ケノデオキシコール酸商品名と適応症

ケノデオキシコール酸商品名と適応症

同じケノデオキシコール酸でも胆石治療用と脳腱黄色腫症治療用では薬価が約1000倍違います

この記事の3ポイント要約
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商品名は適応症で使い分ける

チノカプセルは胆石溶解用、フジケノンは脳腱黄色腫症治療用として適応が異なる

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用量依存性の肝障害リスク

ケノデオキシコール酸は用量が増えると肝障害を起こす可能性があり注意が必要

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副作用は5%以上で下痢が出現

消化器症状、特に下痢が高頻度で発現するため患者指導が重要になる

ケノデオキシコール酸の商品名一覧と特徴

ケノデオキシコール酸は一次胆汁酸の一種で、臨床現場では複数の商品名で流通しています。主要な製品として藤本製薬が製造販売するチノカプセル125とフジケノン粒状錠125があります。

チノカプセル125は外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解を適応症としており、1カプセルあたり21.8円という薬価設定です。通常成人にはケノデオキシコール酸として300~400mgを1日2~3回に分割経口投与します。1日最高投与量は600mgと定められています。

一方でフジケノン粒状錠125は脳腱黄色腫症を適応症として2025年11月に薬価収載された製品です。薬価は1包22,043円と設定されています。成人は1日量250mgより投与開始し、250mgずつ増量した後、維持量として1日量750mgを1日3回に分けて連日経口投与する用法です。

つまり薬価が原則です。

同じ有効成分でありながら、適応症の違いによってこれほど薬価が異なる理由は、脳腱黄色腫症が指定難病であり希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)として開発されたためです。開発費用の回収と患者数の少なさを考慮した薬価設定になっています。

なお、チノカプセル125は2026年7月頃に供給停止予定であることが日本胆道学会より報告されています。原薬確保が困難になったことが理由とされており、今後は胆石治療においても代替薬の検討が必要になる可能性があります。

医療用医薬品情報:チノカプセル125の詳細情報
医療用医薬品情報:フジケノン粒状錠125の詳細情報

ケノデオキシコール酸の適応症別使い分け

ケノデオキシコール酸製剤の適応症は大きく分けて胆石溶解と先天性胆汁酸代謝異常症の2つがあります。適応症に応じた適切な製品選択が医療従事者には求められます。

胆石治療では、チノカプセル125が外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解に用いられてきました。ケノデオキシコール酸はヒトコレステロール胆石溶解作用を持ち、その効果は他の胆汁酸(ウルソデオキシコール酸等)に比べて優れているとされています。しかし、2026年7月頃の供給停止が決定しているため、今後は代替治療法の検討が必要です。

先天性胆汁酸代謝異常症では、フジケノン粒状錠125が脳腱黄色腫症の治療に使用されます。脳腱黄色腫症はステロール27位水酸化酵素(CYP27A1)の欠損により、ケノデオキシコール酸の合成ができず、コレスタノールや胆汁アルコールの過剰産生が起こる疾患です。本剤は不足しているケノデオキシコール酸を補充することで、ファルネソイドX受容体の活性化を介してCYP7A1に対する負のフィードバック機構を正常化させます。

コレスタノールが原因ですね。

また、先天性胆汁酸代謝異常症のその他のタイプ(3β-HSD欠損症、Δ4-3-oxosteroid 5β-reductase欠損症など)では、コール酸製剤であるオファコルカプセル50mgが第一選択となります。ケノデオキシコール酸も使用可能ですが、用量依存性に肝障害を起こすリスクがあるため、コール酸が推奨されています。

妊娠期の取り扱いにも注意が必要です。ケノデオキシコール酸は妊婦に禁忌となっているため、妊娠期にはコール酸への変更が望まれます。これは脳腱黄色腫症患者が妊娠した場合の重要な切り替えポイントとなります。

先天性胆汁酸代謝異常症の経口治療薬に関する詳細解説

ケノデオキシコール酸とウルソの効果比較

ケノデオキシコール酸とウルソデオキシコール酸は、どちらも一次胆汁酸として肝臓で合成される物質ですが、その性質と臨床効果には明確な違いがあります。

ウルソデオキシコール酸は5種類あるヒト胆汁酸の中で最も油分(疎水性)が少ない親水性胆汁酸です。利胆作用により胆汁うっ滞を改善し、細胞障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わることで肝細胞保護作用を発揮します。胆道系疾患、慢性肝疾患、原発性胆汁性胆管炎、C型慢性肝疾患など幅広い適応を持ち、比較的安全性の高い薬剤として知られています。

対してケノデオキシコール酸は疎水性が高く、肝細胞に対する毒性がウルソデオキシコール酸よりも強いという特徴があります。in vitroの研究では、ケノデオキシコール酸は他の胆汁酸と比較してヒトコレステロール胆石溶解作用が優れていることが示されています。

これは使えそうです。

胆石溶解においては、ウルソデオキシコール酸の内服治療を半年間続けるとおよそ4割の患者で胆石が消失するとされています。一方、ケノデオキシコール酸は胆石溶解能がより高いとされますが、下痢などの副作用発現頻度が高く、また用量依存性に肝障害を起こすリスクがあるため、使用には注意が必要です。

両者の使い分けとしては、ウルソデオキシコール酸が幅広い肝胆道系疾患に対する一選択薬として位置づけられ、ケノデオキシコール酸は特定の適応(コレステロール系胆石溶解、脳腱黄色腫症)に限定して使用されるという関係にあります。安全性プロファイルの違いから、長期投与が必要な場合はウルソデオキシコール酸が選好される傾向があります。

ケノデオキシコール酸の副作用と注意点

ケノデオキシコール酸の副作用で最も頻度が高いのは消化器症状、特に下痢です。臨床試験のデータでは5%以上の頻度で下痢が報告されており、患者への事前説明と対応策の準備が必要になります。

消化器症状として、5%以上の頻度で下痢が、0.1~5%未満の頻度で軟便、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、胸やけが報告されています。頻度不明ですが腹部不快感、腹部膨満感も発現する可能性があります。下痢の程度が軟便程度であれば経過観察可能ですが、ひどい場合は早めに受診を促す必要があります。

肝機能への影響も重要な注意点です。5%以上の頻度でALT上昇、AST上昇などの肝酵素上昇が認められます。頻度不明ですがAl-P上昇、ビリルビン上昇も報告されています。特に重要なのは、ケノデオキシコール酸には用量依存性の肝障害リスクがあるということです。

用量依存性が条件です。

このため定期的な肝機能検査のモニタリングが不可欠となります。特に脳腱黄色腫症の治療では比較的高用量(維持量750mg/日)を使用するため、投与開始時は250mg/日から開始し、2週間毎に250mgずつ漸増していく慎重な用量調整が求められます。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置が必要です。

過敏症として頻度不明ですが発疹、そう痒が報告されています。これらの症状が出現した場合は、アレルギー反応の可能性を考慮して対応する必要があります。

妊婦への投与は禁忌です。脳腱黄色腫症患者が妊娠を希望する場合や妊娠した場合には、コール酸製剤への切り替えを検討しなければなりません。この切り替えタイミングを逃さないための患者指導と定期的な確認が重要になります。

副作用リスクを最小限にするために、患者には服用開始時に下痢などの消化器症状が出やすいことを説明し、症状の程度によっては連絡するよう指導しておくことが推奨されます。また定期的な肝機能検査を実施し、異常の早期発見に努める体制づくりが必要です。

ケノデオキシコール酸製剤の処方時チェックポイント

ケノデオキシコール酸製剤を処方する際には、適応症の確認が最優先事項です。チノカプセル125とフジケノン粒状錠125は同じ有効成分でも適応症が異なるため、処方箋の病名と製品の適応が一致しているか必ず確認します。

胆石治療でチノカプセルを処方する場合、外殻石灰化の有無の確認が必要です。本剤は外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石のみが適応となっており、画像診断で石灰化が認められる胆石では効果が期待できません。適応外の処方を避けるため、検査結果の確認が不可欠です。

用法用量の妥当性チェックも重要です。チノカプセルの場合、1日最高投与量は600mgと定められています。フジケノンの場合は、未治療例では250mg/日より開始し、2週間毎に250mg/日ずつ漸増する用法が定められており、最大1日量は1,000mg、1回量は375mgを超えないよう注意します。

意外ですね。

肝機能検査データの確認も処方前に行うべきです。ケノデオキシコール酸は用量依存性に肝障害を起こすリスクがあるため、投与開始前の肝機能を把握し、投与中も定期的にモニタリングする必要があります。肝機能障害が既に存在する患者では、より慎重な投与判断が求められます。

妊娠の可能性がある女性患者への処方時には、特別な注意が必要です。ケノデオキシコール酸は妊婦禁忌であるため、妊娠の有無を確認し、妊娠の可能性がある場合は避妊の徹底を指導するか、代替薬の選択を検討します。脳腱黄色腫症の女性患者では、妊娠を希望する際にコール酸製剤への切り替えが必要になることを事前に説明しておきます。

併用薬の確認も欠かせません。特に他の肝代謝薬や肝毒性のある薬剤との併用では、肝障害リスクが高まる可能性があります。薬歴を確認し、リスクの高い組み合わせがないかチェックします。

患者への服薬指導では、下痢などの消化器症状が高頻度で出現することを説明し、症状出現時の対応方法を伝えます。また定期的な肝機能検査が必要であることを理解してもらい、検査の受診勧奨を行います。チノカプセルの供給停止予定についても、必要に応じて情報提供し、今後の治療計画について主治医と相談するよう促します。

調剤時には製品の取り違えに特に注意が必要です。チノカプセルとフジケノンは有効成分が同じでも適応が異なり、薬価も大きく違います。処方箋の記載と製品名、適応症を照合し、疑義がある場合は必ず処方医に確認します。

先天性胆汁酸代謝異常症に関する開発要請資料