ラノコナゾール先発アスタット
先発品のアスタットは1日2回塗布が必要と思われがちですが、実は1日1回で治療効果を発揮します。
ラノコナゾール先発品アスタットの開発経緯と製造元
アスタットは株式会社ツムラと日本農薬株式会社が共同開発したイミダゾール系抗真菌剤です。ジチオラン環とイミダゾール環を化学構造上の特長とするラノコナゾールは、日本で創製された化合物です。maruho+1
1994年9月にクリーム剤と外用液が、1996年6月に軟膏が発売されました。当初はツムラが製造販売していましたが、2009年2月にマルホ株式会社へ製造販売承認が承継されました。
つまり現在の製造販売元はマルホです。
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この承継により、マルホが皮膚科領域での専門性を活かした情報提供や販売活動を担当しています。3剤形を揃えた製品ラインナップは、患者の症状や部位に応じた使い分けを可能にしています。
参考)医療用外用抗真菌剤「アスタット®」の製造販売承認の承継につい…
ラノコナゾール先発品の薬価と後発品との価格比較
先発品アスタットの薬価は、クリーム・軟膏が19.1円/g、外用液が24.2円/mLです。後発品では岩城製薬のラノコナゾールクリームが24.2円/gと、先発品より約5円高い設定になっています。kegg+1
これは一般的なジェネリック医薬品のイメージとは逆の価格設定ですね。
後発品への置換えが進まない先発品として、厚生労働省の資料にもアスタットが掲載されています。Z2区分(後発品置換率が低い先発品の薬価引下げ対象)に該当し、薬価改定で2.00%の引き下げを受けました。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000604679.pdf
患者負担の観点から処方選択する際は、この価格逆転現象を把握しておく必要があります。特に長期投与が予想される角質増殖型白癬では、薬価差が患者の経済的負担に直結するためです。
後発品置換えが進まない先発品の薬価改定に関する公的資料です。
ラノコナゾール先発品の適応症と抗真菌スペクトル
アスタットの適応症は白癬(足白癬、体部白癬など)、カンジダ症(間擦疹、指間びらん症、爪囲炎)、癜風の3つです。エルゴステロール合成阻害作用により、真菌の細胞膜を破壊して抗真菌効果を示します。sokuyaku+2
イミダゾール系抗真菌薬の中でも、広い抗真菌スペクトルを持つのが特徴です。皮膚糸状菌、Candida属、Malassezia属真菌のいずれにも有効で、複数の真菌感染が疑われる症例でも使用できます。h-ohp+1
角質層に長くとどまる性質(高い角質貯留性)があり、1日1回の塗布でも十分な効果を発揮します。血中移行がごくわずかなため、全身的な副作用リスクはほぼありません。この薬物動態特性が、処方しやすさにつながっています。oogaki.or+1
ラノコナゾール先発品の投与期間と中止判断のポイント
足白癬では症状が軽快しても最低1ヶ月は治療継続が基本です。角質増殖型の場合は3ヶ月から半年以上の長期投与が必要になることもあります。
参考)ラノコナゾール(アスタット)|こばとも皮膚科|栄駅(名古屋市…
臨床試験では足白癬およびカンジダ性爪囲炎で4週間、その他の疾患で2週間の投与が標準とされました。pins.japic+2
しかし症状消失後も真菌が角質内に残存している可能性があるため、自己判断での中止は再発リスクを高めます。医師の指示なしに塗布を止めないよう患者指導が重要です。
参考)https://www.iwakiseiyaku.co.jp/dcms_media/other/lccshiori20210601.pdf
再発予防の観点から、皮疹が消えても最低2週間は追加投与を推奨する医師もいます。足白癬の場合、趾間(足の指の間)だけでなく足底全体に塗布範囲を広げることで、未発症部位への予防効果も期待できます。投与期間の判断は、患者のアドヒアランスと真菌検査結果の両方を考慮して行うのが理想です。
ラノコナゾール先発品の使用方法と塗布タイミング
1日1回、患部に塗布するのが基本用法です。最も効果的なタイミングは入浴後とされています。入浴で皮膚が清潔になり、角質が水分を含んで柔らかくなるため、薬剤成分の浸透性が高まるためです。pmda+3
塗り忘れた場合は気づいた時点ですぐに1回分を塗布します。ただし次の使用時間が近い場合(夜に忘れて翌朝気づいたケースなど)は、忘れた分を飛ばして次回の通常時間に1回分のみ塗布してください。
2回分を一度に使用してはいけません。
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ひどいびらん面(ただれ)には使用を避け、眼科用として角膜・結膜には使用しないでください。pins.japic+1
3剤形の使い分けでは、クリームは患部全般に、外用液は頭部や毛髪部に、軟膏は乾燥性病変に適しています。外用液はアルコール基剤による爽快感がありますが、刺激作用に注意が必要です。患者の患部状態や好みに応じて剤形を選択することで、アドヒアランス向上につながります。
参考)https://www.iwakiseiyaku.co.jp/dcms_media/other/lcshikaku20250401.pdf
ラノコナゾール先発品処方時の医療従事者向け注意点
後発品の生物学的同等性は、皮膚薬物動態学的試験で確認されています。健康成人20名を対象にした試験で、先発品と後発品の角層中未変化体量に有意差は認められませんでした。したがって効果面では先発・後発の差はないと判断できます。
処方時の薬価確認が重要ですね。
再審査は2003年6月に完了しており、3,062例の使用成績調査を経て安全性が確認されています。長期使用データも蓄積されているため、安心して処方できる薬剤です。
参考)http://www.shijiebiaopin.net/upload/product/2011112122023012.PDF
患者指導では「1日1回」という用法の徹底が最重要です。従来の抗真菌薬は1日2回塗布が主流だったため、患者が混同して過少使用(隔日投与など)や過剰使用をするケースがあります。明確に「毎日1回」と伝えることが、治療成功のカギです。
塗布範囲の指導も欠かせません。足白癬では症状のある部位だけでなく、足底全体と趾間すべてに塗布するよう指導すると再発率が下がります。塗布量の目安として、片足につき人差し指の先端から第一関節まで(約0.5g)を基準にすると、患者が理解しやすくなります。
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