アビラテロン先発と後発の違い
先発品ザイティガと食後服用すると全身曝露量が10倍に増える
アビラテロン先発品ザイティガの基本情報
アビラテロン酢酸エステルの先発品であるザイティガ錠250mgは、ヤンセンファーマ株式会社が製造販売する去勢抵抗性前立腺癌治療剤です。本剤はアンドロゲン合成酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示すCYP17阻害剤として、2014年7月に日本で製造販売承認を取得しました。carenet+1
適応症は「去勢抵抗性前立腺癌」および「内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌」の2つです。これらの適応に対して、プレドニゾロンとの併用において1日1回1,000mg(250mg錠×4錠)を空腹時に経口投与する用法が定められています。pins.japic+1
前立腺がんでは、精巣だけでなく副腎や前立腺がん組織内でも微量のアンドロゲンが生成されることが治療抵抗性の一因とされています。ザイティガはこれらすべての部位でCYP17を選択的に阻害することで効果を発揮します。
参考)前立腺がん治療剤ザイティガ(アビラテロン)日本での承認取得|…
薬価は1錠あたり3,759.30円となっています。前立腺がん治療は長期にわたるため、患者負担や医療経済的な観点からも後発品の登場が期待されていました。
参考)アビラテロン酢酸エステル錠「サワイ」(ザイティガのジェネリッ…
アビラテロン後発品の薬価と市場導入状況
アビラテロン酢酸エステルの後発品は2023年8月15日に複数社が承認を取得し、2025年12月に薬価収載されました。後発品の薬価は1錠1,632.30円で、先発品との差額は2,127円となっています。yakuzaishi+3
1日1回4錠服用するため、1日あたりの薬価差は8,508円、月額換算で約25万5,240円の差額が生じることになります。これは1年間で約306万円の医療費削減につながる計算です。medical.nihon-generic+1
承認を取得した企業は沢井製薬、ニプロ、日本ジェネリック、第一三共エスファなど6社です。このうち第一三共エスファの「アビラテロン酢酸エステル錠250mg『DSEP』」は、先発品ザイティガのオーソライズドジェネリック(AG)として位置づけられています。daiichisankyo-ep+2
AGとは先発品メーカーから許諾を受け、先発品と同一の原薬・添加物・製造方法で製造される後発品のことです。通常のジェネリック医薬品が生物学的同等性試験により先発品との同等性を証明するのに対し、AGは製剤として完全に同一であるという特徴があります。
アビラテロン先発品と後発品の製剤的特徴
先発品ザイティガ錠250mgはピンク色のフィルムコーティング錠です。一方、後発品は製造販売会社により外観が異なります。
参考)https://medical.nihon-generic.co.jp/uploadfiles/medicine/ABIRA_HIKAKU.doc
例えば日本ジェネリックの「アビラテロン酢酸エステル錠250mg『JG』」は、やわらかい黄みの赤色のフィルムコーティング錠となっており、長径16.1mm、短径9.6mmのサイズです。ニプロの製品は長径15.5mm、短径6.6mm、厚さ5.0mm、重量424mgと記載されています。med.nipro+1
添加物に関しても若干の違いが見られます。先発品には乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄が含まれています。
後発品の一部では、マクロゴール4000の代わりにヒドロキシプロピルセルロースが使用され、カルナウバロウが追加されているものもあります。ただしAG製品は先発品と完全に同一の添加物構成となっています。daiichisankyo-ep+1
すべての製品で効能・効果、用法・用量は先発品と同一です。med.nipro+1
アビラテロン製剤選択時の独自視点
後発品が複数社から発売されている現在、薬剤選択においては単純な薬価だけでなく供給安定性も重要な考慮事項となります。前立腺がん治療は中断できないため、継続的な供給体制が確保されているかを確認することが重要です。
AGを選択するメリットは、先発品と完全に同一の製剤であることから、先発品からの切り替え時に患者や医師の心理的抵抗が少ないことです。特に高齢患者では錠剤の色や形状の変化が服薬コンプライアンスに影響することがあるため、AGは有力な選択肢となります。
参考)オーソライズド・ジェネリック(AG)製品の発売予定のお知らせ…
一方で通常の後発品を選択する場合は、製剤の大きさや包装単位を確認することが推奨されます。例えばニプロの製品は56錠入りのPTP包装で提供されており、14日分の処方に対応しやすい包装設計となっています。
参考)https://med.nipro.co.jp/ph_product_detail?id=a0A5h00000IPDGoEAP
薬局での在庫管理の観点からは、地域で処方される頻度の高い後発品メーカーを優先的に採用することで、デッドストックのリスクを減らすことができます。
地域の基幹病院や泌尿器科専門クリニックがどの後発品を採用しているかを事前に把握しておくと、処方箋応需時の対応がスムーズになります。
アビラテロン空腹時服用の重要性と指導ポイント
アビラテロンの最も重要な服薬指導ポイントは、必ず空腹時に服用することです。本剤のバイオアベイラビリティは食事の影響を非常に強く受け、食後(高脂肪食)ではAUCが10倍、Cmaxが17倍に増加することが報告されています。yakuzaisi.pipi01+3
空腹時とは「食事の1時間以上前かつ食後2時間以降」と定義されています。つまり食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は絶対に避けなければなりません。med.daiichisankyo-ep+3
この指導を怠ると、予期しない血中濃度上昇により副作用リスクが大幅に増大します。特に高齢者では食事時間が不規則になりがちなため、具体的な服用タイミングを患者と一緒に決めることが効果的です。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1323/EPABI1P001.pdf
実際の服薬指導では「朝食の1時間前」または「就寝前(夕食から2時間以上経過後)」のいずれかを推奨するとよいでしょう。患者の生活リズムに合わせて、より確実に空腹時服用を実現できる時間帯を選択することが重要です。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/shizai/files/317/EPABI1P00301-1.pdf
服薬指導時には、患者用の指導冊子を活用し、食事の影響について図解入りで説明することで理解を深めることができます。また、飲み忘れた場合の対応についても事前に説明しておくことが推奨されます。order.nipro+1
アビラテロンとプレドニゾロン併用の必須理由
アビラテロンは必ずプレドニゾロンとの併用で投与されます。これはアビラテロンがCYP17を阻害することで、鉱質コルチコイド過剰に伴う高血圧、低カリウム血症、体液貯留/浮腫などの副作用リスクが高まるためです。healthcare.kameda+1
プレドニゾロンを併用することで、これらの鉱質コルチコイド過剰による有害事象を予防・緩和することができます。つまりプレドニゾロンは単なる併用薬ではなく、アビラテロン治療の安全性を確保するための必須薬剤です。pharmacist.m3+1
適応症により、プレドニゾロンの用法・用量が異なるため注意が必要です。去勢抵抗性前立腺癌の場合と内分泌療法未治療のハイリスク前立腺癌の場合で併用量が変わることがあるため、処方内容を慎重に確認することが求められます。
参考)ザイティガの服薬指導
鉱質コルチコイド過剰による有害事象が発現した際には、プレドニゾロンを5mg/日ずつ増量することが可能です。このため患者の血圧、浮腫、電解質異常の有無を定期的にモニタリングすることが重要です。
参考)https://healthcare.kameda.com/cancer/img/medical/regimen/Ur-036.pdf
アビラテロン中止後にプレドニゾロンの投与を継続する場合もあるため、中止時の対応についても医師と薬剤師で情報共有しておくことが推奨されます。
参考リンク:アビラテロン酢酸エステル錠「DSEP」適正使用ガイド
https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1323/EPABI1P001.pdf
第一三共エスファ提供の適正使用ガイドでは、食事の影響や服薬タイミングについて詳細な図解とともに解説されています。
参考リンク:空腹時に服用する薬剤とその理由
https://kmah.jp/wp-content/uploads/2024/02/20230824.pdf
アビラテロンを含む空腹時服用が必要な薬剤について、その薬物動態学的理由がまとめられており、服薬指導時の根拠資料として有用です。