胃瘻造設後皮膚トラブルと
胃瘻造設後皮膚トラブルの観察と洗浄
胃瘻造設後皮膚トラブルは、軽症のうちに拾えるかどうかで経過が大きく変わります。観察は「毎日」ではなく、可能なら注入ごとに“同じ観察点”を反復するほうが実務的です。PDNでは、注入毎に出血・発赤・浸出液などを観察する習慣化が推奨されています。
- 観察ポイント:発赤、腫脹、熱感、疼痛、掻痒、落屑、湿潤、滲出液、出血、臭気。
- ストッパー確認:外部ストッパーと皮膚の間に約1cmのゆとりが目安(きついと潰瘍・感染の誘因)。
- カテーテルの回転:抵抗なく回るか(固定過多や埋没の前兆を拾う)。
洗浄は「水道水で清拭または洗浄」が基本で、日常的に消毒を追加する必要はない、という整理が重要です。皮膚は無菌ではなく、消毒よりも“汚れを落として清潔に保つ”ことが要点として示されています。入浴やシャワーも、局所と全身が安定していれば術後の一定期間を目安に可能で、胃瘻部を不必要に覆わず洗浄剤で洗い流すほうが効果的、という説明は患者・家族指導にそのまま使えます。
また、乾燥しやすい皮膚ではスキンケア後10分以内の保湿が効率的で、漏れがあるときは撥水性クリームや白色ワセリンを薄く広く塗布して予防する、という具体策が明記されています。
日常ケアの「意外な落とし穴」は、滅菌ガーゼの“正しさ”が逆にトラブルを増やす点です。PDNは、滅菌ガーゼの常用が交換をためらわせたり、栄養剤付着で真菌の温床になり得るため推奨しない、としています。代替としてティッシュペーパー等をこより状にして巻き、汚れたらすぐ交換する、という“コストと交換頻度”を優先した現実的手段が紹介されています。
胃瘻スキンケアの基本(洗浄・消毒不要、入浴の考え方、観察ポイント)
胃瘻造設後皮膚トラブルの漏れと皮膚炎
胃瘻造設後皮膚トラブルで最も難渋しやすいのが「漏れ」で、放置すると瘻孔拡大→漏れ増悪の悪循環に入る、とPDNは整理しています。ここで重要なのは、皮膚側の対症療法(保護材・クリーム)と、漏れそのもののコントロール(投与方法やデバイス調整)を“別レイヤー”として扱う視点です。
漏れが少量なら、まずは皮膚に直接触れさせない「遮断」と、滲出・漏出の「吸収」を組み合わせます。PDNでは、創傷被覆材の貼付で吸収し、撥水性クリームを薄く広く塗布する方法が提示され、胃瘻専用の皮膚保護材(ペグケア等)も選択肢として紹介されています。
- 遮断:撥水性クリーム、白色ワセリンを“広く薄く”塗布して皮膚接触時間を減らす。
- 吸収:床ずれ領域で用いる創傷被覆材などで少量の漏れを吸収。
- 固定の見直し:外部ストッパーがきつい・当たりが強いと皮膚障害が増えるため、ゆとり調整や緩衝材を検討。
一方で、漏れ対策は皮膚保護だけで完結しない、という点が臨床の分岐です。PDNでは、漏れのコントロールとして「半固形化投与」や「小腸挿管(PEGJ)」などの戦略が記載され、特にPEGJは有効だが画像確認下で導入が必要、と明確に注意されています。皮膚炎が長引くときほど、外用追加ではなく“漏れの原因”に踏み込むほうが結果的に早い、というメッセージになります。
漏れの悪循環、皮膚保護(被覆材・撥水性クリーム)、半固形化投与・PEGJの考え方
PEGのトラブル A to Z ②スキントラブル|TOPIC…
胃瘻造設後皮膚トラブルの肉芽と出血
胃瘻造設後皮膚トラブルの肉芽(過剰肉芽・不良肉芽)は、異物刺激で生じやすく、少量なら経過観察でよい場合もあります。ただし巨大化、痛みが強い、浸出液が多い、出血がある場合は治療対象になり、現場では「どこまでが様子見か」の線引きが悩ましいところです。PDNでは、小さな肉芽は処置不要のことが多い一方、症状が強い場合は治療を考えると説明されています。
治療で意外に知られていないのは、「かつては硝酸銀で焼灼」が定番だった一方、現在はステロイド軟膏が“有用で簡便”としてよく行われ、2週間程度で改善することが多い、という実務的な方針です。ステロイドの塗り方には安全性のポイントがあり、PDNでは「肉芽にだけ塗る」「長期間使わない(2週間程度)」が強調されています。
- 様子見の目安:小さく、疼痛や出血がなく、浸出液が少ない。
- 介入を考える目安:巨大化、疼痛、浸出液増加、出血、ケアで改善しない。
- 外用の注意:肉芽のみに塗布、健常皮膚に付けない、漫然と継続しない。
“肉芽=感染”と短絡しないことも重要です。肉芽は炎症反応の結果として形成され得るため、同時に「圧迫」「漏れ」の評価を必ず戻して行うと、再燃が減ります(ストッパー圧迫や漏れが残ったままだと、肉芽だけ処置しても再発しやすい)。
肉芽の考え方(処置不要の範囲、治療対象、ステロイド軟膏のポイント)
PEGのトラブル A to Z ②スキントラブル|TOPIC…
胃瘻造設後皮膚トラブルの感染と真菌
感染(瘻孔感染)は、皮膚障害があると二次的に起こりやすく、逆に感染があると皮膚障害が遷延します。PDNでは瘻孔感染の診断にJainの基準(排膿があれば確定、発赤・浸出液・硬結などの評価)を参照する整理が紹介され、日常観察で誰でも判断しやすい枠組みとして位置付けられています。
原因として押さえるべきは、感染の“二大原因”が「圧迫」と「漏れ」である点です。圧迫は外部ストッパーがきつい状態で皮膚に食い込み、潰瘍形成から感染へつながり得るため、まずストッパーを緩める・長さを見直す、といった機械的調整が第一選択になります。漏れも同様に皮膚炎→バリア破綻→感染の流れをつくるため、前セクションの漏れ対策が感染予防そのものになります。
真菌感染は“気づくと広がっている”タイプの皮膚トラブルで、PDNは特に「栄養剤がしみ込んだガーゼが長時間接触すると、温度・湿度・栄養がそろって感染の温床になる」と説明しています。ここが意外なポイントで、善意で当てたガーゼが、交換頻度が低いほどリスクになる構図です。真菌感染が疑わしい場合は、ガーゼ運用を見直し、抗真菌外用で対応する、と明快に示されています。
- 感染を疑う所見:排膿、増悪する発赤、硬結、疼痛、浸出液増加、臭気。
- まずやること:ストッパー圧迫の解除、漏れの是正、洗浄の徹底(消毒連打ではない)。
- 真菌を疑うヒント:ガーゼの形に一致した皮膚炎、湿潤が続く、かゆみ。
胃瘻造設後皮膚トラブルの独自視点と物品運用
検索上位の記事は「洗浄」「漏れ」「肉芽」「感染」までを丁寧に扱う一方で、現場のトラブルを増やす“運用”の問題(物品選定、交換頻度、説明の仕方)までは踏み込まないことが少なくありません。ここでは、医療従事者がチームで再現できるように、あえて「物品運用」と「声かけ」を主役にして整理します。
まず、日常ケアでコストと衛生の両立を狙うなら、「高価で交換が滞りやすい物」より「安価で頻回交換できる物」が有利です。PDNは滅菌ガーゼを推奨せず、ティッシュやウェットティッシュ等の活用を挙げ、汚れる都度の交換を推しています。これは“節約”ではなく、交換頻度を上げて湿潤と栄養残渣を残さないための感染対策、という再定義が可能です。
次に、入浴・シャワーの説明で起きがちな誤解として「湯船=胃の中にお湯が入る」がありますが、PDNは胃瘻カテーテルが露出した状態で浴槽につかっても胃内にお湯が入ることはなく、過剰なフィルム被覆は不要、と明示しています。ここを丁寧に説明できると、家族が“濡らさないために拭くだけ”となり洗浄不足→滲出付着→皮膚炎、という連鎖を断てます。
最後に「乾かし方」も運用の盲点です。PDNはシャワー・入浴後はタオルで水分を拭き自然乾燥させ、ドライヤーは温風による皮膚ダメージやカテーテル破損につながるため使用しない、と注意しています。患者・家族は善意でドライヤーを使いがちなので、禁止理由まで添えて共有すると事故予防になります。
- 物品運用のコツ:交換頻度を上げられる素材(ティッシュ等)を優先し、湿潤・栄養残渣を残さない。
- 説明のコツ:「消毒しない」は手抜きではなく、洗浄で清潔を保つための方針と伝える。
- 意外な注意:ドライヤー禁止(皮膚ダメージ+カテーテル破損リスク)。
入浴・シャワーの考え方、滅菌ガーゼ不要、ドライヤー禁止、保湿・撥水性クリームのポイント