アコファイドと機能性ディスペプシア
アコファイドの作用機序とAChE
アコファイドは一般名アコチアミド塩酸塩水和物で、機能性ディスペプシア(FD)の治療薬として位置づけられています。
薬理の核は「アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害」により神経終末から遊離されたアセチルコリン(ACh)の分解を抑え、消化管運動(特に胃運動)を支えるAChシグナルを底上げする点です。
PMDAの申請資料(CTD概要)では、アコチアミドがヒトリコンビナントAChEを阻害し、BuChEよりAChEに選択的であること、さらにin vivo/in vitroで胃運動に関わる反応を増強することが示されています。
医療者の説明としては「胃の運動が落ちているFDで、コリン作動性の“指令”が弱まりやすいところを、分解抑制で支える」という図式に落とすと、患者説明と薬歴の整合が取りやすくなります。
作用機序の理解で実務上ありがちな誤解は、「消化管運動改善薬=すべて同じ」になってしまう点です。
アコファイドはAChE阻害という神経終末側の増強が主で、酸分泌抑制薬(PPI/P-CAB)や粘膜保護薬とは“狙う場所”が違うため、症状の型(食後膨満・早期満腹感)とメカニズムを結び付けて処方意図を言語化することが、医師・薬剤師・看護師での共有に役立ちます。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2025/P20250929003/380077000_22500AMX00868_A100_1.pdf
アコファイドの効能効果と機能性ディスペプシア
アコファイドの承認効能は、機能性ディスペプシアにおける「食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」です。
つまり、上腹部痛が前面に出るタイプに“何でも効く”薬として扱うより、「食後の張り」「すぐ満腹になる」といった運動不全寄りの困りごとに軸足を置いて評価するのが実務的です。
製造販売後の使用成績調査(再審査報告書)では、有効性評価として全般改善度の有効率やFD3症状(上記3症状)の消失率が検討され、8週時点でFD3症状の消失率が上昇していく経時データが示されています。
意外と見落とされがちなのが、再審査報告書に「HP感染状況(陽性/陰性/不明、除菌済み等)別でも、有効率に大きな差は認められなかった」と整理されている点です。
除菌前後で症状が揺れる患者は多い一方で、「HPの有無だけでアコファイドを“効く・効かない”と決め打ちしにくい」ことを、チーム内の共通認識にしておくと、不要な処方変更や患者不安を減らせます。
アコファイドの用法用量と食前
用法用量は、通常成人でアコチアミドとして1回100mgを1日3回、食前に経口投与です。
患者向け情報(くすりのしおり)でも「1回1錠を1日3回食前」とされ、飲み忘れ時は忘れた分を飲まず1回分を飛ばす指導が提示されています。
この「食前」の意味は、単なる習慣ではなく“食事で誘発される症状(食後膨満感など)に先回りする”投与設計として説明しやすく、服薬アドヒアランスの会話が具体化します。
服薬指導で実装するなら、次のように言語化すると現場でブレにくいです。
- 食後ではなく、食前に入れて「食後のつらさが出るタイミング」を狙う。
- 飲み忘れは“取り返そうとしない”運用に統一し、過量投与を避ける。
- 3回が難しい患者では、まず生活リズム(朝食を抜く/不規則勤務)を確認し、飲める時間帯を起点に継続可能性を再設計する。
また、PTP包装の誤飲対策は全薬剤で重要ですが、添付文書系データベースでも注意喚起されているため、嚥下に不安がある高齢者・せん妄リスクのある入院患者では“シートから出す”手順を具体的に確認しておくと安全です。
アコファイドの副作用と安全性
再審査報告書の使用成績調査では、安全性解析対象3,507例における副作用発現割合は2.5%で、主な副作用は胃腸障害(下痢、悪心、便秘など)が中心として整理されています。
同報告書では、重篤な副作用が少数報告され、転帰は回復または軽快とまとめられています。
さらに「腎機能障害あり」群で副作用発現割合が高かった(層別解析で9.9%)一方、特有の副作用傾向は認められなかったと評価されています。
この“腎機能障害で発現割合が上がる”所見は、添付文書の一般的な副作用説明だけでは埋もれやすく、処方後フォロー設計に活かしやすいポイントです。
実務では、開始後2〜4週の時点で「下痢・便秘・悪心」といった“続くと生活の質を削る副作用”を問診項目として固定し、早期に対処(整腸、食事指導、必要時の中止/変更相談)につなげると、患者の離脱を抑えやすくなります。
また再審査報告書では、再審査期間中の集積を踏まえ「めまい(浮動性めまい)」「口内炎」が使用上の注意の副作用欄に追記された経緯が記載されています。
胃腸薬でめまい・口内炎は患者が“薬と結び付けにくい”訴えになりやすいため、初回説明で「胃以外の違和感も続くなら共有を」と一言添えると情報が上がりやすくなります。
アコファイドの相互作用と独自視点
相互作用の基本は、アコファイドがAChE阻害作用を持つため、コリン賦活剤や他のコリンエステラーゼ阻害剤(例:ネオスチグミン等)と併用すると作用が増強される可能性がある点です。
逆方向として、抗コリン作用を持つ薬剤を併用すると作用が抑制され得る、という整理もDIで提示されています。
再審査報告書の使用成績調査では、コリン作動薬・抗コリン薬・酸分泌抑制薬が併用された症例で“問題となる副作用発現は認められなかった”と記載されており、現場の併用実態を考える上で参考になります。
ここから先は検索上位で語られにくい、医療安全としての“独自視点”です。
アコファイドの相互作用は、添付文書上の「併用注意」そのものよりも、「患者が別科・OTCで抗コリン負荷を積んでいる」ことが効果不十分の要因になり得る点に注意が必要です。
参考)アコファイド錠100mgの添付文書/電子添文(副作用など)、…
たとえば、睡眠薬・抗うつ薬・抗ヒスタミン薬などで口渇や便秘が強い患者では、FD症状と薬剤性の胃腸症状が混ざり、アコファイドの効果判定が曖昧になります(症状の“ノイズ”が増える)。
チーム医療では、次の運用が実際的です。
- 初回処方時に「口渇・便秘を増やす薬(抗コリン系)がないか」を薬剤師が棚卸しし、主治医へ“効果が出にくいかも”という視点でフィードバックする。
- 効果判定の前に、食事量・食形態(早食い/炭酸/脂質)と服薬タイミング(食前遵守)を確認し、薬効の問題か行動要因かを切り分ける。
- 2〜8週での症状推移を追い、改善が乏しければ「適応症状の取り違え(痛み優位など)」や併存疾患、他剤影響を再評価する。
PMDAの医療用医薬品情報(添付文書・患者向医薬品ガイド・インタビューフォーム等の入口)
再審査報告書(製造販売後の使用成績調査:副作用発現割合、腎機能障害群、FD3症状消失率などの根拠)
https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2025/P20250929003/380077000_22500AMX00868_A100_1.pdf

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