非びらん性胃食道逆流症 原因 食道知覚過敏 逆流 症状 検査

非びらん性胃食道逆流症 原因

非びらん性胃食道逆流症(NERD)原因の全体像
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「酸逆流があるNERD」と「酸が多くないNERD」

NERDは均一な疾患ではなく、酸曝露が明らかな群と、食道知覚過敏などで少量刺激を強く症状化する群が混在します。

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食道知覚過敏が「症状の増幅器」になる

内視鏡所見が乏しくても、知覚過敏により胸やけ・胸痛・咽喉頭症状が強く出ることがあります。

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検査で「逆流と症状の関係」を見に行く

PPI反応が乏しい場合ほど、インピーダンスpHなどで酸/非酸逆流や関連指標を確認し、治療の方向性を再設計します。

非びらん性胃食道逆流症 原因:胃酸逆流とLES機能不全

 

非びらん性胃食道逆流症(NERD)は、逆流症状があるにもかかわらず内視鏡で明らかな粘膜傷害を認めないGERDサブタイプに位置づけられます。

GERDの基本病態は、下部食道括約筋(LES)機能低下や一過性LES弛緩(TLESR)などによる胃内容物の逆流と、食道内の過剰な酸曝露です。

つまりNERDでも「逆流が起きている」こと自体は重要で、びらん性食道炎ほど強い酸曝露ではなくても、逆流イベントが症状の出発点になります。

臨床で押さえるポイントは、「酸分泌が多いから症状」だけではない点です。酸逆流が明確なNERD(狭義のNERD)もありますが、同じ“胸やけ”でも背景が違えば治療反応性が変わります。

また食道裂孔ヘルニアや食道運動障害は酸曝露の増加に寄与し得るため、問診・内視鏡所見・体型変化などを合わせて評価すると原因推定の精度が上がります。

医療者向けの実務としては、原因を「逆流の量」と「症状の感じやすさ(知覚)」の二軸で整理してカルテに残すと、治療変更の根拠が作りやすくなります。

例えば「逆流量が多い→酸抑制強化」「逆流量が軽いが症状強い→知覚過敏や機能性要素を疑う」というように、原因仮説がそのまま次の一手につながります。

非びらん性胃食道逆流症 原因:食道知覚過敏とTRPV1

NERDの原因を語るうえで、食道知覚過敏は中心的なキーワードです。

NERDでは、酸注入試験で症状が強く早期に誘発されやすいことなどから、逆流性食道炎よりも「刺激に対する過敏性」の関与が示唆されてきました。

加えて、物理・化学刺激で活性化されるTRPV1の発現増加がNERDで報告されており、末梢神経レベルでの過敏化が病態の裏づけになります。

ここが臨床上“ハマりどころ”で、内視鏡で所見が乏しいと「気のせい」「ストレス」と片づけられがちですが、知覚過敏は生物学的に説明可能な要素です。

その結果、酸逆流が軽微でも胸やけ、胸痛、咽喉頭違和感などが強く出て、患者のQOLが大きく落ちます。

またPPIで酸を十分に抑えても症状が残る(反応が約50%程度にとどまる背景の一部)ことが、知覚過敏が“原因として残り続ける”ことの臨床的サインになります。

診療の工夫としては、症状の言語化を手伝うことが治療成績に影響します。

「呑酸が主」「食後すぐ」「前屈で悪化」など逆流らしい要素と、「少量でも灼ける感じ」「緊張で増悪」「痛みが強いが検査が軽い」など過敏性らしい要素を分けて把握すると、原因の重心が見えてきます。

非びらん性胃食道逆流症 原因:非酸逆流・空気逆流・げっぷ(SGB)

NERD/薬剤抵抗性GERDの原因として、酸だけでなく「酸以外の逆流(非酸逆流)」や気体成分を含む逆流も重要です。

食道インピーダンスpHモニタリングの普及により、酸ではない逆流イベントと症状の関連が可視化され、原因の説明が一段階進みました。

この文脈で近年注目されるのが、supragastric belching(SGB:胃由来ではない“上部からのげっぷ”)です。

SGBは、通常LESが弛緩しないまま、食道内腔の陰圧化と上部食道括約筋(UES)弛緩により空気が食道へ流入し、そのまま吐出されるタイプのげっぷと説明されています。

臨床的に重要なのは、PPI抵抗性GERDの一部にSGBや反芻などが混在し得る点で、酸抑制だけを強めても原因に当たらないケースが生まれることです。

さらにSGBは不安・うつ、不眠などとの関連も示されており、心身相関を「原因の一部として」扱う視点が必要になります。

この領域は患者説明が難しい一方、説明が成功すると治療が前に進みやすい分野です。

「胃が悪いからげっぷ」ではなく、「空気の出入りのパターンが症状を増幅している可能性」を丁寧に共有すると、呼吸法・行動療法などの介入を提案しやすくなります。

薬剤抵抗性の背景にSGBがある場合、認知行動療法や呼吸トレーニングが有効だった報告もあり、原因に応じて“薬以外の手段”が現実的な選択肢になります。

非びらん性胃食道逆流症 原因:鑑別(逆流過敏性食道・機能性胸やけ)

実臨床で「NERD」と呼ばれている集団には、病態が異なる複数の群が混在することが大きな落とし穴です。

酸曝露と知覚過敏の関与の程度でみると、狭義のNERDだけでなく、少量逆流で症状が出る“逆流過敏性食道”、逆流と無関係に症状が出る“機能性胸やけ”が含まれ得る、と整理されています。

つまり「内視鏡陰性の胸やけ」をすべて同じ原因で扱うと、治療の迷走が起きやすくなります。

鑑別の実務では、まず危険徴候(嚥下困難、体重減少、吐血・黒色便、貧血など)を外し、内視鏡で器質疾患を除外したうえで、症状と逆流イベントの関係を評価する段階に移ります。

ここで24時間pHモニタリングやインピーダンスpH、必要に応じて食道内圧検査などが、原因の層別化に役立ちます。

結果として「酸曝露が高い」「逆流イベントと症状の相関が高い」「逆流は少ないが症状が強い」などが見えると、酸抑制継続、アルギン酸塩、運動機能への介入、知覚過敏への対応(神経調節薬を含む)など、治療を論理的に組み立てやすくなります。

原因が機能性寄りであるほど、患者は「検査で異常がないのに苦しい」体験を繰り返しやすいので、説明の質が治療の一部になります。

医療者側が原因を層別化して言語化し、「異常がない=問題がない」ではなく「粘膜傷害がないタイプの原因が考えられる」と伝えるだけで、通院中断やドクターショッピングの予防につながることがあります。

非びらん性胃食道逆流症 原因:独自視点—睡眠障害と“夜間症状”の悪循環

検索上位の一般向け記事では生活習慣(食事、姿勢、肥満)に焦点が当たりがちですが、医療従事者が見落としたくない関連として「睡眠障害」があります。

GERDは睡眠障害と相互に関連し得ることが示されており、夜間の逆流が睡眠を乱し、睡眠の質低下が翌日の痛覚・内臓知覚の過敏性を高め、結果としてNERD症状が増幅する、という悪循環が臨床的に起こり得ます。

とくに内視鏡所見が乏しいNERDほど「症状のつらさ=生活全体の崩れ」として現れやすく、睡眠は原因評価の“周辺情報”ではなく、症状持続のドライバーとして扱う価値があります。

問診で使える実装例を挙げます。

  • 「胸やけで覚醒するか」
  • 「寝つき・中途覚醒早朝覚醒のどれが主か」
  • 「寝る直前の飲食、飲酒、スマホ、夜食」
  • 「いびき・無呼吸、起床時頭痛、日中の眠気」

    これらは逆流の原因(夜間の逆流増加)と、知覚過敏の背景(睡眠不足による過敏化)を同時に拾える質問です。

治療戦略としては、原因が“夜間に偏る”場合、薬の種類や投与タイミング、生活指導(就寝前の食事間隔、頭側挙上)を見直すだけで改善することがあります。

一方で、SGBや不安、機能性要素が強い場合は、睡眠衛生指導や呼吸法などが症状の入口になることもあり、ここが薬物強化一辺倒よりも成果が出やすい場面です。

【ガイドラインの所在(病態・診断・治療の根拠の全体像)】

Minds掲載:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)

【NERDが均一でないこと、SGBなど近年の論点(病態のアップデート)】

日消誌 総説PDF:GERD診療の進歩(NERDのheterogeneous性、SGBの関与など)

逆流性食道炎と診断された自営ウェブデザイナーの6年間と付き合い方