二次性副甲状腺機能亢進症 治療 リン カルシウム PTH

二次性副甲状腺機能亢進症 治療

二次性副甲状腺機能亢進症 治療の要点
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検査は「単発」より「トレンド」

Ca・リン・PTHは変動するため、単回異常ではなく経時変化で判断し、治療の効果と副作用を同時に監視します。

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優先順位はリン→Ca→PTH

生命予後の観点では、まずリンと補正Caを目標範囲へ、次にPTHを調整する、という骨格で考えると破綻しにくいです。

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薬物抵抗性はインターベンションを検討

PTH高値が持続し、高リン血症/高Ca血症が併存して内科的治療で三者が同時に整わない場合は、副甲状腺治療介入を視野に入れます。

二次性副甲状腺機能亢進症 治療の病態とCKD-MBD

 

二次性副甲状腺機能亢進症は、CKDでリン排泄低下や活性型ビタミンD低下、低カルシウム血症などが重なり、副甲状腺ホルモン(PTH)が刺激されることで進行します。

この状態が長期化すると副甲状腺過形成が進み、カルシウムや活性型ビタミンDへの感受性が低下し、内科的治療だけでは制御しにくい段階に入りやすい点が重要です。

さらにCKD-MBDという枠組みでは、骨だけの問題ではなく血管・弁石灰化を含む全身の転帰に関わるため、「骨痛があるから」「PTHが高いから」だけで単純に治療強化すると、Ca負荷やリン負荷を通じて別の害を増やすことがあります。

医療従事者向けには、まず次の“臨床で崩れやすい順番”を共有しておくとチームの意思決定が揃います。

  • リン(P)と補正カルシウム(Ca)を目標内に入れることが、PTH管理より優先される。
  • PTHは「単回の高値」より、上昇の持続と合併するCa・リン異常の状況で重みが変わる。
  • 薬でPTHだけを追い過ぎると、Ca・リンの逸脱が起きやすく、結果としてインターベンション適応へ近づくことがある。

この“優先順位”は、日本透析医学会ガイドラインでも「血清P・補正Caの管理をすべてに優先する」ことが明確に示されています。

二次性副甲状腺機能亢進症 治療の検査とPTH評価

モニタリングは、透析患者のCKD-MBD管理では治療そのものと同じくらい重要で、KDIGO 2017ではCKD G3aからCa・リン・PTH・ALPのモニター開始を推奨しています。

またKDIGOは、治療判断を「単回の検査異常」ではなく、経時的な変化(トレンド)と総合評価で行うことを推奨しており、検査値の“点”ではなく“線”で意思決定する姿勢が強調されています。

一方、日本透析医学会ガイドライン(2006)は、透析患者では血清P・Caは月1~2回、PTHは通常3か月に1回、治療変更時は安定するまで少なくとも月1回など、より実務的な頻度の目安を提示しています。

PTH解釈の落とし穴として、医療現場で意外に効いてくるのが「測定法・単位・補正」です。

  • 低アルブミン血症がある場合は補正Caを用いる(Payneの式:補正Ca=実測Ca+(4-Alb))。
  • Ca×P積よりも、Caとリンを個別に評価する流れが推奨されている(KDIGO)。

“あまり知られていないが臨床で効く話”として、採血タイミングやアッセイ差で同じ患者の評価が揺れうる点は、ガイドライン側も注意喚起しており、施設間比較や紹介状の解釈でズレの原因になります。

二次性副甲状腺機能亢進症 治療のリンとカルシウム管理

治療戦略の土台は、リンと補正Caを管理目標へ入れることで、ここが崩れた状態でPTHだけ下げにいくと、薬剤性高Ca血症や高リン血症を誘発しやすくなります。

日本透析医学会ガイドラインでは、透析患者の血清リン目標3.5~6.0 mg/dL、補正Ca目標8.4~10.0 mg/dLを示し、P・Ca目標内維持をPTHより優先する方針を明確にしています。

また、血清リン7.0 mg/dL以上または補正Ca 10.5 mg/dL以上では「速やかに治療変更を考慮」といった実務的な“危険ライン”も提示されています。

実装面では、リン管理は「食事・透析量・吸着薬・活性型ビタミンDの調整」が同時並行になります。

臨床で見落とされがちなのが、リン吸着薬の“飲み方”で、ガイドラインの治療指針でも炭酸カルシウムが食事中/食直後に服用されているかの確認が含まれており、薬効以前にアドヒアランス/タイミングが成否を左右します。

また、KDIGOではリン摂取制限を行う際に、動物性・植物性・食品添加物といった“リンの由来”を考慮するのが妥当とされ、単なる総リン量だけで指導しない姿勢が示されています。

参考)https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/7/pdf6.pdf

参考:KDIGOの「リン・Ca・PTHの総合判断」「Ca×P積ではなくCaとリンを個別評価」「食事リンで添加物も考慮」など、現場の説明に使える要点がまとまっています。

KDIGO和訳サマリー(モニタリング頻度、リン・Ca管理、PTH治療の推奨)

https://kdigo.org/wp-content/uploads/2017/02/Summary-2017-KDIGO-CKD-MBD-GL_Japanese.pdf

二次性副甲状腺機能亢進症 治療の薬物療法(カルシミメティクス・ビタミンD)

透析患者(CKD G5D)のPTH抑制が必要な場合、KDIGO 2017はカルシミメティクス、カルシトリオール、ビタミンDアナログのいずれか、またはカルシミメティクス+ビタミンD製剤の併用が望ましいとしています。

この「併用」を正面から推す理由は、PTHを下げたい一方で、ビタミンD系はCa・リンを上げやすく、カルシミメティクスはCaを下げやすいという、作用の“綱引き”を臨床的に利用できるからです。

実際、内科的管理に関する総説でも、カルシミメティクスはPTHだけでなく血清Caも低下させるため、活性型ビタミンD製剤との併用でCa負荷を軽減しつつPTH低下効果を得られる、と整理されています。

保存期CKD(非透析)では考え方が少し異なり、KDIGO 2017は「適正なPTH濃度は不明」としたうえで、PTHが進行性に上昇/持続的に上限超えなら、高リン血症・低Ca血症・リン過剰摂取・ビタミンD欠乏など“介入可能因子”をまず評価することが望ましいとしています。

さらにKDIGOは、非透析CKD(G3a-G5)でカルシトリオールやビタミンDアナログをルーチン投与しないことが望ましい、と明確にブレーキをかけています(ただし重症で進行性の副甲状腺機能亢進症では例外の余地)。

この部分は、外来で「PTHが上がってきたのでとりあえず活性型ビタミンDを追加」という惰性を止める根拠として使いやすく、医師だけでなく栄養指導や服薬指導の優先順位を上げる材料にもなります。

薬物療法の実務チェック(チームで共有すると事故が減る項目)

  • 治療強化前に、リン高値・Ca高値を先に是正できる余地がないか(透析条件、食事、吸着薬)。
  • ビタミンDを増やすなら、Ca・リンの上昇リスクとセットで、測定頻度も上げる(KDIGOは治療中は頻度増が妥当)。
  • カルシミメティクス導入時は低Ca血症のリスクを想定し、補正Caの追跡と症状聴取(しびれ、痙攣など)をルーチン化する。

二次性副甲状腺機能亢進症 治療の手術適応と副甲状腺摘出術

重症で内科的薬物療法が成功しなかった副甲状腺機能亢進症に対して、KDIGO 2017は副甲状腺摘出術が望ましい(2B)としています。

日本透析医学会ガイドライン(2006)でも、内科的治療に抵抗する高PTH血症が持続し、高リン血症(>6.0)または高Ca血症(>10.0)が存在する場合に、副甲状腺摘出術(PTx)またはPEITなどのインターベンションを考慮すべきとしています。

さらに同ガイドラインは、目安としてintact PTH >500 pg/mLではインターベンションが強く推奨されること、超音波で推定体積500 mm3以上または長径1cm以上が結節性過形成の可能性を示す重要因子になることを記載しています。

“意外に重要な臨床の勘所”として、手術適応はPTHの数字だけでなく、症状や合併症の進行度で重みが変わる点が、ガイドライン解説に具体例として列挙されています(骨関節痛、筋力低下、不眠、かゆみ、進行性異所性石灰化、calciphylaxis、EPO抵抗性貧血など)。

つまり「採血でPTHが高いから」ではなく、「P・Caを守ろうとすると薬が打てない/増やせない」「その結果PTHも症状も破綻している」という“管理不能性”が、インターベンションへ切り替える最大のサインになります。

また、PEIT後は強力な内科的治療が必要になること、PEIT後のPTxは癒着で反回神経損傷リスクが上がり得るなど、治療の順序が将来の選択肢を狭める点も明確に注意喚起されています。

参考:透析患者におけるリン・補正Ca・PTHの目標、測定頻度、インターベンション適応(PTH>500、腺体積500mm3/長径1cmなど)が原典で確認できます。

日本透析医学会「透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン」(目標値・適応の根拠)

https://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/7/pdf6.pdf

実地医家による二次性副甲状腺機能亢進症治療症例集