ロイコトリエン受容体拮抗薬の商品名と適応
モンテルカスト1日1回でも効果半減が起こります
ロイコトリエン受容体拮抗薬の代表的な商品名一覧
ロイコトリエン受容体拮抗薬は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療において重要な位置を占める薬剤群です。日本国内で使用可能な代表的な商品としては、モンテルカストナトリウムを有効成分とする「キプレス」(杏林製薬)と「シングレア」(オルガノン)、プランルカスト水和物を有効成分とする「オノン」(小野薬品工業)、そしてザフィルルカスト を有効成分とする「アコレート」(アストラゼネカ)があります。
キプレスとシングレアは同一成分の製剤であり、販売会社による名称の違いだけで、主成分や添加物も同一です。
つまり両者に製剤としての違いはありません。
これらは現在最も広く処方されているロイコトリエン受容体拮抗薬であり、豊富な剤形ラインナップが特徴となっています。錠剤(5mg、10mg)、OD錠(10mg)、チュアブル錠(5mg)、細粒(4mg)の4種類の剤形があり、患者の年齢や嚥下機能に応じた選択が可能です。
オノンはプランルカスト水和物を成分とする製剤で、カプセル剤(112.5mg)とドライシロップ剤(10%)が販売されています。小児領域では体重に基づいた用量調整が必要となるため、ドライシロップ剤が頻用されます。アコレートはザフィルルカストを成分とする製剤ですが、日本国内での処方頻度は他の2剤と比較して少ない傾向にあります。
これらの製剤にはジェネリック医薬品も多数販売されており、モンテルカストのジェネリックだけでも100製品以上が流通しています。後発品を含めた全体では、検索結果で115件のロイコトリエン受容体拮抗薬製品が確認されています。
KEGG MEDICUSのシステイニルロイコトリエン受容体拮抗薬一覧ページでは、先発品と後発品の詳細な商品情報と薬価が確認できます
モンテルカストとプランルカストの使い分けの違い
モンテルカストとプランルカストは、どちらも同じロイコトリエン受容体拮抗薬に分類されますが、臨床現場での使い分けにはいくつかの重要な違いがあります。
最も大きな違いは服用回数です。
モンテルカストは1日1回就寝前の投与で24時間効果が持続します。この服用タイミングは、気管支喘息の症状が夜間から早朝にかけて悪化しやすいという病態生理に基づいています。就寝前投与により、早朝の血漿中薬物濃度を高く維持し、最も症状が出やすい時間帯に十分な効果を発揮させる設計になっています。服薬コンプライアンスの観点からも、1日1回の服用は患者負担が少なく、飲み忘れのリスクも低減できます。
一方、プランルカストは1日2回、朝食後と夕食後(または就寝前)の投与が必要です。成人の場合、1回225mg(カプセル2個)を1日2回服用します。つまりモンテルカストと比較して服薬回数が2倍になるため、特に長期管理が必要な喘息患者では服薬アドヒアランスの低下が懸念されます。
効果の面では、両剤ともシステイニルロイコトリエン(CysLT1)受容体を選択的に拮抗し、気管支喘息およびアレルギー性鼻炎に対して有効性を示します。鼻閉に対する効果は両剤とも優れていますが、特にモンテルカストは抗ヒスタミン薬が効きにくい鼻づまり症状に対して高い効果を発揮します。プランルカストも同様に鼻閉改善効果がありますが、1日2回服用という特性上、血中濃度の変動がモンテルカストよりやや大きくなる可能性があります。
副作用プロファイルは両剤とも比較的良好で、消化器症状(腹痛、下痢、胃部不快感)が約1%前後、傾眠が約1%前後報告されています。ただし、プランルカストには食事による吸収率の低下が報告されており、空腹時投与が推奨される場合もあります。モンテルカストは食事の影響を受けにくく、食前食後を問わず服用可能です。
この点も服薬指導のしやすさに影響します。
価格面では、薬価収載時点での先発品価格はプランルカスト(オノンカプセル)が1カプセル約28円、モンテルカスト(キプレス錠10mg)が約71円となっており、1日薬価ではプランルカストが約112円(4カプセル)、モンテルカストが約71円(1錠)となります。ジェネリック医薬品を選択すればさらに薬剤費を抑えることができます。
結論として、服薬アドヒアランスと利便性を重視する場合はモンテルカストが、費用面や患者の既往使用経験などを考慮する場合はプランルカストが選択されることが多いと言えます。
ロイコトリエン受容体拮抗薬の適応疾患と効果の特徴
ロイコトリエン受容体拮抗薬の適応疾患は、気管支喘息とアレルギー性鼻炎の2つが主要なものとなっています。これらの疾患におけるロイコトリエンの役割を理解することが、適切な処方判断につながります。
気管支喘息における役割では、ロイコトリエン受容体拮抗薬は長期管理薬として位置づけられます。すでに起こっている発作を止める薬ではなく、発作を予防する薬です。日本のガイドラインでは、吸入ステロイド薬(ICS)が喘息治療の基本薬とされていますが、ロイコトリエン受容体拮抗薬はICSの補助療法として、あるいはICSが使用困難な場合の代替療法として重要な役割を果たします。特に軽症持続型から中等症持続型の喘息患者において、ICSとの併用により症状コントロールの改善が期待できます。
効果の特徴として、ロイコトリエン受容体拮抗薬は気管支拡張作用と抗炎症作用の両方を併せ持ちます。ロイコトリエンは気管支平滑筋を収縮させる作用がヒスタミンの約1000倍強力とされており、この強力な収縮作用をブロックすることで気道を広げる効果が得られます。また、好酸球の気道への浸潤を抑制し、気道の慢性炎症を改善します。運動誘発性喘息に対しても有効性が報告されており、運動前の服用により発作予防効果が認められています。
アレルギー性鼻炎における役割では、特に鼻閉(鼻づまり)に対する効果が顕著です。ロイコトリエンは鼻粘膜血管の透過性を亢進させ、粘膜浮腫を引き起こすため、その作用を抑制することで鼻閉を改善します。抗ヒスタミン薬はくしゃみや鼻水には効果的ですが、鼻閉に対する効果は限定的です。つまりロイコトリエン受容体拮抗薬は抗ヒスタミン薬を補完する形で使用されます。
臨床研究では、モンテルカストをアレルギー性鼻炎患者に投与した結果、夜間・日中の総合鼻症状スコア(TNSS)が有意に改善し、特に鼻閉スコアの改善が顕著であったと報告されています。また、鼻閉による睡眠障害の改善効果も認められており、QOL向上に寄与します。花粉症シーズンにおいては、抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬の併用により、単剤使用よりも優れた症状改善効果が得られることが複数の研究で示されています。
効果発現までの時間は、モンテルカストの場合、単回投与後約3~4時間で血中濃度が最高値に達しますが、臨床的に明らかな症状改善効果を実感できるまでには数日から1週間程度かかることが一般的です。プランルカストも同様に、内服開始後約1週間で効果が現れ始めます。即効性を求める場合は、気管支拡張薬や抗ヒスタミン薬との併用が必要です。
重要な点として、ロイコトリエン受容体拮抗薬は予防的な長期管理薬であり、急性増悪時や発作時の第一選択薬ではありません。発作時には短時間作用性β2刺激薬(SABA)などの速効性気管支拡張薬が必要となります。
くまのまえファミリークリニックのロイコトリエン受容体拮抗薬の解説ページでは、アレルギー性鼻炎治療における具体的な効果と使用方法が詳しく説明されています
小児におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の剤形と用量設定
小児気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療において、ロイコトリエン受容体拮抗薬は第一選択薬または補助療法として広く使用されています。小児への投与では、年齢と体重に応じた適切な剤形選択と用量設定が不可欠です。
モンテルカスト製剤の小児用剤形は、年齢区分に応じて細粒4mg(1歳以上6歳未満)、チュアブル錠5mg(6歳以上15歳未満)、錠剤またはOD錠10mg(15歳以上)が用意されています。1歳以上6歳未満の小児には、モンテルカストとして4mg(細粒1包)を1日1回就寝前に投与します。体重や年齢による用量調節は行わず、全量を服用します。細粒剤は口に直接入れるか、スプーン1杯程度の柔らかい食物(室温以下)と混ぜて服用できます。
6歳以上の小児には、モンテルカストとして5mg(チュアブル錠)を1日1回就寝前に投与します。チュアブル錠は噛んで服用できるため、錠剤の嚥下が困難な小児にも適しています。15歳以上では成人と同様に10mg錠またはOD錠を1日1回就寝前に投与します。OD錠は口腔内で速やかに崩壊するため、水なしでも服用可能で、服薬コンプライアンスの向上が期待できます。
プランルカスト製剤の小児用剤形は、ドライシロップ10%が中心となります。小児にはプランルカスト水和物として1日量7mg/kg(ドライシロップとして70mg/kg)を朝食後および夕食後の2回に分け、用時懸濁して経口投与します。
つまり体重に応じた個別の用量調整が必要です。
例えば体重10kgの小児であれば、1日量は70mg(プランルカスト水和物として7mg)となり、これを2回に分けて投与します。
体重別の標準投与量が添付文書や各種ガイドラインに記載されており、調剤時にはこれを参考に正確な分包が求められます。ドライシロップは苦味があるため、服薬指導では味のマスキング方法(ジュースやヨーグルトとの混合など)を保護者に伝えることが重要です。ただし、混合する食品によっては苦味が増強される場合もあるため、注意が必要です。
小児における効果と安全性については、多くの臨床試験で成人と同等の有効性と安全性が確認されています。特に乳幼児では吸入手技が困難なため、吸入ステロイド薬よりもロイコトリエン受容体拮抗薬が第一選択となることがあります。内服薬であるため確実な投与が可能であり、保護者の負担も軽減されます。
副作用プロファイルも成人とほぼ同様ですが、小児では下痢の発現頻度がやや高いとされています。頻度は1%未満~1%程度ですが、継続的な観察が必要です。また、極めて稀ですが、精神神経症状(不眠、悪夢、攻撃的行動など)の報告もあるため、行動変化に注意を払う必要があります。
長期投与の安全性については、成長や発達への影響は報告されておらず、長期管理薬として安心して使用できます。ただし定期的な診察により、症状コントロール状況と副作用の有無を確認することが推奨されます。
ロイコトリエン受容体拮抗薬の服用タイミングと食事の影響
ロイコトリエン受容体拮抗薬の効果を最大限に引き出すためには、適切な服用タイミングの理解が重要です。また、食事による薬物動態への影響も考慮する必要があります。
モンテルカストの服用タイミングは「就寝前」が基本です。
この理由は複数あります。
第一に、気管支喘息の症状は夜間から早朝にかけて最も悪化しやすいという病態生理があります。夜間は副交感神経が優位になり、気道が収縮しやすくなります。また、体内時計の影響でロイコトリエンの産生も夜間に増加すると考えられています。就寝前に服用することで、早朝の血漿中薬物濃度を高く維持し、最も症状が出やすい時間帯に十分な効果を発揮させることができます。
第二に、アレルギー性鼻炎患者も喘息を合併していることが多いため、統一した服用タイミングとして就寝前が設定されています。アレルギー性鼻炎単独の治療の場合、添付文書上は5~10mgを1日1回就寝前となっていますが、実臨床では10mgが一般的です。
モンテルカストの食事による影響については、健康成人を対象とした薬物動態試験で検討されています。モンテルカスト10mgを食後投与した場合、空腹時と比較してAUC(血中濃度-時間曲線下面積)は約24%増加しましたが、最高血中濃度到達時間(Tmax)や半減期(T1/2)には有意差がありませんでした。つまり食事により吸収量はやや増加しますが、臨床的に問題となるほどの変化ではありません。そのため、モンテルカストは食事の有無にかかわらず投与可能とされています。
実際の服薬指導では、就寝前という服用タイミングを守れば、夕食後であっても空腹時であっても問題ないということです。患者のライフスタイルに合わせて、夕食後から就寝までの間の一定時刻に服用することを推奨すれば、服薬アドヒアランスが向上します。
プランルカストの服用タイミングは「朝食後および夕食後」が基本です。1日2回投与により、血中濃度を安定して維持することが目的です。服用間隔は約6~8時間以上あけることが推奨されます。プランルカストは食事による影響が指摘されており、空腹時投与では吸収率が低下する可能性があります。
そのため、食後投与が原則となります。
ただし、オノンのドライシロップ剤を小児に投与する場合、食事との混合による服用が行われることもあります。この場合、苦味のマスキングと確実な服薬のバランスを考慮する必要があります。柔らかい食物(ヨーグルトやプリンなど)との混合により服用しやすくなりますが、食品によっては苦味が増強されることもあるため、保護者への丁寧な指導が求められます。
飲み忘れた場合の対処法については、気づいた時点で速やかに服用することが基本です。ただし、次回の服用時刻が近い場合(概ね服用間隔の半分以下の時間しか残っていない場合)は、飲み忘れた分は服用せず、次回から通常通り服用します。2回分を一度に服用することは避けるべきです。モンテルカストは1日1回製剤のため、飲み忘れに気づいた時点が翌朝以降であれば、その日の就寝前に通常量を服用すればよいでしょう。
長期継続治療では、服薬タイミングを生活習慣に組み込むことが重要です。就寝前の歯磨きと一緒に服用する、枕元に薬を置いておくなど、忘れない工夫を患者と一緒に考えることも薬剤師の重要な役割です。
