igg4関連疾患診断基準2020
igg4関連疾患診断基準2020の項目と確診群probable possible
IgG4関連疾患(IgG4-RD)の2020改訂包括診断基準は、(1)臨床的・画像的所見、(2)血清学的所見、(3)病理学的所見の3領域で構成されます。
まず「項目1(臨床/画像)」は、単一または複数臓器に特徴的なびまん性/限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を認めることが条件で、リンパ節単独病変は除外されます。
「項目2(血清)」は高IgG4血症(135 mg/dL以上)で、従来と同じカットオフが維持されています。
「項目3(病理)」は3サブ項目のうち2つを満たす必要があり、①著明なリンパ球・形質細胞浸潤と線維化、②IgG4/IgG比40%以上かつIgG4陽性形質細胞>10/HPF、③特徴的線維化(花筵様線維化)または閉塞性静脈炎、が明示されています。
判定はシンプルで、項目1+2+3が「確診群(definite)」、項目1+3が「準確診群(probable)」、項目1+2が「疑診群(possible)」です。jstage.jst+1
さらに重要な注釈として、包括基準でprobable/possibleでも、臓器別診断基準で確定できた場合はIgG4-RDの確診扱いにできる、という“救済ルート”が組み込まれています。igg4+1
臨床では「生検が取りにくい膵・後腹膜など」や「組織量が小さい針生検」も多いため、この“包括+臓器別”の二段構えを前提に診断戦略を立てるのが現実的です。
参考)新たなIgG4関連疾患診断基準—2020改訂IgG4関連疾患…
igg4関連疾患診断基準2020の病理:花筵様線維化と閉塞性静脈炎
2020改訂の最大の実務的インパクトは、病理診断に「花筵様線維化(storiform fibrosis)」と「閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis)」が明確に組み込まれた点です。
これにより、IgG4/IgGの免疫染色が背景染色の強さなどで評価困難な場合でも、HE染色での特徴所見が診断に寄与できる設計になりました。
花筵様線維化は、紡錘形細胞・炎症細胞・細い膠原線維が“流れるように錯綜配列”する線維化パターンとして説明され、閉塞性静脈炎は炎症細胞を伴う線維性の静脈閉塞と定義されています。
一方で、臓器によって病理像の出方は異なり、涙腺・唾液腺やリンパ節では線維化や閉塞性静脈炎が目立ちにくいことがある点は知っておく必要があります。
この「臓器差」は、病理レポートのテンプレに“必須三徴(浸潤・IgG4比・特徴線維化/静脈炎)”だけを期待してしまうと見落としにつながるため、臓器別基準や臨床像の文脈で読み解くのが安全です。
意外な落とし穴として、IgG4陽性細胞はIgG4-RD以外(例:一部の炎症性疾患や腫瘍周囲)でも増えうるため、「IgG4陽性が多い=確定」と短絡しない姿勢が、むしろ2020基準の思想に合致します。
igg4関連疾患診断基準2020の血清IgG4 135と感度特異度
2020改訂基準でも、血清IgG4のカットオフは135 mg/dL以上が採用されています。
ただし、原著では血清IgG4単独の診断能には議論があり、感度・特異度が報告により幅があること、膵癌などとの鑑別に役立つ可能性があることが述べられています。
したがって血清IgG4は“入口の強い手がかり”ではあってもゴールドスタンダードではなく、臨床像(臓器病変の分布)と病理の整合性で最終判断するのが前提です。
実務でのコツは、単回測定の値だけでなく、(1)他の免疫グロブリン増加(多クローン性)や補体、(2)画像での多臓器同時性/異時性、(3)治療反応性を「診断確度を上げる周辺情報」として整理することです。jstage.jst+1
ただし2020基準は「ステロイド反応性」を診断目的で積極的に使う(いわゆる診断的治療)は推奨しない立場で、反応しない場合は診断再考が必要、と注釈で釘を刺しています。igg4+1
つまり、ステロイドは“診断を確定させる検査”ではなく、“診断が妥当なら効きやすい治療”という位置づけで扱うのが安全です。jstage.jst+1
igg4関連疾患診断基準2020の除外診断:悪性腫瘍とCastleman病
2020改訂基準は注釈として除外診断を強調し、可能な限り組織診断で悪性腫瘍(癌、悪性リンパ腫など)や類似疾患(Sjögren症候群、原発性硬化性胆管炎、Castleman病など)を鑑別する重要性を明示しています。
さらに、高熱・高CRP・好中球増多がある場合には感染性/炎症性疾患の除外が重要、と具体的な臨床状況が追記されています。
この「高熱・高CRPを除外項目として明文化」は、IgG4-RDを“炎症が強い病気”と誤解して早合点しやすい現場に対して、かなり実戦的な注意喚起になっています。
またリンパ節単独病変が項目1から除外された背景には、リンパ節腫脹は自己免疫疾患・Castleman病・造血器腫瘍・転移などでも起こり、特異度が低いという事情があります。
参考)https://igg4.jp/wp-content/themes/kyushu_ac_junkankinaika_igg4/img/pdf/igg4_01.pdf
臨床医側の運用としては、「IgG4高値+リンパ節」だけの症例をIgG4-RDの“疑い”として固定せず、画像で他臓器病変を探す/組織で別疾患を潰す、というワークフローに乗せるのが合理的です。
特にmimickerをIgG4-RDとして報告してしまう混乱が増えている、という指摘もあり、参考文献の選び方や症例のラベリングにも注意が必要です。
igg4関連疾患診断基準2020の独自視点:病理依頼書と検体選択
2020基準の注釈には、針生検や内視鏡生検のような小検体では、摘出標本よりIgG4陽性細胞数が少なく見えがちで、「数値にこだわり過ぎない総合評価」が重要だと書かれています。
ここから導かれる実務の独自ポイントは、診断精度を上げる鍵が“病理医の腕”だけでなく、臨床側の「検体の取り方」と「依頼書の書き方」にもある、ということです。
例えば依頼書に、疑う疾患としてIgG4-RDを明記し、既知の他臓器病変(同時性/異時性)、画像の特徴、血清IgG4値、鑑別で懸念している悪性腫瘍や感染症の情報を添えると、病理側が“花筵様線維化・閉塞性静脈炎を意識してHEを読み直す”動機になります。
検体選択でも、同じ「腫大臓器」でも、線維化が強い部位と炎症浸潤が強い部位が混在することがあるため、画像で活動性が高そうな部位(造影や拡散など施設の通常手順に依存)を狙うと診断の手がかりが増えることがあります。
また、2020基準はリンパ節単独を除外している一方、他臓器病変がある状況ではリンパ節も病変の一部になり得るため、「取りやすいリンパ節で済ませる」発想より「責任臓器の組織を取りに行く」方が最短で確度が上がりやすい、という逆説も成り立ちます。
このあたりは検索上位の一般解説では省略されがちですが、実際に“probable/possibleから確診へ詰める”局面では、検体戦略こそ診断基準の運用力を左右します。jstage.jst+2
必要に応じて、関連論文の引用リンク(原著)。
2020 revised comprehensive diagnostic (RCD) criteria 原著(Mod Rheumatol)
日本語で要点がまとまる参考リンク(基準表・鑑別の要点)。
基準の各項目(臨床/血清/病理、確診/準確診/疑診、除外診断、注釈)を一覧で確認:2020改定 IgG4関連疾患包括診断基準(表)
診断基準と分類基準(ACR/EULAR)を混同しないための背景整理:2020改訂包括診断基準と2019 ACR/EULAR分類基準の解説(J-STAGE PDF)

【sonawell ソナウェル】血液で調べる 生活習慣病リスク検査キット 生活習慣病13項目 LD13