大黄甘草湯ツムラ84の効能と副作用注意点

大黄甘草湯ツムラ84の効能と副作用

1週間の服用で腸が真っ黒に変色します

この記事の3つのポイント
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大黄甘草湯の基本構成

大黄4.0gと甘草2.0gの2種類の生薬から構成され、体力に関わらず幅広い年齢層に使用できる便秘薬です

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重大な副作用リスク

甘草含有により偽アルドステロン症、大黄の長期使用で腸管メラノーシスや腸管機能低下のリスクがあります

効果発現時間

就寝前服用で8〜10時間後に効果が現れるため、翌朝の自然な排便が期待できます

大黄甘草湯ツムラ84の構成生薬と特徴

 

大黄甘草湯は、漢方の古典「金匱要略」に記載されている歴史ある処方です。ツムラ84番として医療用漢方薬に採用されており、便秘症の治療に広く使用されています。

本剤の最大の特徴は、その構成生薬のシンプルさにあります。大黄(ダイオウ)4.0gと甘草(カンゾウ)2.0gのわずか2種類の生薬のみで構成されており、これは漢方薬の中でも極めて少ない組み合わせです。生薬の種類が少ないほど作用がシャープで明確になる傾向があり、大黄甘草湯はまさにその代表例といえます。

つまり効果が読みやすいということですね。

大黄は腸の蠕動運動を活発にする主役の生薬で、アントラキノン系の成分が大腸を刺激して排便を促進します。一方、甘草は大黄の強い瀉下作用を緩和し、腹痛などの副作用を軽減する役割を果たしています。この2つの生薬が相互に作用することで、効果的かつ比較的穏やかな排便効果を実現しているのです。

体力に関わらず使用できる点も大きな特徴です。多くの漢方薬は「体力中等度以上」「虚弱体質には不向き」といった体力の条件がありますが、大黄甘草湯は幅広い年齢層や体質の患者に処方できます。これは医療現場で非常に使いやすい特性といえるでしょう。

医療用ツムラ84番の1日用量7.5gには、上記の割合で混合生薬の乾燥エキス1.5gが含有されています。添加物としてステアリン酸マグネシウムと乳糖水和物が配合されており、黄褐色の顆粒剤として提供されています。

ツムラ大黄甘草湯エキス顆粒(医療用)添付文書

こちらは製品の詳細情報が記載されている公式の添付文書です。用法用量や副作用の詳細を確認する際の参考資料として活用できます。

大黄甘草湯ツムラ84の効能効果と作用機序

大黄甘草湯の効能効果は「便秘症」です。特に常習性便秘や急性便秘に対して使用されます。便秘以外に特別な症状がない場合に適しており、便秘に伴う頭重、のぼせ、腹部膨満、ふきでもの(にきび)などの症状緩和にも効果を発揮します。

作用機序は主に大黄に含まれるセンノシド類によるものです。センノシドは大腸内の腸内細菌によって分解され、活性型のレインアンスロンに変換されます。このレインアンスロンが大腸粘膜を刺激し、腸管の蠕動運動を促進することで排便を促します。

どういうことでしょうか?

大黄の成分は胃や小腸では吸収されにくく、大腸に到達してから初めて効果を発揮するということです。つまり、大腸をピンポイントで刺激する設計になっているため、上部消化管への影響が少なく、比較的安全性が高いとされています。

臨床試験のデータでは、大黄甘草湯の有効率は86.4%と報告されています。これはプラセボ群の44.7%と比較して明らかに高い数値です。便秘症と診断された患者に対して1日7.5gを3回に分割して2週間投与した結果、約9割近い患者で効果が認められたということは、臨床現場での信頼性の高さを示しています。

服用タイミングは食前または食間が推奨されます。就寝前に服用すると約8〜10時間後に効果が現れるため、翌朝の自然な排便が期待できます。これは患者の生活リズムに合わせた服薬指導が可能であることを意味します。

効果発現時間が予測しやすいのが特徴です。

効果の即効性も大黄甘草湯の魅力です。多くの漢方薬は「数週間から数ヶ月の継続服用で効果が出る」とされますが、本剤は比較的早期に便通改善効果を実感できます。これは患者のアドヒアランス向上にもつながります。

ただし、症状や体質によって効果の強さに個人差があります。大黄の瀉下作用には個人差が認められるため、患者の反応を見ながら用量を調整することが重要です。年齢、体重、症状により適宜増減が必要になるケースもあります。

大黄甘草湯ツムラ84の重大な副作用と注意点

大黄甘草湯には重大な副作用として偽アルドステロン症とミオパチーがあります。これらは甘草に含まれるグリチルリチン酸によって引き起こされる可能性があります。

偽アルドステロン症は、低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの症状を呈します。発症機序としては、グリチルリチン酸が腎臓の尿細管でのカリウム排泄を促進し、結果的に血清カリウム値が低下することが考えられています。一般に甘草の1日量が2.5gを超えると発症リスクが上がると報告されていますが、本剤の甘草含有量は2.0gであり、この量でも長期連用や他の甘草含有製剤との併用で発症する可能性があります。

偽アルドステロン症には注意が必要です。

低カリウム血症が進行すると、ミオパチー(筋障害)が発症することがあります。脱力感、四肢痙攣・麻痺などの症状が特徴的で、重症化すると日常生活に支障をきたします。血清カリウム値の測定や血圧値のモニタリングを定期的に行い、異常が認められた場合には速やかに投与を中止し、カリウム製剤の投与など適切な処置が必要です。

その他の副作用として、消化器症状(食欲不振、腹痛、下痢など)が報告されています。これは大黄の作用が強く現れすぎた場合に起こりやすく、特に胃腸が虚弱な患者や体力が著しく衰えている患者では注意が必要です。

長期連用による大腸メラノーシスも重要なリスクです。大黄を含む漢方薬を1年以上連用すると、大腸粘膜が黒褐色に変色する現象が起こります。これは大黄に含まれるアントラキノン系化合物が腸粘膜に沈着することで生じます。大腸メラノーシス自体は病的な状態ではないとされていますが、長期連用により腸管の神経叢や筋層の機能が低下し、薬がないと排便できない下剤依存の状態に陥るリスクがあります。

腸管蠕動機能低下が問題なのです。

さらに深刻なのは、大黄含有漢方薬の5年以上の長期服用で腸間膜静脈硬化症という大腸の病気をきたす可能性が報告されていることです。この疾患は腸の血管が石灰化し、腸閉塞などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。したがって、漫然とした長期投与は避け、必要最小限の期間での使用が推奨されます。

妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいとされています。大黄に含まれる成分には子宮収縮作用及び骨盤内臓器の充血作用があり、流早産の危険性があるためです。また、授乳婦についても、大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児の下痢を起こすことがあるため、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して授乳の継続または中止を検討する必要があります。

漢方薬で腸が黒くなる?|便秘と「大黄」についての注意点

大黄の長期連用による腸管メラノーシスや腸管機能低下について詳しく解説されています。患者への服薬指導時の参考情報として有用です。

大黄甘草湯ツムラ84の併用注意薬剤

大黄甘草湯は他の漢方製剤等を併用する場合、含有生薬の重複に十分注意する必要があります。

特に重要なのが、甘草含有製剤との併用です。

甘草を含む代表的な漢方薬として、芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散などがあります。これらと大黄甘草湯を併用すると、グリチルリチン酸の総摂取量が増加し、偽アルドステロン症の発症リスクが高まります。漢方薬の処方の約7割が甘草を含有しているとされており、複数の漢方薬を併用する場合は必ず甘草の総量を確認することが必須です。

グリチルリチン酸の重複に注意が必要です。

グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤との併用も注意が必要です。グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン配合錠、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠などの肝機能改善薬には、グリチルリチン酸が含まれています。これらと大黄甘草湯を併用すると、グリチルリチン酸の作用が重複し、低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれやすくなります。

相互作用の機序としては、グリチルリチン酸が腎臓の尿細管でのカリウム排泄促進作用を持つため、併用により血清カリウム値の低下が促進されることが考えられます。特に高齢者や腎機能が低下している患者では、カリウム排泄能が低下しているため、より慎重なモニタリングが必要です。

大黄を含む製剤との併用にも特に注意が必要です。調胃承気湯、桃核承気湯、防風通聖散など、大黄を含む漢方薬は多数存在します。これらと大黄甘草湯を併用すると、大黄の瀉下作用が過剰に現れ、激しい下痢や腹痛を引き起こす可能性があります。

これは使えそうです。

一般用医薬品の便秘薬にも注意が必要です。市販の便秘薬の多くは大黄の主成分であるセンノシドを含んでおり、例えばコーラックやアローゼン、プルゼニドなどがそれに該当します。患者が自己判断でこれらの市販薬を併用していないか確認することも重要です。

他の下剤(刺激性下剤、浸透圧性下剤など)との併用についても慎重な判断が求められます。酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤との併用は比較的安全とされていますが、ピコスルファートナトリウムなどの刺激性下剤との併用は作用が重複するため避けるべきです。

服薬指導の際には、患者に対して「他の便秘薬や漢方薬、サプリメントを使用していないか」を必ず確認し、併用薬の情報を収集することが患者の安全確保につながります。特にドラッグストアで購入できる一般用医薬品や健康食品には、甘草やセンナが含まれていることが多いため、注意喚起が必要です。

大黄甘草湯ツムラ84の適切な用法用量と服薬指導

大黄甘草湯ツムラ84の標準用法用量は、通常成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減が必要であり、画一的な投与ではなく個別化が重要です。

食前投与が推奨される理由は、漢方薬の成分が胃酸の影響を受けにくく、空腹時の方が吸収が良いためです。食前とは食事の30分〜1時間前を指し、食間とは食事と食事の間(食後約2時間後)を意味します。患者によってはこのタイミングが守りにくい場合もあるため、ライフスタイルに合わせた服薬指導が求められます。

食前か食間が基本です。

就寝前の服用は特に便秘症に対して有効な選択肢です。就寝前に服用することで、約8〜10時間後の翌朝に自然に近い排便が得られます。これは多くの患者にとって理想的なタイミングであり、日常生活への支障が少ないため、アドヒアランスの向上につながります。ただし、効果発現時間には個人差があるため、患者の反応を見て服用時間を調整することが重要です。

昼間に服用した場合、効果が早く出たり強く出たりする可能性があります。これは食事や運動により腸のはたらきが活発になるためです。外出予定がある日の昼間の服用は避けるよう患者に説明しておくと、予期せぬトラブルを防げます。

用量調整の目安として、初回は標準量から開始し、効果が強すぎる場合(下痢や腹痛が起こる場合)は減量を検討します。逆に効果が不十分な場合は増量も可能ですが、大黄の瀉下作用には個人差が大きいため、慎重に判断することが必要です。

服用期間については、短期間の使用が原則です。

慢性便秘に対して長期連用することは避けるべきであり、症状が改善したら速やかに中止または間欠投与に切り替えることが推奨されます。大黄含有製剤の長期連用は腸管機能低下や下剤依存を招くリスクがあるため、1〜2週間程度の短期使用を基本とし、それ以上継続する場合は定期的に投与の必要性を再評価することが重要です。

患者への服薬指導では以下の点を伝えることが推奨されます。まず、服用後に下痢や腹痛が強く出た場合は服用を中止し、医師または薬剤師に相談すること。次に、むくみ、血圧上昇、手足のつり、脱力感などの症状が現れた場合は偽アルドステロン症やミオパチーの可能性があるため、すぐに医療機関を受診すること。また、便秘が改善しない場合や悪化する場合は、他の疾患が隠れている可能性があるため医師に相談することも重要です。

飲み忘れた場合の対応も説明しておきましょう。気づいた時点で1回分を服用しますが、次の服用時間が近い場合は1回飛ばして、次回から通常通り服用します。2回分を一度に服用することは絶対に避けるよう強調することが大切です。

厳しいところですね。

小児への投与については、小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、安全性が確立されていません。一般用医薬品では年齢に応じた用量調整がなされていますが、医療用では慎重な判断が必要です。

高齢者への投与では、減量するなど注意が必要です。一般に高齢者は生理機能が低下しており、副作用が現れやすいためです。特に腎機能や肝機能の低下がある高齢患者では、薬物の代謝・排泄が遅延し、副作用リスクが高まります。

服薬指導の際には、患者の理解度を確認しながら、専門用語を避けて分かりやすく説明することが重要です。また、服薬後の経過観察を促し、何か異変があればすぐに連絡するよう伝えておくことで、重大な副作用の早期発見につながります。

「便秘でお腹が苦しい…」そんな時の漢方、大黄甘草湯ってどんな薬?

大黄甘草湯の使用方法や注意点について、患者向けに分かりやすく解説されています。

服薬指導時の説明の参考になります。


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