自己免疫性胃炎 診断基準 病理
自己免疫性胃炎 診断基準の要件(内視鏡・組織・自己抗体)
自己免疫性胃炎(AIG)の診断を「統一した形」に近づけた提案として、日本消化器内視鏡学会の附置研究会から、確診例を「AIGの要件を満たす内視鏡所見または組織所見(あるいは両方)に加え、胃自己抗体(抗壁細胞抗体または抗内因子抗体、あるいは両方)が陽性」とする枠組みが示されています。
この枠組みが実務上重要なのは、従来“総合判断”として施設差が大きかった要素(内視鏡・病理・血清検査のどれをどれだけ重視するか)を、最低限の必須条件に落とし込んだ点です。
また、早期AIGについては内視鏡所見が今後の集積課題とされ、現段階では「早期AIGの組織所見+胃自己抗体陽性」を満たすことが診断の中心になる、という考え方が明確に言語化されています。
医療現場での運用に落とすと、まずは次の“二段ロジック”が扱いやすいです。
- ①AIGを疑う入口:胃体部〜胃底部優位の萎縮(逆萎縮パターン)、固着粘液、残存胃底腺粘膜、過形成性ポリープなどを見たらAIGを鑑別に上げる。
- ②確診に寄せる:生検(体部主体)でAIGらしい組織像を押さえ、自己抗体(抗壁細胞抗体/抗内因子抗体)で裏を取る。
ここで誤解されやすい点として、「高ガストリン血症だからAIG」「ペプシノゲンが低いからAIG」といった単独判定は避けたほうが安全です。 これらは非AIGの萎縮性胃炎でも上がり得るため、提案基準では確診の必須条件から外されています。
自己免疫性胃炎 病理の三所見(壁細胞傷害・ECL細胞過形成・化生)
自己免疫性胃炎の病理診断は、「壁細胞傷害とその程度」「ECL細胞過形成」「胃底腺消失後の頸粘液細胞・幽門腺細胞化生」という三所見が重要、という整理が提案されています。
この“3点セット”は、単にAIGかどうかの判断材料にとどまらず、病変がどの時相(早期→進行最盛期→進行終末期)にあるかを、組織学的に説明するためのフレームにもなります。
特にECL細胞過形成は、低酸→高ガストリン→ECL刺激という病態の連鎖を組織上で可視化する所見であり、AIGを「萎縮性胃炎の一種」ではなく「内分泌細胞系の二次変化まで含む疾患」として扱う根拠になります。
病理レポートを読む側(内視鏡医・主治医)としては、所見を“丸暗記”するよりも、次のように意味づけすると臨床判断に直結します。
- 壁細胞傷害:酸分泌・内因子低下の土台(貧血、B12欠乏、鉄欠乏の背景)。
- 化生(偽幽門腺・頸粘液細胞など):胃底腺の置換=不可逆変化が進んだサインとして理解しやすい。
- ECL細胞過形成:サーベイランス上の論点(NETリスク)に接続する“危険信号”。
実際には、背景にH. pylori感染(現感染・既感染)が混在すると像が紛らわしくなり、前庭部にも萎縮・炎症が乗って“典型的AIG”から外れて見えることがあります。 そのため、「体部優位」という構造と、病理の3点セットで軸を保つのが有用です。
自己免疫性胃炎 病理の時相分類(早期・進行最盛期・進行終末期)
提案されている時相分類では、AIGの組織像は大きく「早期(early stage)」「進行最盛期(advanced florid stage)」「進行終末期(advanced end stage)」の3期として整理されています。
早期では、胃底腺粘膜構造は保たれつつ、壁細胞の変性(膨化・管腔内突出・脱落など)や、腺管部優位の炎症細胞浸潤が手掛かりになります。
進行最盛期では、壁細胞の著減〜消失がより明確になり、幽門腺細胞・頸粘液細胞(偽幽門腺)への置換とECL細胞過形成が前景化します。
進行終末期に進むと、腸上皮化生が高度になり、胃小窩延長とともに、残存する幽門腺や頸粘液腺が少量となる像が目立ちます。 ここまで来ると「どこを生検しても診断がつく」ように見えて、実は化生が強すぎてECLやG細胞評価が難しくなる場面も出ます。
このため、提案ではECL細胞を客観的に評価するためにクロモグラニンA(困難ならシナプトフィジン)などの免疫染色が推奨され、壁細胞や主細胞・頸粘液細胞、G細胞についても免疫染色の推奨が明記されています。
また、早期AIGは内視鏡で完成された高度萎縮がなく、胃体部大彎の皺壁が保たれ、淡い発赤を呈する腫大した胃小区が目立つ、といった所見が示されています。 つまり、内視鏡像だけだと「軽い炎症」「別の胃炎」に見え得るため、臨床側がAIGという仮説を持って生検・血清検査の設計を行うこと自体が、診断能を左右します。
自己免疫性胃炎 診断基準に沿う生検部位・免疫染色(腸上皮化生を避ける)
診断精度を上げる実務のポイントは、「どこを、何を狙って取るか」を最初に固定することです。 提案では、生検部位として幽門前庭部大彎(幽門輪から2cm口側)と胃体上部大彎から各1点が推奨され、状況により胃体上部大彎1点のみでも可、とされています。
加えて、胃体部の萎縮評価やH. pylori既感染の有無判定には、胃角と胃体中部小彎の生検も推奨されています。
さらに重要な注意として、G細胞やECL細胞を正確に判定するには、腸上皮化生をできるだけ避けて生検することが強調されています。
病理の側と“同じ地図”で会話するために、依頼時のオーダーコメントは少し具体的にすると有効です。
- 「自己免疫性胃炎疑い。体部優位萎縮。ECL過形成の評価も希望」など、ECL評価を明示する。
- 可能なら「クロモグラニンA(またはシナプトフィジン)追加の要否検討」を最初から含める。
- 化生が強い部位は避けて、残存胃底腺粘膜や体部大彎の評価可能な部位を意識して採取する。
血清検査については、抗壁細胞抗体・抗内因子抗体の意義が大きい一方で、抗壁細胞抗体は測定法やカットオフ(低力価の偽陽性)に注意が必要、といった現場的な注意点も示されています。 つまり、陽性/陰性だけでなく「臨床像・内視鏡像・病理像が揃っているか」を最後に再確認する癖が、誤診のブレーキになります。
参考:診断基準(確診・疑診)、内視鏡所見(固着粘液・残存胃底腺粘膜など)、生検推奨部位、免疫染色推奨がまとまっている
自己免疫性胃炎の診断基準に関する附置研究会からの新提案(J-STAGE)
自己免疫性胃炎 診断基準の独自視点:高ガストリン血症を「確定」ではなく「設計」に使う
高ガストリン血症はAIGの病態理解(無酸→ネガティブフィードバック破綻→ガストリン上昇)に直結する一方で、診断基準の“必須条件”からは外されています。 ここに、実務で使える独自の視点があります――高ガストリン血症は「確定の印鑑」ではなく、「次の検査設計を決めるスイッチ」として扱うのが合理的です。
具体的には、ガストリンが高い時点で「ECL細胞過形成の評価(病理・免疫染色)」「NETを意識した内視鏡サーベイランス」「B12/鉄など欠乏評価」へ、診療の焦点を移す判断がしやすくなります。
また、採血タイミングの注意も軽視されがちです。 ガストリンは胃壁伸展でも上昇するため、内視鏡直後の測定を避け、内視鏡前または別日に行う、という運用上の注意が示されています。
この「タイミング1つで数字が揺れる」という性質は、上司チェックで突っ込まれやすい点でもあります。数値を提示するなら、測定条件(内視鏡との前後関係、H. pylori陽性例では除菌後再測定が望ましい等)まで文章化しておくと、記事の説得力が上がります。
最後に、臨床現場でありがちな落とし穴を整理します。
- 「萎縮=AIG」と短絡し、自己抗体や体部優位の構造を確認しない(AIGの診断軸が崩れる)。
- 「ガストリン高値=AIG確定」と誤解し、非AIG萎縮や測定条件の影響を見落とす(診断基準の意図と逆)。
- 「化生が強い=十分」と安心し、ECL評価可能な部位・免疫染色の工夫をしない(“AIGらしさ”がレポートに残りにくい)。

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