itナイフ 内視鏡
itナイフ 内視鏡 ITknife2 構造 特徴 絶縁チップ 電極
ITknife2は、先端の半球状の絶縁チップと、切開・剥離に寄与する電極(ブレード)を組み合わせた「絶縁体系」のESDナイフで、深部組織への侵襲を抑えながら切開できることが核になります。
とくにITknife2では、先端部に3方向へ放射状に延びた電極を装備したことで、従来のITknifeで弱点とされがちだった横方向の切開が行いやすくなった点が重要です。
また、垂直方向からの切開操作性が向上し、ITknifeに独特とされるスコープ操作の負担が軽減される、と製品情報として整理されています。
臨床の現場では、この「絶縁チップが前にある」構造が、筋層へ直接先端を刺し込むタイプの先端系ナイフとは危険の質が異なる、という理解につながります(安全側に働く面も、逆に“ブラインド剥離”を招き得る面もある)。
ここで、見落としがちなポイントを1つ。ITknife2は“切れている瞬間”が見えにくい局面が出やすい、と手技解説の中で明確に述べられており、術者の頭の中で「今どの層を、どちらに向かって削っているか」を再現できないと破綻しやすいです。
つまり、デバイスの特徴は「初心者に優しい」ではなく、「理解すると強い」寄りです。🧠
参考:ITknife2の構造的特徴(新電極・絶縁チップ)と、操作性向上の狙い(横方向・垂直方向の切開性)
itナイフ 内視鏡 切開 剥離 近位側 アプローチ スコープ 操作
胃ESDにおけるITナイフ戦略として、近位側から粘膜切開・粘膜下層剥離を進め、出血点を近くに保つことで視認性を上げる「近位側アプローチ法」が解説されています。
従来の「遠位側にプレカット→近位側へ引いて全周切開」だけにこだわると、序盤の出血で視野が破綻し、凝固反復による炭化で層の認識がさらに悪化する、という落とし穴が具体的に述べられています。
近位側アプローチでは、出血しても粘膜切開・剥離を追加して出血点を露出しやすく、結果として出血制御に難渋しにくい、という臨床的メリットが示されています。
ITナイフの剥離は「外から内へ引く」「中心部を船の舳先のように尖らせる」イメージが繰り返し強調され、左右から均等に進める設計思想(偏りすぎない)があります。
そして重要なのが、長く削って面(壁)を作る“long gain”より、短い剥離を繰り返す“short gain”で中心を尖らせるほうが質が上がる、という運動学の説明です。
この「舳先」を維持できると、粘膜下層の見え方が安定しやすく、止血や追加トリミングの判断も早くなります(結果的に手技時間へ効いてくる)。
実務的なメモとして、ESD終盤で全周切開を完成させたあと、口側(遠位側)のトリミングが不十分だと最終剥離で難渋しやすい、という指摘も臨床的に刺さる点です。
「全周切開=8割終了」と表現される一方、残り2割が最も事故につながりやすいのも事実なので、終盤に向けて“視野を作る操作”を先に入れる意識が安全に直結します。
itナイフ 内視鏡 出血 止血 穿孔 合併症 リスク
ESDの現場感として「胃ESDは出血との戦い」と明言され、出血制御が手技の迅速化・完遂の鍵になると整理されています。
出血点が見えない状態で凝固を繰り返すと組織が炭化し、剥離層が分からなくなって“層迷子”になり、さらに出血も増える、という負の連鎖が説明されています。
したがって、止血は「止める」だけではなく、出血点を見える位置に置く(近位側アプローチ、トリミング、剥離追加で露出させる)という戦術の一部として扱うのが現実的です。
穿孔については、線維化でITナイフ2が弾かれたときに筋層側へ跳ねると穿孔、粘膜側へ跳ねると切れ込みが発生する、という具体的なメカニズムが述べられています。
この記述は、手技の“気合い”では解決しない領域があることを示しており、危ない局面のサイン(弾かれる、層が取れない、視野が汚い)を見たら、早めに戦略を切り替えるのが合理的です。
また、体部大彎などで脂肪が多いとレンズが曇りやすく、曇った視野のまま続行するとマーキングや剥離ラインの誤認から切れ込み・穿孔につながり得るため、いったん抜去してレンズをクリアにする判断が推奨されています。
ここは意外性のある実務ポイントとして強調したいところで、デバイス操作の巧拙より前に「視野の品質管理」が事故率に影響します。🧯
さらに、送気量が多すぎても少なすぎても困難になる(テンションと視野の両方が崩れる)ため、送気コントロールそのものが“安全手技”の一部と説明されています。
itナイフ 内視鏡 線維化 先端系 ナイフ 併用 判断(独自視点)
ITナイフ2は、ショートブレードの存在により押し付けなくても切れるため、横方向切開や軽度線維化の剥離にも対応しやすくなった、と手技解説で述べられています。
一方で、高度線維化ではITナイフ2でも弾かれてしまうことがあり、その場合は針状ナイフやDualナイフ、Hookナイフ、Flushナイフなど先端系ナイフが必要、という明確な線引きが提示されています。
ここから先は“検索上位の手技解説”を一歩だけ越える独自視点として、線維化対応を「デバイス変更」ではなく「情報の再獲得」として捉える発想が役立ちます。
線維化で層が取れない局面は、組織学的に“剥がれるはずの面”が消えている状態なので、ITナイフの面で押しても進まず、弾かれやすいのは理屈として自然です。
このときの目的は、①安全に正しい層を再同定する、②出血させず視野を確保する、③その後にITナイフの強み(広い面での効率剥離)へ戻す、の3点に分解できます。
実際の手順設計(考え方)は次のように組み立てるとブレにくいです。
- 🔎 まず「層が見えていない」要因を分ける:出血、炭化、曇り、送気不良、牽引不足。
- ✂️ 次に“層の再獲得”を最優先する:先端系ナイフで小さく窓を作り、線維化の端から入る発想に切り替える(無理な押し込みはしない)。
- 🔁 最後にITナイフへ戻す:視野と層が戻ったら、short gainで舳先を作り直し、効率剥離へ移る。
また、ITナイフ2は胃ESDでの使用が主軸で、食道や大腸ESDではITナイフnanoがより適切と考える、という位置づけも述べられています。
この「臓器別の向き不向き」を先に共有しておくと、チーム内でデバイス選択の議論が短くなり、結果として“手技中の迷い”が減ります。🧠

食道・胃ESD―ITナイフによるESDの実際 (症例で身につける消化器内視鏡シリーズ)