アパルタミド添付文書の用法用量と副作用

アパルタミド添付文書の用法と副作用

CYP2C8阻害剤との併用で減量が必要です

📋 この記事の3つのポイント
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アパルタミドの基本用法

1日1回240mg(60mg錠4錠)を経口投与し、副作用発現時は180mg→120mgの2段階減量が可能です

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重大な副作用と対応

皮疹(15.3%)、疲労(22.5%)、甲状腺機能低下症(4.7%)が主な副作用で、間質性肺疾患には投与中止が必要です

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薬物相互作用の注意

パキロビッド等のCYP3A4強力阻害剤は併用禁忌で、CYP2C8阻害剤との併用時は減量を考慮します

アパルタミド添付文書の基本情報と効能効果

アパルタミド(商品名:アーリーダ錠60mg)の添付文書には、前立腺がん治療における重要な情報が記載されています。本剤は2019年3月に日本で承認された第2世代抗アンドロゲン剤で、ヤンセンファーマ株式会社が製造販売元、日本新薬株式会社が販売元となっています。

効能・効果は2つです。1つ目は「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)」、2つ目は「遠隔転移を有する前立腺癌(mCSPC/mCRPC)」です。これらの適応により、転移の有無にかかわらず幅広い前立腺がん患者に使用可能となっています。

本剤の作用機序は、アンドロゲン受容体(AR)のリガンド結合部位へのアンドロゲンの結合を競合的に阻害することです。さらにARの核内移行を阻害し、標的遺伝子の転写を阻害することで、ARを介したシグナル伝達を遮断します。つまり多段階でアンドロゲンの作用を抑制するということですね。

薬価は1錠(60mg)あたり2036円で、通常投与量240mg(4錠)の1日分は8144円となります。高額な薬剤のため、患者への説明時には高額療養費制度の利用も案内することが推奨されます。

PMDAの添付文書は定期的に改訂されており、最新の安全性情報を確認することが必要です。2023年10月の改訂では薬剤性過敏症症候群に関する記載が追加されています。

PMDA医療用医薬品情報検索(アーリーダ錠の最新添付文書はこちらから確認できます)

アパルタミド添付文書の用法用量と減量基準

添付文書に記載された標準用法用量は「通常、成人にはアパルタミドとして1日1回240mgを経口投与する」です。

60mg錠を4錠、1日1回服用します。

食事の影響を受けないため、食前・食後・食間いずれの服用でも問題ありません。

副作用が発現した場合の減量基準が明確に定められています。

減量は2段階で行います。

減量レベルと投与量

  • 通常投与量:240mg(4錠)
  • 1段階減量:180mg(3錠)
  • 2段階減量:120mg(2錠)

副作用発現時の対応は重症度で判断します。Grade3以上の副作用が出現した場合は、Grade1以下またはベースラインに回復するまで休薬してください。回復後の再開時には減量を考慮することが推奨されます。初回発現後に再開する場合は同用量で、2回目以降の発現では1段階減量が基本です。

痙攣発作が発現した場合は直ちに投与を中止します。

本剤は再開しないでください。

痙攣発作の発現頻度は低いものの、重大な有害事象であるため、患者には自動車運転などの危険を伴う作業への注意喚起が必要です。

休薬期間中は患者の状態を慎重に観察し、必要に応じて他の治療選択肢を検討します。長期休薬が必要な場合は、疾患進行のリスクと副作用のバランスを主治医と十分に協議することが重要です。

アパルタミド添付文書に記載の副作用プロファイル

添付文書には主な副作用の発現頻度が具体的に記載されています。安全性評価対象803例(日本人34例を含む)のうち565例(70.4%)に副作用が認められました。

主な副作用の発現頻度

  • 疲労:181例(22.5%)
  • 皮疹:123例(15.3%)
  • 甲状腺機能低下症:38例(4.7%)
  • そう痒症:33例(4.1%)
  • 体重減少:27例(3.4%)

皮疹は約6人に1人の割合で発現します。多くは軽度から中等度ですが、重度の場合は減量や休薬が必要になることがあります。皮膚科専門医への相談や、保湿剤・ステロイド外用薬の使用が有効な場合があります。

甲状腺機能低下症は投与開始後数カ月で発現する可能性があります。定期的な甲状腺機能検査(TSH、FT4)の実施が推奨されており、異常値が確認された場合は甲状腺ホルモン補充療法を検討してください。顔全体のむくみ、倦怠感、寒がり、体重増加などの初期症状を患者に説明しておくことが大切です。

重大な副作用として以下が挙げられています。

重大な副作用(頻度不明を含む)

  • 痙攣発作
  • 心臓障害(心不全心筋梗塞など)
  • 重度の皮膚障害(薬剤性過敏症症候群、Stevens-Johnson症候群など)
  • 間質性肺疾患

間質性肺疾患は2019年11月の添付文書改訂で追加された副作用です。息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱などの初期症状が出現した場合は速やかに投与を中止し、胸部X線検査やCT検査を実施してください。患者や家族にもこれらの症状について事前に説明しておくことが推奨されます。

PMDAの適正使用に関するお願い(間質性肺疾患の詳細情報が記載されています)

アパルタミド添付文書の併用禁忌と相互作用

添付文書の「禁忌」および「相互作用」の項には、併用してはいけない薬剤が明記されています。2023年以降、COVID-19治療薬の追加により併用禁忌薬が増えました。

併用禁忌薬(2025年現在)

これらの薬剤を併用するとアパルタミドの血中濃度が上昇し、副作用が増強される恐れがあります。また、本剤の強力なCYP誘導作用により、これらの抗ウイルス薬の血中濃度が減少し、効果が消失したり耐性が出現する可能性があるのです。

COVID-19に罹患した前立腺がん患者への対応が課題になります。パキロビッドやゾコーバは使用できないため、他の治療選択肢(モルヌピラビルなど)を検討するか、アパルタミドを一時休薬して抗ウイルス薬を投与することになります。休薬期間は抗ウイルス薬の最終投与から3~5日後の再開が目安です。

CYP2C8阻害剤との併用注意も重要です。クロピドグレル(プラビックス)などのCYP2C8阻害作用を有する薬剤を併用する場合は、本剤の血中濃度が上昇する可能性があります。やむを得ず併用する際は本剤の減量を考慮し、患者の状態を慎重に観察してください。

本剤はCYP3A4、CYP2C9、CYP2C19の強力な誘導剤でもあります。これらの酵素で代謝される薬剤の血中濃度を低下させる可能性があるため、ワルファリンなどの抗凝固薬、経口避妊薬、免疫抑制剤などとの併用時は効果の減弱に注意が必要です。定期的なモニタリングと用量調整を行ってください。

アパルタミド添付文書を活用した服薬指導のポイント

添付文書の情報を患者向けにわかりやすく説明することが服薬指導の基本です。医療従事者は専門用語を避け、患者が理解しやすい言葉で説明する必要があります。

服薬方法の説明では、1日1回4錠を同じ時間帯に服用することを伝えます。朝食後、夕食後など、患者のライフスタイルに合わせた服用時刻を提案してください。飲み忘れた場合は気づいた時点で服用し、次回分との間隔が短い場合は1回分を飛ばすよう指導します。

2回分を一度に服用しないことが大切です。

PTPシートからの取り出しに関する注意も重要です。添付文書の「適用上の注意」には「PTPシートから取り出して服用するよう指導すること」と記載されています。誤飲により食道粘膜へ刺入する事故を防ぐため、必ずシートから出してから服用するよう説明してください。

副作用の初期症状を具体的に伝えることで、早期発見につながります。以下の症状が出たら速やかに連絡するよう患者に伝えてください。

患者に伝えるべき注意症状

  • 息切れ、呼吸困難、空咳、発熱(間質性肺疾患の可能性)
  • 意識消失、けいれん(痙攣発作)
  • 胸痛、動悸、息切れ(心臓障害)
  • 広範囲の発疹、発熱、倦怠感(重度の皮膚障害)

他の医療機関を受診する際は、本剤を服用していることを必ず伝えるよう指導します。併用禁忌薬が処方される可能性があるため、お薬手帳の活用を推奨してください。

歯科治療や救急受診時も同様です。

保管方法についても説明が必要です。室温保存で直射日光や高温多湿を避け、子どもの手の届かない場所に保管するよう指導します。残薬がある場合は処分方法を案内し、家庭ごみとして廃棄せず薬局や医療機関に返却するよう促してください。

日本新薬の適正使用ガイド(治療開始前の確認事項や患者説明資材が入手できます)