シュウ酸カルシウム結石 犬 フード
シュウ酸カルシウム結石 犬 フード 食事療法の基本
シュウ酸カルシウム結石は、ストルバイト結石と異なり「食事で溶かす」ことが難しいため、治療の主軸は摘出(外科的対応など)と再発予防になります。実務では「すでにある石を消す」よりも、「新しい石を作らせない」説明へ軸足を置くと、飼い主の期待値調整がしやすくなります。なお、尿路感染がある場合にのみ抗菌薬を使う、という整理も併せて伝えると、不要な抗菌薬期待を減らせます。
この“溶けにくい”特性が、フード選択にも直結します。ストルバイトを意識した「尿を強く酸性化する設計」は、シュウ酸カルシウム結石の犬にそのまま当てはめると不利になりうるため、結石タイプの同定(結石分析、尿検査、画像など)と食事設計をセットで考えます。尿石は「部位(膀胱/尿道/腎臓)」でも「成分(ストルバイト/シュウ酸カルシウム等)」でも管理方針が変わるので、現場ではこの2軸をまず揃えるのが安全です。
食事療法の狙いは大きく3つに整理できます。
・尿中の過飽和を下げる(=尿を薄くする)
・尿pHの“酸性化”を避ける(極端に下げない)
・結石の材料(ミネラル等)の過剰を抑える
ACVIMガイドラインの要旨としても、シュウ酸カルシウム尿石の予防は「尿濃度を低下させる」「尿の酸性化を避ける」「高たんぱくを控える」方向が示されています。さらに、持続的な酸性尿がある場合にクエン酸K等のアルカリ化クエン酸塩を検討する、再発頻回ならサイアザイド系利尿薬を検討するが尿pH低下に注意、という“薬剤とpHの綱引き”も押さえておくと医療者向け記事として厚みが出ます。
参考:ACVIMガイドライン要旨(シュウ酸カルシウム尿石の予防、クエン酸K、サイアザイド、Na高用量の短期効果の注意)

シュウ酸カルシウム結石 犬 フード 水分 摂取を増やす工夫
シュウ酸カルシウム結石の再発予防で、最も“やることが明確で効果が説明しやすい”のが水分摂取の確保です。尿量が増えると、尿中の結晶成分が希釈され、膀胱内に尿が長時間とどまる状況も減りやすくなるため、結石再発の土台対策になります。飼い主指導では「水を飲ませる」だけだと抽象的なので、行動に落ちるメニューを提示します。
水分摂取を増やす具体策(現場で提案しやすい順)
・💧水飲み場を複数にする(置き場所を増やす)
・🥣ドライをふやかす/ウェットへ切り替える(食事から水分を入れる)
・🍲脂を除いた煮汁等で嗜好性を上げる(ただし結石タイプにより食材は要確認)
・🚶散歩時にこまめに給水機会を作る
・🧴飲水補助サプリ等は動物病院で相談して適応を詰める
水分摂取量を増やす方法として、飲水の好み(新鮮な水、冷温、蛇口など)や置き場所の工夫、ドライ→ウェット、ふやかしなどが具体的に挙げられています。加えて、犬の研究として「ウェットの方が再発率が大きく低下した」という紹介もあり、飼い主に行動変容を促す材料として使えます(数字の独り歩きを避け、あくまで“水分増の方向性が重要”と説明するのがコツです)。
参考:水分摂取の増やし方、ウェット化、排尿環境の整え方(尿石症の看護ポイント)
意外に見落とされやすいのが、「水分摂取の工夫」と「排尿を我慢させない環境」をセットで指導する点です。尿石症では排尿回数が増えること自体が防御要因になりうるため、トイレの場所・散歩頻度・シーツ交換など、生活導線の設計まで一緒に確認します。屋外排尿派の犬は悪天候で我慢しやすいので、室内トイレ移行トレーニングが“結石予防の一部”になる、という伝え方は飼い主の納得を得やすいです。
シュウ酸カルシウム結石 犬 フード 尿pHとミネラル調整
尿pHはシュウ酸カルシウム結石の説明で必ず話題になりますが、「pHだけで決まらない」点も同時に伝えると誤解が減ります。シュウ酸カルシウムは酸性尿でできやすいとされる一方、他の尿路結石よりpHと無関係に形成されやすい面も指摘されており、pHは重要因子の一つだが万能ではない、という立て付けが現実的です。
そのうえで、食事設計としては「尿の酸性化を避ける」方向が基本になります。ACVIMの要旨でも、尿の酸性化を避けることが再形成の最小化につながるとされ、持続的な酸性尿にはクエン酸K等のアルカリ化クエン酸塩を検討する流れが述べられています。薬剤介入の前に、まずフード(療法食を含む)で“極端な酸性尿”を作らない方針が安全です。
ミネラル調整は「カルシウムをゼロにする」話ではありません。過剰なカルシウムやシュウ酸を抑えることは勧められますが、必要量まで削ると別の問題(骨代謝など)を招く可能性があるため、自己流の制限は禁物です。医療従事者向けには、飼い主がネット情報で「カルシウム悪者化」しやすい点を先回りして注意喚起しておくと有用です。
現場での説明テンプレ(誤解を減らす言い方)
・「pHは大事ですが、pHだけで結石は決まりません」
・「カルシウムは“過剰を避ける”のであって、“ゼロにする”ではありません」
・「結石タイプでフードの方向性が変わるので、自己判断での切替は避けましょう」
シュウ酸カルシウム結石 犬 フード 療法食の選び方と注意
療法食の選び方は「結石の種類」+「併存疾患」+「犬のライフステージ」で決めるのが基本です。療法食は、結石対策のためにミネラルや尿pH、たんぱく質量などを調整している一方、成長期や妊娠・授乳期などに不向きな設計があり得ます。したがって、フードの“結石適応”だけ見て自己判断で開始するのではなく、定期的な尿検査・画像検査とセットで評価する前提を明確にします。
また、療法食は単独で成立する設計なので、「おやつ」「トッピング」が混ざると狙ったミネラルバランスや尿性状から外れることがあります。飼い主の罪悪感に配慮しつつ、混ぜるなら“何をどれだけ”を主治医と決める、という運用ルール化が現実的です。
医療現場でよく起きる落とし穴は、「ストルバイト既往があった」「尿がアルカリ性だった」などの経験から、強い酸性化設計のフードを続けてしまうパターンです。結石タイプが変わることもあるため、過去の診断名に引きずられず、現在の結晶・尿pH・画像所見で方針を更新します。
参考:結石タイプごとの食事方針(ストラバイトは酸性化、シュウ酸カルシウムはアルカリ化寄り+過剰カルシウム/シュウ酸を抑える、療法食の活用)
シュウ酸カルシウム結石 犬 フード 独自視点:ナトリウム設計と「短期効果」の落とし穴
独自視点として強調したいのは、「尿量を増やすためにナトリウムを上げれば良い」という単純化が、必ずしも長期予防にならない点です。臨床現場では“尿量を増やす”が最重要なので、つい“ナトリウム高め→飲水増→尿量増”の発想に寄りがちですが、ACVIM要旨では「高Naドライフードで尿量を増加させる効果は3〜6か月と短期的で、推奨されない」とされています。つまり、ナトリウム頼みは「最初だけ効いて見える」可能性があり、慢性管理の設計としては危ういことがあります。
ここから導ける実務的ポイントは2つです。
・尿量増加は、ナトリウム依存よりも“ウェット化・ふやかし・飲水環境”で恒常化させる。
・心疾患や腎疾患など、ナトリウム制限が必要な症例では、なおさら「水分を食事から入れる」設計が重要になる。
さらに、サイアザイド系利尿薬は再発頻回例で検討対象になりますが、尿を酸性化し得るため、尿pHモニタリングとクエン酸K併用の要否を判断する、という“薬剤選択と食事・pH管理の一体運用”が鍵になります。医療者向け記事では、こうした「一つの介入が別のリスクを動かす」点を言語化しておくと、単なるフード紹介記事との差別化になります。
参考:高Naドライの短期効果、クエン酸K、サイアザイドと尿pH(ACVIMガイドライン要旨)
https://arkraythinkanimal.com/2024/11/25/mf36/

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