透析用長期留置カテーテル 算定
透析用長期留置カテーテル算定の対象と位置づけ
透析用長期留置カテーテル(カフ型カテーテルを含む)は、内シャント作製が困難な症例や、導入期・シャント成熟待ちのブリッジアクセスとして使われることが多く、臨床上「一時的な代替」から「長期のVA」へと役割が拡大しています。東葛クリニック病院の管理マニュアルでも、適応が「腕や足にバスキュラーアクセスが作製困難な患者」に加えて、心機能低下例や穿刺困難例にも広がっている旨が述べられています。
算定の話に入る前提として、審査側が見ているのは「その患者にとって、なぜカテーテルが必要だったのか」「必要性が継続しているのか」「合併症を減らす管理がされているのか」です。管理の質は“算定の正しさ”とは別問題に見えて、実際は査定や返戻の説明材料として直結します(特に感染や機能不全が疑われるケース)。
また、カフ型カテーテルでは留置位置(右内頸静脈が第一選択など)や皮下トンネル・出口部の考え方が、観察・指導・記録の軸になります。
出口部・トンネル・血流感染など、カテーテル特有のリスクは「算定の要件」そのものではなくても、審査で“医学的妥当性”を説明する背景になります。そこで最低限、診療録と院内運用で説明できる共通言語を揃えることが重要です。
参考)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/35-2/35-2_387.pdf
透析用長期留置カテーテル算定で査定になりやすいポイント
透析領域の実務で厄介なのは、「同じ行為でも審査運用が地域・保険者で揺れる」点です。実際、日本透析医会雑誌に掲載された透析保険審査委員懇談会報告では「長期留置カテーテルの挿入部の処置料算定は,国保では認められているが,社保では認められず減点されることが多い」といった、運用差が明記されています。
この種の論点は、請求側が「絶対に通るはず」と思い込むほど危険で、むしろ“減点され得る前提”で記載強化・代替整理をしておくのが安全です。
査定を招きやすい具体パターンは、次のようなものです(施設の運用・レセ電算・審査傾向で変動します)。
参考)https://www.fukuoka-vaccess.jp/wp-content/uploads/2024/04/44cd120df43c2c2c7392034083dca49d.pdf
・「挿入部の処置」を、透析の一連の管理(包括)として見られるのか、別処置として見られるのかの解釈違いが起きる。
・出口部トラブル(発赤、浸出、疼痛、熱感など)に対する対応が、観察記録やタイムラインで示せず「ついで請求」扱いされる。
・カテーテル機能不全(脱血不良、静脈圧上昇、コアグラ等)への対応が、手技・薬剤・材料の関係で“過大”と見なされる。
特に「挿入部の処置」「閉塞・血栓」「感染」周りは、点数の議論以前に“症状・所見・必要性”の説明が弱いと落ちやすい領域です。
透析用長期留置カテーテル算定を支える管理と記録(管理料・観察)
審査で強いのは、派手な文言よりも「誰が見ても同じ状況が再現できる記録」です。東葛クリニック病院のマニュアルでは、出口部の消毒を毎日行うこと、消毒時に出口部およびカテーテルの観察を行うこと、非透析日は患者・家族による管理になり得ることが整理されています。
観察項目として、浸出液(排膿)、熱感(発熱)、疼痛、掻痒、接続部損傷、抜け出しの有無などを確認し、透析時の観察結果をチェックシートに記録する運用が示されています。
この「チェックシート化」は意外に重要で、施設間連携や経時変化の把握だけでなく、査定時に「やっている管理」を一枚で説明できる武器になります。
記録のコツは、医学的に意味のある最小セットを定型化することです。
・出口部:発赤の有無(可能なら範囲)、浸出・排膿、疼痛、熱感、掻痒
・全身:透析開始に一致した発熱(血流感染を疑う所見)
・機能:吸引の可否、QBの確保状況、静脈圧、逆接続の有無、コアグラ
・デバイス:プラグ交換実施、クランプ劣化、カテーテル長(抜け出し)
「算定の話なのに管理?」と思われがちですが、長期留置カテーテルは合併症が算定トラブルの火種になりやすいので、管理の記録が算定の安定性を上げます。fukuoka-vaccess+1
透析用長期留置カテーテル算定と感染対策(出口部・プラグ・消毒)
カテーテル関連感染の予防は、算定以前に医療安全の中核です。東葛クリニック病院のマニュアルでは、出口部消毒についてCDCの「血管内カテーテル関連感染予防のためのガイドライン2011」に触れ、0.5%を超える濃度のクロルヘキシジンを含有するアルコールを推奨している点を踏まえ、院内では1%クロルヘキシジンエタノール含浸布を用いる運用が示されています。
また、閉鎖式のプラグ(クローズドシステム)を使うことで、接続部が開放されない構造とし、感染リスク低減が期待できること、さらに消毒は“Wipe(ぬぐう)ではなくScrub(ごしごしこする)”という考え方が強調されています。
この「Scrub」の概念は、監査対応としても意外に効きます。具体的には、教育記録(いつ誰にどの手順で指導したか)を残すと、感染合併時に“運用が破綻していたのか、不可抗力だったのか”の説明がしやすくなります。
現場で再現性を上げる工夫として、次のような“見える化”が有効です。
・透析開始・終了の必要物品リストを固定し、欠品時の代替を決めておく。
・非透析日の自己管理がある患者には、物品一覧と観察ポイントを紙で渡す。
・出口部が濡れた場合(汗・入浴など)の再消毒ルールを明文化する。
感染は算定の直接要件ではないことが多い一方で、感染が起きた瞬間にレセプト上の説明責任が急に重くなる領域です。だからこそ、日常の標準化が「算定の安定運用」を支えます。
透析用長期留置カテーテル算定の独自視点:社保・国保差を前提にした“コメント設計”
検索上位の一般的な解説は「算定できる/できない」を断定しがちですが、透析の審査は“地域運用差”が現実に存在します。透析保険審査委員懇談会報告で、カテーテル挿入部の処置料算定が国保では認められやすい一方、社保では減点されることが多いという指摘がある以上、請求側は「どちらの保険者でも説明が立つ文章」を先回りで準備すべきです。
ここでの独自視点は、レセプトコメントを“逃げ”ではなく“臨床の翻訳”として設計することです。つまり、点数の都合で言い訳を書くのではなく、日々の観察・トラブル対応が、なぜその日に必要だったかを短く翻訳します。
コメントの材料は、マニュアルにある観察項目をそのまま使うのが最も強いです。
・例:出口部の発赤拡大、浸出の出現、疼痛増強 → 感染評価・局所処置の必要性
・例:吸引抵抗、QB低下、静脈圧上昇、体位で改善 → 機能不全評価・回路安全の必要性
・例:透析開始に一致した高熱 → 血流感染疑いとしての対応(培養・抗菌薬は別途適正化)
さらに、現場で見落とされがちな“意外な地雷”として、患者自己管理が絡むケースがあります。非透析日に家族管理となることがある以上、皮膚トラブルや固定不良が起きたときに「なぜそのタイミングで悪化したのか」を患者教育・指導の観点で説明できると、査定対応だけでなく再発予防にもつながります。
「算定が通る文章」ではなく、「臨床の妥当性が伝わる文章」を先に作る――この順番にすると、社保・国保差があっても立て直しが効きます。
参考:カフ型カテーテルの消毒・観察・プラグ(クローズドシステム)など、現場の標準手順が具体的にまとまっている(管理・記録の根拠づけに有用)
参考:透析領域の審査運用差(国保と社保で長期留置カテーテル挿入部の処置料算定が減点されやすい等)に触れており、査定リスクを前提に院内ルールを作る材料になる
第25回透析保険審査委員懇談会報告(日本透析医会雑誌)

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