ではハイアラ…

トルナフタートの選択毒性とヒトへの安全性

トルナフタートがヒトに対して比較的安全に使用できる理由は、選択毒性という性質にあります。真菌とヒトは共に真核生物ですが、細胞膜の安定化に使用するステロール分子が異なります。

つまり標的が違うということですね。

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真菌はエルゴステロールを細胞膜に使用するのに対し、ヒトを含む動物はコレステロールを使用します。トルナフタートはエルゴステロール生合成経路のスクアレンエポキシダーゼを阻害しますが、ヒトのコレステロール生合成には影響を及ぼしません。

この選択毒性により、トルナフタートは外用時に重篤な副作用を起こしにくい特徴があります。報告されている副作用は主に局所的なもので、過敏症状、局所刺激、発赤、皮膚炎などが頻度不明または0.1%未満の確率で発生する程度です。

家兎を用いた試験でも、結膜嚢内にトルナフタート2% CMC懸濁液を滴下しても刺激作用は認められなかったという安全性データがあります。

刺激性は低いです。

参考)https://medical.nihon-generic.co.jp/uploadfiles/medicine/HIALA_IF.pdf

ただし、トルナフタートは外用専用であり、眼科用には使用しないことが添付文書で注意喚起されています。適切な使用部位を守ることが安全性確保の条件です。

参考)https://www.carenet.com/drugs/materials/pdf/450064_2659705Q1042_3_03.pdf

トルナフタート処方時の医療従事者向け実践ポイント

医療従事者がトルナフタートを処方・推奨する際には、まず真菌培養や鏡検による原因菌の同定が望ましいです。白癬菌による感染であることを確認できれば、トルナフタートの高い殺菌効果を期待できます。pins.japic+1

患者指導では、カンジダ症や細菌感染には無効であることを説明し、症状が改善しない場合は再受診を促す必要があります。特に間擦部の湿潤病変では、白癬とカンジダ症の鑑別が重要です。

剤形選択のポイントとして、趾間型白癬には液剤やパウダー剤、角化型には軟膏やクリーム剤が適しています。患者の患部状態と好みを考慮した剤形選択が、アドヒアランス向上につながります。

トルナフタートは1965年発売の歴史ある薬剤ですが、現在ではより広域スペクトルのイミダゾール系やアリルアミン系抗真菌薬が主流となっています。それでもスペクトルの狭さが問題ないケースでは選択肢になります。

OTC医薬品としても入手可能なため、薬剤師や登録販売者は、患者が自己判断で使用する際のリスク(カンジダや細菌感染の見落とし)を理解し、適切な受診勧奨を行う必要があります。

医療連携が大切です。

KEGG医薬品データベース – トルナフタートの詳細な薬理作用と臨床データ
Wikipedia – トルナフタートの作用機序と他の抗真菌薬との比較

【第2類医薬品】コザックガード軟膏 15g