血漿交換装置と血漿分離器
血漿交換装置の血漿交換とアフェレシス
血漿交換装置で行う血漿交換(PE)は、アフェレシス療法の一つで、体にとって好ましくない物質を血漿側から「取り去る」ことを狙う治療として位置づけられます。
アフェレシスでは、いきなり全血から病因物質を除くのではなく、まず血液から血漿を分離し、その後に血漿側で除去・交換を行う二段階操作が安全性と有効性の点で合理的とされています。
この「分離→(除去/交換)→返血」の流れを頭に入れておくと、トラブル時に“どの工程で異常が起きているか”を切り分けやすくなります(例:圧上昇=分離器/回路の閉塞・凝血、症状=補充液反応など)。
血漿交換装置の膜型血漿分離器とTMP
膜型血漿分離法は、孔を持つ合成高分子膜を使い、血球成分は通さず血漿だけを通過させて分離する方法で、血漿分離膜の孔径は0.2〜0.4μm程度と説明されています。
現場マニュアルでは、PE(膜型血漿分離器)において、血液流量は80〜150mL/min、血漿分離速度は血液流量の30%以下、TMPは60mmHg以下、静脈圧は200mmHg以下に保つ目安が示されています。
「血漿分離速度を上げたい」場面ほど、TMPや静脈圧の上昇、溶血や凝血の兆候(圧トレンド、回路色調、気泡混入など)を同時に評価し、単純にポンプ設定だけを上げないことが重要です。
血漿交換装置のFFPとアルブミンとADAMTS13
補充液は疾患によりアルブミン製剤とFFPを使い分け、凝固因子やADAMTS13など“補充”を目的にする場合はFFPが用いられる、という整理が明記されています。
一方でアルブミン置換は、血漿を捨てることで失われる成分のうち「ボリュームや膠質浸透圧」を中心に補う発想であり、病因物質除去が主目的で不足成分補充が主でない状況で選択される余地があります。
ただしアルブミン濃度設定では膠質浸透圧較差に注意する、とされており、循環動態の脆弱な患者では“置換液選択そのもの”が血圧変動の引き金になり得ます。
血漿交換装置の合併症とクエン酸と低Ca血症
FFPは多量のクエン酸を含有するため、低Ca血症の予防的処置(Ca製剤投与、HD併用)を講じる、という注意点が示されています。
さらに治療後の高ナトリウム血症やアルカローシスにも注意する、とされており、症状が出た時に「低Caだけを見に行く」より、電解質・酸塩基・循環の全体像で再評価する必要があります。
合併症は“交換そのもの”だけでなく、体外循環(アクセス、抗凝固、回路トラブル)と補充液(アレルギー、感染、クエン酸負荷)が重なって出るため、観察項目を最初からセット化しておくと安全側に倒せます。
血漿交換装置の選択的血漿交換とSePE(独自視点)
検索上位で語られやすいのは「PEは血漿を全部捨てる」ですが、実務の悩みはむしろ“全部捨てなくて済む選択肢をどう使い分けるか”にあります。
日本アフェレシス学会のデバイスマニュアルでは、膜型血漿分離器を用いる選択的血漿交換(SePE)が記載され、EC-2A10/EC-4A10の使い分け、血漿流量10〜50mL/min、TMP 250mmHg以下など、より具体的な運用上の注意が示されています。
意外に見落とされがちなのが「ターゲット分子量により除去特性が変わるので留意して使う必要がある」という注意で、同じ“血漿交換装置”でも、モダリティと分離器の選択が治療目標(例:IgG領域、サイトカイン、凝固因子保持)を直接左右します。
血漿分離(遠心/膜)の基礎と、血漿交換を含むアフェレシス全体像の理解に有用
膜型血漿分離器・SePE・DFPPなどデバイス運用の注意点(TMP、血液流量、FFPのクエン酸と低Ca、保険適応疾患一覧)がまとまっている