シャント造影用カテーテルと造影
シャント造影用カテーテルで造影の基本
シャント造影は、VA(AVF/AVG)回路の「狭窄・閉塞の部位と長さ」「流入動脈から流出静脈〜中枢静脈までの連続性」「側副路の寄与」を把握し、続くVAIVT(PTA、血栓治療、ステント検討)を成立させるための検査である。
評価の出発点は臨床徴候(脱血不良、穿刺困難、止血時間延長、透析中の静脈圧上昇など)と理学所見で、画像検査はそれを客観化して治療計画に落とし込む役割を担う。
シャント造影は「診断」だけで完結することより、同一セッションで治療に移行する前提で設計するとムダが少ない(穿刺部位、シース方向、バルーン径、追加デバイスの要否が決まる)。
造影の方法は大きく2つあり、①上腕動脈からの順行性造影、②静脈からの逆行性造影(マンシェット等で駆血して吻合部〜動脈側まで逆流させ、のちに駆血解除して静脈還流を観察)を使い分ける。
参考)https://www.kaikou.or.jp/touseki/pdf/sakura_107.pdf
逆行性静脈造影では、吻合部〜動脈側が十分に描出された段階で駆血を解除し、下流(心臓側)への還流まで評価する、という“切り替え”が重要になる。
前腕レベルは動静脈が重なりやすいため、最低2方向からの撮像が推奨される。
造影剤は、ヨード濃度150mgI/mL程度を使用し、経動脈性で3〜5mL、逆行性静脈造影で10mLが目安としてガイドラインに記載されている。
造影剤アレルギー等でヨード造影が禁忌の症例では、陰性造影剤としてCO2 gasを単独で20〜50mL用いて同様にVA造影が可能とされる。
一方でCO2造影は、吻合部を介して中枢動脈へ逆流した場合のリスク(gas embolismからTIAの恐れ)や、総投与量・造影間隔など注意点が明記されているため、適応判断と手順の標準化が必須である。
シャント造影用カテーテルとアプローチ
VAIVTのアプローチは、AVFでは原則「経静脈性アプローチ」が推奨され、経動脈性に比べ穿刺合併症が少なく、6Fr以上の大口径シースが挿入できる利点がある。
一方で、静脈側からガイドワイヤーが狭窄部を通過できない場合や、静脈側が荒廃している場合などは、経動脈性アプローチが必要になることがある。
造設後初期の発達不全例では吻合部狭窄が多く静脈が十分に拡張していないため、上流側からの経動脈アプローチが有用となり得る。
穿刺と造影の「現場のコツ」として、透析シャントPTAの基本手技解説では、PTA中に血管損傷が起きても視覚的に早期発見できるよう、アクセス全体を覆い隠さずに露出させる重要性が述べられている。
同資料では、静脈からの造影時に上腕マンシェットを収縮期血圧より高く設定し、動脈側まで逆流させて吻合部を描出する方法が具体的に記載されている。
また、瘤化部は破裂リスクがあるためシース挿入を避けるべき、という実践的な注意点も示されている。
「シャント造影用カテーテル」という狙いワードで語られがちな“カテーテル選定”よりも、実際にはシース挿入位置と方向がその後の成功率と合併症率に直結する。
狭窄部より下流にシースを入れる方法は圧が低く、血管損傷が起きても対処しやすい、という整理が提示されている。
逆に狭窄部より上流に入れる場合は圧が高く、微小損傷でも大きな血腫を作りうる点が強調されている。
【権威性のある参考リンク:VAIVTの順行性/逆行性造影、CO2造影の注意点、造影剤量の目安がまとまっている】
日本IVR学会 VAIVT(血液透析用バスキュラーアクセス)ガイドライン(PDF)
シャント造影用カテーテルと合併症
VAIVTに伴う合併症は「穿刺部感染、血腫(仮性瘤、血管破綻)、静脈・動脈閉塞、肺塞栓、造影剤の副作用など」が挙げられ、血管損傷を早期発見する工夫が重要とされる。
血管損傷対策の最重要原則として、ガイドラインは「まず絶対にガイドワイヤーを抜かない」ことを明記し、抜去すると破裂部から血管外へ逸脱する危険が高いとしている。
血管外漏出があり血流に影響する場合は、漏出部にバルーンを進め、指とバルーンで圧迫しながら低圧で4〜5分加圧し、造影で漏出と血流障害の有無を確認する、という具体的対応が推奨されている。
「血管をなるべく漏らさない」発想は、再治療率の高いVA領域では特に重要で、血腫ができるとそれ自体が圧迫となり、治療が成功しても血流低下で不成功に転ぶ可能性が指摘されている。
そのため実践論文では、デフレーション前に造影準備を整え、デフレーション中は上流を用手圧迫して血流を落とし、解除と同時に造影して漏出を即時判定する、といった“手順の設計”が紹介されている。
止血に失敗しないことは、次回穿刺部位の温存にも直結するため、造影は「見える」だけでなく「すぐ対処できる配置」で行うべきである。
感染はVAIVTの禁忌としてガイドラインでも明記され、特に感染したAVG血栓性閉塞を再開通すると起因菌が全身に拡がり敗血症の可能性があるため禁忌とされる。
アレルギーに関しては、ヨード造影剤禁忌でもCO2造影が代替手段となる一方、投与量や造影間隔、逆流時リスクに留意する必要がある。
造影システム内の空気管理は、画質のアーティファクト回避だけでなく、静脈系への空気混入という事故予防の観点からも、チームでのチェックリスト化が望ましい。
シャント造影用カテーテルでバルーンとガイドワイヤー
VA狭窄は拡張困難病変が多いため、ガイドラインでは「基本的に高耐圧バルーンが望ましい」とされ、再発やAVG静脈吻合部など拡張困難が予測される場合は超高耐圧バルーンやカッティングバルーンも考慮するとしている。
バルーンのコンプライアンス(ノンコン/セミコン)と、吻合部の屈曲など解剖学的条件を踏まえ、屈曲病変では血管直線化の少ないセミコンが望ましい場合がある、という整理がある。
バルーン径は、静脈病変では正常径と同等または1mmオーバーサイズ、吻合部や動脈病変はジャストサイズが推奨される。
拡張の方法は標準化が難しい領域だが、原則としてRBP以下でくびれが取れるまで加圧し、30〜120秒保持することが多い、とされている。
拡張のエンドポイントは「くびれの解消・残存狭窄率30%以下」を目標としつつ、AVFではthrillの出現または改善を重視し、thrillが良好なら30%程度の残存狭窄は許容範囲、という現実的な基準が示されている。
造影上改善してもthrillが出現しない場合は、動脈攣縮・血栓形成・下流狭窄などを疑い、終了とはならないと明記されている。
ガイドワイヤーについては、透析シャントPTAの基本手技解説で0.018インチ以下と0.035インチの特徴が述べられ、0.035は細枝に迷入しにくい利点がある一方、雑な操作で血管損傷リスクが上がる点が示されている。
同資料では、ガイドワイヤーは可能なら病変を越えて末梢まで進めておき、血管損傷時にも速やかにバルーンで止血できる“逃げ道”を確保する、という安全設計が推奨されている。
また、狭窄が複数ある場合は最遠位から拡張することで、近位側での損傷時に出血量が増えるリスクを減らせる、という血行動態に基づく戦略が解説されている。
シャント造影用カテーテルと独自視点
検索上位で語られやすいのは「手技の流れ」だが、実務で差が出るのは“造影の設計=情報の取り方”であり、最初に「どの情報が欠けると危険か」を決めてから撮ると、造影回数と被ばく(患者・術者)を減らしやすい。
具体的には、①吻合部〜流入動脈、②穿刺区間〜狭窄、③流出路〜中枢静脈、④側副路と静脈高血圧の関与、の4点を「1回の造影でどこまで拾うか」を決め、足りない部分だけ追加撮像する設計が有効である。
この設計に直結するのが、逆行性造影でのマンシェット加圧→動脈側描出→駆血解除→還流評価、という“時間軸”で、同じ造影剤量でも得られる情報密度が変わる。
もう一つの独自視点は「触診と造影の相互参照」で、アクセス領域では術中の視診・触診が重要で、ドレープで覆い隠さず全体を露出させるべき、という強いメッセージがある。
造影画像が“形”の情報だとすると、thrillや拍動、狭窄音は“機能”の情報であり、エンドポイントもthrill改善を含めて判断する、という考え方がガイドラインに明記されている。
この2系統を揃えることで、「造影上は良いのに透析で脱血不良」「造影剤量を増やしても答えが出ない」といった手技後トラブルの原因探索が、より短時間で行えるようになる。
【権威性のある参考リンク:VAIVTの適応・不適応、バルーン選択、エンドポイント、血管損傷対処など“技術の根拠”がまとまっている】