腎結石 治療 大きさ
腎結石 治療と大きさの基本(10mm・20mmの分岐)
腎結石の治療方針は、結石の存在部位と大きさ(長径)、さらに閉塞・感染の有無で組み立てるのが基本です。
日本の尿路結石症診療ガイドライン(2023年版)のアルゴリズムでは、腎結石は長径10mm未満、10mm以上20mm未満、20mm以上で推奨される治療の優先順位が整理されています。
具体的には、長径10mm未満は「ESWLまたはTUL/URS」が第一選択候補になり、10–20mm未満では「TUL/URSまたはPNL/PCNL」を優先しつつESWLも選択肢、20mm以上では「PNL/PCNL(ECIRS/TAPを含む)」が優先されます。
ここで医療従事者が押さえたいのは、ガイドラインは“サイズだけ”で決まるものではない点です。
参考)https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/03_urolithiasis_2013_2.pdf
同じ10mmでも、下腎杯か腎盂か、複数結石か単発か、水腎や感染を伴うかで、実際の第一選択が変わります。
「大きさで入口を決め、合併条件で微調整する」発想が診療の安全性と説明責任の両方を支えます。
参考(治療方針のサイズ分岐がまとまっている部分)
尿路結石症診療ガイドライン2023:腎結石の治療アルゴリズム(10mm・20mmの分岐)
腎結石 治療で大きさ別に選ぶESWL(適応・限界・予測因子)
ESWL(体外衝撃波砕石術)は、体外から衝撃波を当てて結石を破砕し、排石可能なサイズまで小さくする治療です。
ガイドライン本文でも、ESWLは外来で行えることが多い「patient friendly」な治療として位置づけられています。
一方で、ESWLの治療成否は結石側の条件に左右され、ESWLのみを反復し続ける治療には注意が必要である、という文脈で述べられています。
サイズの観点では、腎結石の長径10mm未満はESWLが主要な選択肢となり得ますが、10–20mm未満ではTUL/URSやPNL/PCNLとの比較の上で選択され、20mm以上ではPNL/PCNLが優先される整理です。
ここで臨床的に重要なのは、10mm未満でも「排石しやすい形状・位置」と「排石しにくい形状・位置」がある点で、破砕できても排出できず残石が問題になることです。
ESWL後の残石は、経過とともに増大する傾向があるとされ、観察期間の増加に伴い増大率が増える可能性が示されています。
“意外に見落とされやすい”のは、ESWLの評価が「結石が砕けたか」ではなく、「臨床的に問題となる残石を残さずに終えられたか(追治療を減らせたか)」で決まる点です。
実務では、ESWLを選んだ時点で「残石フォロー(いつ・どの画像で・どの閾値で治療転換するか)」までセットで説明すると、上位施設紹介のタイミングもブレにくくなります。
特に再治療を避けたい患者背景(遠方、抗凝固、職業上の制約など)がある場合は、最初からTUL/URSへ寄せる判断が合理的になる場面があります。
腎結石 治療で大きさ10–20mmのTUL/URS(ステント・安全性)
TUL/URS(経尿道的腎尿管砕石術)は、尿管鏡を用いて腎・尿管結石を破砕・摘出する内視鏡治療で、近年は腎結石にも適応が広がっています。
2023年版ガイドラインでは、腎結石10–20mm未満に対してf-TUL/URSを行うことを条件付きで推奨する(エビデンスB:中等度)と整理されています。
また、尿管結石(10mm未満)ではTUL/URSをESWLより条件付きで推奨する(エビデンスC)とされ、内視鏡治療が第一選択に寄ってきた潮流も読み取れます。
サイズ10–20mm帯は「ESWLでも届くが、残石や回数が問題になりやすい」ゾーンで、TUL/URSが説明しやすい利点としては、結石除去の確実性を高めやすい点が挙げられます。
ただしTUL/URSは、術後の尿管ステント留置が関わることもあり、疼痛・排尿症状などのQOL面の説明を避けられません。
ガイドライン用語解説でも尿管ステントが閉塞解除・除痛や術後管理に用いられることが明記されており、患者説明では「合併症回避のための一時的デバイス」という位置づけを明確にしておくとトラブルが減ります。
医療従事者向けのポイントとして、サイズだけでなく「患者の急性期リスク(感染・腎機能・疼痛制御)」が高いほど、早期に確実な除去が見込める手段へ傾くことが多い点です。
特に閉塞性腎盂腎炎が絡むケースでは、まずドレナージなどの積極的治療が条件付き推奨されており、結石治療の順序(感染制御→除去)が重要になります。
この順序を守るだけで、同じ「10mm」でも治療の意味が別物になることをチーム内で共有しておくと安全です。
腎結石 治療で大きさ20mm以上のPNL/PCNLとECIRS/TAP(大結石の戦略)
腎結石が長径20mm以上の場合、ガイドラインのアルゴリズムではPNL/PCNLが第一選択に位置づけられ、ECIRS/TAP(PNL/PCNLとTUL/URSの併用)も含めた治療が俎上に上がります。
実際、2023年版では「腎結石(20mm以上)に対するECIRS/TAP」を条件付きで推奨(エビデンスB)するCQが提示されています。
ECIRS/TAPは定義として、腎結石に対してPNL/PCNLとTUL/URSを併用する内視鏡治療で、サンゴ状結石ではPNL単独より高い治療効果が期待されると説明されています。
大結石では「1回で取り切る」発想が重要になりますが、これは単に患者の満足度ではなく、残石→増大→stone event→追加治療という連鎖を断つ意味が大きいからです。
2013年版ガイドラインには、残石の増大率が観察期間とともに増える傾向や、増大した残石の約60%で追加治療が必要になり得るという記述があり、放置のコストが示唆されています。
したがって20mm以上では、最初からPNL/PCNLやECIRS/TAPで「残石を作らない設計」を優先する説明が、結果的に合理的な医療資源の使い方にもつながります。
臨床上の“意外な落とし穴”は、画像上は20mmに見えない結石でも、複数結石の総量やサンゴ状形態(腎盂~腎杯に連続)だと、ESWLや単独TUL/URSでは完遂しにくいことです。
サンゴ状結石は重要用語として定義され、治療方針が別枠で扱われているため、サイズ評価の時点で形態を言語化しておくと治療選択の議論が整理されます。
医師間紹介状でも「長径」だけでなく「サンゴ状疑い」「下腎杯優位」などの一言があると、受け手側が治療戦略を立てやすくなります。
腎結石 治療と大きさから考える残石・再発予防(独自視点:治療後の“見えない負債”)
尿路結石は再発しやすく、ガイドラインでも腎結石の再発率は5年で45%、10年で60%に及ぶと記載されています。
さらに、治療後に残った小さな残石でも、観察期間の増加に伴って増大し得ること、増大した残石は追加治療が必要になりやすいことが示されています。
つまり治療は「その場の疼痛・閉塞を解決する」だけで終わらず、残石と再発を管理しないと、後から医療負担が跳ね上がる“見えない負債”になります。
再発予防は、飲水・食事・生活指導が基本で、ガイドラインでは飲水指導(食事以外に2,000mL/日以上の飲水励行)や、塩分・動物性タンパク・糖分などの過剰摂取回避といった栄養指導の考え方がまとめられています。
また、再発リスクに応じて24時間尿化学検査を行い、結石成分や尿化学異常に応じた薬物療法(クエン酸製剤、サイアザイド、マグネシウム製剤など)へ進むアルゴリズムが提示されています。
この「原因追及→再発予防」を治療計画に組み込むと、同じ“10mmの結石治療”でも医療の質が一段上がります。
現場で実用的な運用(例)
- ✅ESWL後:画像で残石確認→4~5mmでも“放置前提”にしない(増大とstone eventを説明)。
- ✅TUL/URS後:ステント症状・感染兆候・残石の有無をセットでフォロー計画に記載。
- ✅PNL/PCNL・ECIRS/TAP後:残石ゼロを目標にしつつ、結石成分分析・尿化学評価へ早期接続。
最後に、医療従事者向けの記事として差がつくのは「大きさで治療を当てはめる」の次に、“治療後に患者が失うもの(時間・痛み・再治療)をどう減らすか”を具体化することです。
そのためのキーワードは、残石の増大、再発率、そして再発予防の検査と介入を最初から設計することです。
サイズ基準を入口にしながら、出口(残石・再発)まで見通すことが、医療者向けコンテンツとしての説得力になります。
