胃瘻部合併症と観察とケア
胃瘻部合併症の肉芽:見分けと介入ライン
胃瘻部の肉芽は、カテーテルという異物刺激による反応として生じうる、と整理されています。
小さな肉芽は必ずしも処置対象ではなく、巨大化、痛みが強い、浸出液が多い、出血がある場合が治療対象になる、という考え方が示されています。
介入するときは「肉芽だけに塗布し、健常皮膚に付けない」「長期連用しない(目安2週間程度)」といった副作用回避のポイントが提示されています。
医療現場で意外に見落とされやすいのは、肉芽そのものよりも“周囲の固着した浸出物”です。瘻孔周囲に過剰肉芽があると滲出液が増えることがあり、放置すると乾燥・固化してスキントラブルや炎症・感染の引き金になり得る、と説明されています。
つまり「肉芽がある=すぐ焼灼」ではなく、まずは洗浄で付着物を落とし、皮膚の湿潤/びらん化を作らない設計(吸収・保護・交換頻度)に組み直すほうが、結果的に介入回数を減らせる場面が多いです。
胃瘻部合併症の漏れ:半固形化と小腸挿管の位置づけ
胃瘻部トラブルで難渋しやすいものとして「漏れ」が挙げられ、放置すると瘻孔拡大から漏れが悪化する悪循環に入る、とされています。
漏れが出た際、皮膚を守る目的で創傷被覆材の貼付や撥水性クリームの塗布を行う、という対処が紹介されています。
ただし漏れ対策は対症療法にとどまりやすく、根本として漏れそのものをコントロールする必要があり、方法として栄養剤の半固形化投与や小腸挿管(PEGJ)が挙げられています。
臨床で押さえたいのは「漏れの評価は量よりパターン」です。毎食の注入のタイミングで漏れるのか、体位変換で滲むのか、夜間にガーゼが湿るのかで、圧迫・固定・胃内容の逆流・栄養剤粘度など疑うべき因子が変わります(介入の優先度が変わる)。
また、漏れが増えると“保護材の貼りっぱなし”が起きやすい一方、栄養剤や胃液がしみた材料が長時間皮膚に当たること自体が皮膚炎や感染リスクを引き上げるため、吸収材は「安価で交換しやすい」設計にする、という発想が実務上の転機になります。
胃瘻部合併症の感染:圧迫・漏れ・真菌の落とし穴
瘻孔感染に対応する際は原因を考える必要があり、2大原因として「圧迫」と「漏れ」が提示されています。
外部ストッパーと皮膚の間に約1cmのゆとりが正常とされ、きつすぎると皮膚に食い込んで潰瘍形成につながるため、まずストッパー調整(必要なら長さ変更)を行う、という対応が説明されています。
さらに、栄養剤のしみ込んだガーゼなどが皮膚に長時間接触すると、温度・湿度・栄養がそろって細菌/真菌の温床になり得て、ガーゼ形状に皮膚炎が起きるのが特徴、という注意点が示されています。
感染“らしさ”の判断では、発赤があるだけで抗菌薬に寄せるのではなく、まず圧迫の解除と漏れの制御を同時に進めるほうが改善が早いケースがあります(原因が残れば局所ケアが増えても再燃しやすい)。
日常のスキンケアは清潔保持が中心で、洗浄後に消毒をする必要はない、という基本方針が示されているため、むしろ「洗浄の量・回数」「乾燥のさせ方」「密閉しすぎない被覆」を見直すことが、再発予防の実務的ポイントになります。
胃瘻部合併症のスキンケア:ティッシュこよりとガーゼの再評価
胃瘻周囲は清拭または洗浄により清潔を保つこと、日常のスキンケアで消毒の必要はないことが明確に述べられています。
滅菌ガーゼは必須ではなく、粘着テープ固定や湿潤によるスキントラブルの原因にもなり得る、とされています。
滲出液がある場合の工夫として、こより状にしたティッシュペーパーをカテーテル周囲に巻く方法が紹介され、粘着テープが不要で、ガーゼより吸収が比較的よいとされます。
この「ティッシュこより」は、派手な新規デバイスではないのに現場のアウトカムを変えることがあります。理由は単純で、交換コストと心理的ハードルが下がり、“汚れたらすぐ交換”が実現しやすいからです(結果として細菌・真菌の温床を作りにくい)。
ただし、こよりを厚く巻きすぎてカテーテル周囲が常に圧迫状態になると別のトラブル(食い込み、循環障害)へ寄るため、観察しながら「薄く・頻回・短時間で交換」の運用が安全です。
胃瘻部合併症の独自視点:観察を「毎食ルーチン」に落とす記録術
胃瘻部のスキントラブル予防の第一は、日々のケアと毎食ごとの観察から始まる、と強調されています。
また観察項目として、発赤、腫脹、熱感、疼痛、発疹、掻痒、乾燥、落屑、湿潤、滲出液の有無などを、周囲皮膚と比較しながら確認することが推奨されています。
この「毎食観察」を形骸化させないコツは、観察を“記録のため”ではなく“次の一手を決めるため”に設計することです。
実務で使える運用例(独自視点)は、毎食前の30秒チェックをテンプレ化し、1つでも当てはまれば同じアクションに接続する方式です。
✅チェック(例)。
・出血/新規の発赤がある
・浸出液が増えた/臭いが変わった
・こより/被覆材が「前回より早く」湿る
・疼痛や掻痒の訴えが増えた
・ストッパーと皮膚の距離が変わった気がする(きつい/ゆるい)
➡アクション(例)。
・洗浄→十分乾燥→撥水性クリームor被覆材で保護(漏れがあるとき)
・ストッパー圧迫が疑わしければ「まず緩める/長さ変更相談」を優先
・ガーゼ“貼りっぱなし”をやめ、交換しやすい材へ(真菌温床を作らない)
記録も同様に、文章で長く残すより「増悪の兆候を拾える粒度」が重要です。例えば「発赤あり」だけでなく「直径〇cm」「浸出液:透明/白濁」「交換回数:前日比」など、次の勤務者が迷わず同じ判断を取れる項目に絞ると、対応のブレが減り、結果的に合併症の慢性化を抑えやすくなります。
胃瘻の日常スキンケア(消毒不要、観察項目、こより等の具体策)の根拠。
胃瘻部スキントラブル(肉芽・漏れ・真菌・圧迫、半固形化/PEGJなど対応の要点)。