モンテプラーゼ添付文書の用法用量と禁忌事項

モンテプラーゼ添付文書の用法用量と禁忌

モンテプラーゼ投与後4~6時間でヘパリンを使うと脳出血が起きています

📋 この記事のポイント

投与時間の制限

急性心筋梗塞では発症6時間以内の投与開始が必須で、75歳以上の高齢者では脳出血リスクが上昇します

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絶対的禁忌事項

活動性出血・2カ月以内の頭蓋内手術・デフィブロチドナトリウム併用時は投与禁止です

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調製方法の厳守

生理食塩液で80,000IU/mLに溶解し、1分間約10mLの速度で静脈内投与します

モンテプラーゼの基本情報と添付文書の位置づけ

モンテプラーゼ(商品名クリアクター)は急性心筋梗塞や急性肺塞栓症における血栓溶解を目的とした遺伝子組換え型t-PA製剤です。この薬剤の添付文書には医療従事者が安全かつ効果的に使用するための重要な情報が網羅されています。

添付文書は医薬品医療機器総合機構(PMDA)や日本医薬情報センター(JAPIC)のデータベースで公開されており、最新版は2024年1月改訂の第2版となっています。処方箋医薬品かつ生物由来製品に指定されているため、医師の処方箋と厳密な管理が必要です。

モンテプラーゼは組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)の一種で、血栓に含まれるフィブリンに選択的に結合してプラスミノーゲンを活性化します。

つまり血栓部位で集中的に作用します。

この特性により全身への影響を抑えながら血栓溶解効果を発揮できるわけですね。

JAPIC公式サイトのモンテプラーゼ添付文書PDFには用法用量から副作用まで詳細な記載があり、臨床現場での参照に最適です。

ウロキナーゼなどの第一世代血栓溶解薬と比較して、モンテプラーゼは半減期が延長されるようアミノ酸配列の一部が置換されています。発症6時間以内という時間制限はありますが、その分強力な血栓溶解作用が期待できる設計です。

モンテプラーゼの効能効果と発症時間の制限

添付文書に記載された効能効果は2つに限定されています。1つ目は急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)、2つ目は不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解です。

急性心筋梗塞への適応では発症から6時間以内に投与を開始することが用法用量に関連する注意として明記されています。どういうことかというと、6時間を超えると血栓溶解の効果よりも出血などの副作用リスクが上回ってしまうためです。

この時間制限は厳守する必要があります。

冠動脈造影により血栓を確認した後の投与が望ましいとされていますが、実施が困難な場合もあります。その際は強い胸痛を伴い心電図上明らかなST上昇が認められ、かつ冠血管拡張剤投与によっても胸痛が緩解しない患者に対して投与できます。臨床症状と心電図所見から判断するということですね。

急性肺塞栓症については肺動脈造影などで血栓や血流障害を確認することが原則です。ただし検査実施が困難な場合、臨床症状から不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症が強く疑われ、低酸素血症や右心負荷の増大などの検査所見を確認した患者にも投与可能とされています。

KEGG医薬品情報データベースではモンテプラーゼの薬理作用や臨床試験成績も参照でき、効能効果の根拠を理解するのに役立ちます。

急性肺塞栓症ではヘパリン投与などによる抗凝固療法を基礎治療として併用することが推奨されています。モンテプラーゼ単独ではなく、抗凝固療法と組み合わせて治療効果を最大化するわけです。

モンテプラーゼの用法用量と体重別投与量

急性心筋梗塞では通常、成人に体重kgあたりモンテプラーゼ(遺伝子組換え)として27,500IUを静脈内投与します。一方、急性肺塞栓症では体重kgあたり13,750~27,500IUを静脈内投与し、1回最大投与量は27,500IU/kgまでです。

投与に際しては1mLあたり80,000IUとなるように日本薬局方生理食塩液で溶解し、1分間あたり約10mL(800,000IU)の注入速度で投与します。

この濃度と速度の厳守が重要です。

添付文書には体重別投与量早見表が掲載されています。例えば体重60kgの患者に急性心筋梗塞で投与する場合、165.00万IU(20.6mL)を120~150秒かけて注入します。体重80kgなら220.00万IU(27.5mL)を150~180秒かけて投与する計算です。

急性肺塞栓症では出血に関する有害事象の発現が用量依存的であることが分かっています。

つまり投与量が多いほど出血リスクが上昇します。

そのため危険性と有益性の両面から慎重に投与量を決定する必要があり、出血の危険性が高い患者では低用量(13,750IU/kg)の投与を考慮します。

クリアクター静注用には40万単位、80万単位、160万単位の3規格があります。40万単位は1バイアルを生理食塩液5mLで溶解、80万単位は10mLで溶解することで80,000IU/mLの濃度になります。調製ミスを防ぐため、バイアルごとの溶解量を事前に確認することが大切ですね。

霧島医療センターの薬剤部DIニュースにはクリアクターの調製法や投与法が分かりやすくまとめられており、実践的な参考資料として活用できます。

本剤の投与は発症後できるだけ早期に行うことが推奨されています。時間経過とともに血栓が器質化して溶解しにくくなるため、迅速な投与判断と準備が求められます。

モンテプラーゼの禁忌事項と慎重投与対象

モンテプラーゼ添付文書の禁忌事項には絶対に投与してはいけない3つの状況が明記されています。1つ目は出血している患者(消化管出血、尿路出血、後腹膜出血、頭蓋内出血、喀血)です。出血をさらに助長し止血が困難になるためです。

2つ目は出血を起こすおそれの高い患者群で、具体的には以下が該当します。

📌 頭蓋内あるいは脊髄の手術または障害を受けた患者(2カ月以内)

📌 頭蓋内腫瘍、動静脈奇形、動脈瘤のある患者

📌 出血性素因のある患者

📌 重篤な高血圧症患者

これらの患者では出血を惹起し止血が困難になるおそれがあります。2カ月という期間は頭蓋内手術後の脳組織の治癒過程を考慮した設定ですね。

3つ目はデフィブロチドナトリウムを投与中の患者です。マウスの血栓塞栓症モデルにおいて、組換え型t-PAの抗血栓作用はデフィブロチドナトリウムにより増強され、出血の危険性が増大することが確認されています。

慎重投与が必要な患者として、大手術や臓器生検、血管穿刺後日の浅い患者(10日以内)や外傷後日の浅い患者(10日以内)が挙げられています。10日以内という具体的な日数基準が示されているのは重要です。

脳血管障害の既往歴のある患者、消化管潰瘍や消化管の憩室炎・大腸炎のある患者、活動性結核のある患者、月経期間中の患者、糖尿病性出血性網膜症または他の出血性眼疾患のある患者も慎重投与対象です。これらは全て出血リスクが高い状態を意味します。

左心房内血栓の疑いのある患者(心房細動を伴う僧帽弁狭窄症患者など)では脳塞栓を惹起するおそれがあり、亜急性細菌性心内膜炎または急性心膜炎のある患者では脳塞栓または心囊液貯留を惹起するおそれがあります。脳梗塞のある患者では出血性脳梗塞を惹起するおそれがあるため注意が必要です。

重篤な腎障害や肝障害のある患者では代謝・排泄能の低下により本剤の作用が増強することがあります。妊婦または分娩・流早産後日の浅い患者(2週間以内)には治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。製造販売後の調査で分娩に関連した出血をともなう副作用が報告されているためです。

モンテプラーゼ投与時の重要な注意事項

添付文書の冒頭には黒枠の警告欄が設けられており、本剤の投与により脳出血が発現し死亡が認められていることが明記されています。

これは最も重大なリスク情報です。

投与に際しては禁忌事項と重要な基本的注意に留意し、適用患者の選択および急性肺塞栓症患者への投与量の選択を慎重に行う必要があります。投与中及び投与後の患者の出血の有無を十分確認するとともに、血液凝固能などの血液検査・臨床症状の観察を頻回に行うことが求められます。

本剤の通常用量を超える用量及び75歳以上の高齢者で脳出血の危険性が高まることが臨床試験で示されています。急性心筋梗塞対象の臨床試験では65歳を超える高齢者で脳出血が発生し、通常用量を超える用量で脳出血の頻度が高まりました。またt-PA製剤では75歳以上で脳出血の頻度が高まるとの報告があります。

したがって75歳以上の高齢者には他の治療法の可能性も含め本剤の適用を慎重に検討することが原則です。どうしても投与が必要な場合、脳出血のリスクと治療による利益を天秤にかけて判断します。

他の血栓溶解剤を投与する場合は、本剤投与60分後以降に開始し、その投与量をできる限り少量にとどめるなどの配慮を行います。血液凝固阻止作用を有する薬剤及び血小板凝集抑制作用を有する薬剤は本剤投与後早期の使用により出血の危険性が増大するため、出血の有無を十分確認するとともに血液凝固能などの血液検査・臨床症状の観察を頻回に行います。

ヘパリンは再閉塞防止のために本剤との併用若しくは本剤の後療法に用いますが、脳出血等の重篤な出血を起こすことがあるため、本剤投与後6時間以内はヘパリンの投与をできる限り控えることとされています。急性心筋梗塞対象の臨床試験では本剤投与4~6時間後のヘパリン点滴静注時に脳出血が発生しているからです。

エーザイ医療関係者向けQ&Aにはモンテプラーゼとヘパリン併用時の注意点が詳しく解説されており、臨床現場での疑問解決に役立ちます。

急性肺塞栓症で基礎治療としてヘパリンを併用する場合、出血の危険性があるため出血の確認とヘパリンの投与量の調整を行います。ヘパリン投与量は活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が正常値の2倍前後(1.5~2.5)になるように注意して調整することが推奨されています。

本剤は蛋白製剤であり、再投与によりアナフィラキシー等の反応が起きる可能性は否定できないため、再投与をする場合には注意して行います。万一、アナフィラキシー様の反応が起きた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うことが必要です。

冠動脈血栓の溶解にて血流が再開通することにより、再灌流不整脈があらわれることがあります。特に心室細動、心室頻拍等の重篤な不整脈に注意して心電図のモニタリングなどの観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には直ちに適切な処置を行います。

本剤の投与開始後に心破裂、心室中隔穿孔、心タンポナーデに至る心囊液貯留が起こることがあります。特に65歳以上の高齢者では心破裂及び心室中隔穿孔の危険性が高まるため、これらの患者には他の治療法の可能性を含め本剤の適用を慎重に検討します。急性心筋梗塞対象の臨床試験において、65歳以上の高齢者または前壁梗塞で心破裂、心室中隔穿孔及び心囊液貯留の発生頻度が高まったことが報告されています。