紫斑病性腎炎 大人 症状 治療 予後 腎生検

紫斑病性腎炎 大人

この記事で押さえるポイント
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病態の核心

紫斑病性腎炎は、血管性紫斑病に伴い糸球体へIgAが沈着する糸球体腎炎で、IgA1の糖鎖異常が示唆されています。

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検査と腎生検のタイミング

蛋白尿の量と持続期間が腎生検の判断軸になり、0.5g/gCr未満でも「続く」ことが重要な意味を持ちます。

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成人のマネジメント

軽症は経過観察+RA系阻害薬など、重症(ネフローゼ・高血圧・腎機能低下など)は組織重症度に応じてステロイドパルスや多剤併用療法を検討します。

紫斑病性腎炎 大人 症状

紫斑病性腎炎は、血管性紫斑病(小血管炎)の一部として腎障害が前景に出る病態で、腎外症状(紫斑、関節症状、腹部症状)を伴うことが臨床的な鑑別の鍵になります。

頻度の目安として、血管性紫斑病の症状は紫斑がほぼ必発で、関節炎、腹痛、腎炎が一定割合でみられ、腎炎は全身症状の出現後「数日〜1か月以内」に尿所見異常として現れることが多いとされています。

腎炎の出方は一様ではなく、「血尿のみ」「血尿+蛋白尿」「急性腎炎症候群」「腎炎+ネフローゼ症候群」「ネフローゼ症候群」などに分かれ、ネフローゼや急性腎炎症候群では浮腫・高血圧に伴う頭痛など“腎炎らしい”症状が前に出ます。

医療者が成人例で意識したいのは、「皮膚症状が軽くても腎所見が遅れて出る」パターンがあり得るため、初診時に尿検査をしても、その後も一定期間は尿所見(血尿・蛋白尿)を追跡する設計が必要になる点です。

患者説明では、肉眼的な紫斑・腹痛が落ち着いた後でも、尿異常が持続・再燃し得ることを前提に、“症状が消えた=治癒”ではないことを共有するとアドヒアランス上のトラブルを減らせます。

箇条書きで問診・診察の観点を整理します。

  • 皮膚:隆起性紫斑の部位・広がり・遷延の有無(再燃の目安づくり)。
  • 腹部:疝痛様の腹痛、消化管症状の強さ(全身炎症の強さの手掛かり)。
  • 腎:浮腫、高血圧、倦怠感(蛋白尿量や腎機能低下のサイン)。

紫斑病性腎炎 大人 検査 血尿 蛋白尿

紫斑病性腎炎の腎病変は、スクリーニングとしては尿検査(血尿・蛋白尿)が中心で、進行例では腎機能低下(血清クレアチニン上昇)も問題になります。

検査の“読み方”で重要なのは、単回の値だけでなく「蛋白尿の量」と「持続期間」を組み合わせて重症度と次の一手(腎生検や治療強化)を決める点です。

具体的には、血尿のみ、または蛋白尿が0.5g/gCr未満なら経過観察やRA系阻害薬などが基本に置かれつつも、軽度蛋白尿が1年以上続く場合は腎生検で方針決定とされています。

また、血尿+中等度蛋白尿(0.5〜1.0g/gCr)の場合は、まずRA系阻害薬などで治療しつつ、蛋白尿が6か月以上続くなら腎生検で治療方針を決める、という「時間軸」が提示されています。

ここが成人診療での落とし穴で、症状が軽いほどフォロー間隔が空きやすく、結果として“蛋白尿の持続”が見落とされ、腎生検が遅れるリスクが出ます。

臨床現場向けに、検査フォローの設計を短くまとめます。

  • 初期:紫斑・腹痛があってもなくても、尿検査+血圧+腎機能をセットで把握する。
  • 継続:蛋白尿の「量(g/gCr)」と「持続(3・6・12か月)」で節目を作る。
  • 悪化サイン:浮腫、高血圧、腎機能低下が出たら“重症”側へ寄せて評価する。

紫斑病性腎炎 大人 腎生検 ISKDC

紫斑病性腎炎の確定診断は腎生検病理で行われ、蛍光抗体法などでメサンギウム領域を主体とするIgA優位の顆粒状沈着を確認することが重要とされています。

ただし腎病変だけではIgA腎症と鑑別が難しいため、腎外病変(紫斑など)を含めて臨床的に組み立てる、という整理は成人例でも有用です。

組織重症度はISKDC分類が用いられ、半月体形成の割合などでGradeが上がり、Grade IIIb以上が重症側として扱われます。

腎生検をいつ行うかは「ネフローゼ症候群」「高血圧」「腎機能低下」や、蛋白尿が一定量で一定期間続くケース(例:高度蛋白尿1.0g/gCr以上が3か月以上など)で判断するとされています。

成人例では、仕事・家庭事情で受診が途切れやすく、腎生検が“イベント”として後回しにされやすいので、蛋白尿持続の段階で早めに腎臓内科と連携して意思決定を前倒しする価値があります。

病理の話を患者にも伝える必要がある場面では、難語を避けつつ次のように説明すると通じやすいです。

  • 「腎臓のフィルター(糸球体)に炎症の痕跡が残っているかを、組織で確認する検査」。
  • 「今後の治療(経過観察でよいか、ステロイドなどが必要か)を決める材料」。

参考リンク(指定難病の概要、症状・治療・予後、腎生検の考え方、ISKDC分類と腎不全移行率の目安)。

難病情報センター:紫斑病性腎炎(指定難病224)

紫斑病性腎炎 大人 治療 ステロイドパルス

治療は重症度に応じて段階的で、血尿のみ、または蛋白尿0.5g/gCr未満なら、経過観察やRA系阻害薬、抗血小板薬を用いる方針が示されています。

血尿+中等度蛋白尿(0.5〜1.0g/gCr)でも、まずは腎生検を行わず同様の薬物治療を行い、蛋白尿が6か月以上持続する場合に腎生検で方針決定とされています。

一方で、ネフローゼ症候群、高血圧、腎機能低下、または持続的蛋白尿がある場合は腎生検を行い、組織重症度に応じて治療を強めます。

重症例(ISKDCでIIIb〜Vなど)では、多剤併用療法(いわゆるカクテル療法)、ステロイドパルス療法、ステロイド・ウロキナーゼパルス療法、血漿交換療法、シクロスポリン療法などが列挙されています。

成人診療での実務的なポイントは、「臨床(蛋白尿・血圧・腎機能)」と「病理(ISKDCなど)」を両輪にして、治療強度の過不足を減らすことです。

薬剤別に、現場での“目的”を短く整理します。

  • RA系阻害薬:蛋白尿低減と腎保護を狙う基盤治療。
  • ステロイドパルス:炎症が強い腎病変で寛解導入を狙う選択肢。
  • 追加療法(多剤併用、血漿交換など):重症度が高い場合に検討され得る。

参考リンク(行政文書としての疾患概要と、治療の段階付け・予後の数字がまとまっている)。

厚生労働省:224 紫斑病性腎炎(概要PDF)

紫斑病性腎炎 大人 予後 再燃 追跡(独自視点)

紫斑病性腎炎は「比較的良好」とされてきた一方で、早期に経過が良好と判断されても観察を中断すると、数年後に血尿・蛋白尿が再燃したり、組織学的に腎炎が存続している症例が高率に存在することが示されています。

この“中断リスク”は成人で特に現実的で、症状が落ち着いた時点で通院を止めてしまい、次に見つかった時には蛋白尿が固定化している、という経過を取り得ます。

したがって医療従事者向けには、急性期治療の選択だけでなく、寛解後のフォロー計画(尿検査の頻度、血圧管理、腎機能の長期トレンド)を最初から設計して共有することが“治療の一部”になります。

意外と見落とされがちな点として、腎不全移行率は臨床像で大きく異なり、血尿単独〜軽度蛋白尿のみでは低い一方、ネフローゼ症候群を呈する場合などでは高くなると整理されています。

また、組織学的にISKDC分類でGradeIII以上では末期腎不全へ進行する割合が一定程度あるとされ、臨床が落ち着いた後も“病理リスク”を根拠に追跡を継続する説明が重要です。

フォロー中断を減らすための実務(独自視点としての運用案)です。

  • 受診の“出口”を決めない:終了ではなく「間隔延長」にして患者の心理的離脱を防ぐ。
  • 検査の目的を明確化:「再燃を早期に拾えば、強い治療を回避できる可能性がある」と共有する。
  • 受診間隔の目安を文書化:蛋白尿の有無・量で次回間隔を決め、患者にも渡す。
臨床像(例) 示されている腎不全移行率の目安 フォローの観点
血尿単独、または血尿+軽度蛋白尿のみ 5%未満 油断しやすい層なので、尿所見の持続・再燃の監視を継続
血尿+高度蛋白尿が持続、または急性腎炎症候群 15% 蛋白尿の量と持続期間で腎生検・治療強化の判断を早める
ネフローゼ症候群 40% 重症として腎機能・血圧・浮腫を含めて集中的に管理
急性腎炎症候群+ネフローゼ症候群 50%以上 腎不全進展リスクが高く、積極的治療と厳密フォローが前提

※上表の数値は、行政文書に記載された腎不全移行率の目安に基づく整理です。