体軸性脊椎関節炎と診断基準とMRI

体軸性脊椎関節炎 診断基準

この記事で押さえるポイント
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「診断」と「分類基準」を混同しない

ASASは研究・拾い上げに強い一方、臨床では鑑別除外と画像の解釈が重要です。

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MRIは万能ではなく偽陽性がある

骨髄浮腫(BME)があっても、産後・アスリート・機械的負荷で起こり得ます。

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炎症性腰背部痛から逆算する

若年発症・運動で改善・安静で改善なし等の特徴を起点に、検査を段階的に組み立てます。

体軸性脊椎関節炎 診断基準の前提(分類基準との違い)

 

体軸性脊椎関節炎(axSpA)は、仙腸関節や脊椎の“付着部炎”を主座とする疾患群で、強直性脊椎炎(AS)とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)を含むスペクトラムとして捉えられます。

臨床で混乱しやすい点として、ASASの「体軸性脊椎関節炎分類基準」は“診断基準”ではなく、研究や早期例の拾い上げを目的に設計された「分類基準」です。

日本の啓発資料でも、分類基準をチェックシートのように使って鑑別除外が不十分なまま誤診・誤治療につながる可能性が明示的に注意喚起されています。

診療現場の実務としては、次の順で“診断の確度”を上げる意識が安全です。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3403902/

✅ 1) 症状がaxSpAらしい(特に炎症性腰背部痛)→ 2) SpA特徴の追加情報(家族歴、ぶどう膜炎、乾癬、炎症性腸疾患、付着部炎など)→ 3) 検査(CRP/HLA-B27)→ 4) 画像(X線→必要に応じMRI)→ 5) 鑑別除外(DISH、OCI、線維筋痛症など)pmc.ncbi.nlm.nih+1​

体軸性脊椎関節炎 診断基準で重要な炎症性腰背部痛(ASAS基準)

体軸性脊椎関節炎を疑う入口として、炎症性腰背部痛(IBP)の評価が鍵になります。

ASASの炎症性腰背部痛基準は、①40歳未満の発症、②潜行性発症、③運動で改善、④安静で改善なし、⑤夜間痛(起床で改善)の5項目中4項目を満たすとIBPとする整理で、啓発資料および大学病院の解説で同様に提示されています。

この“症状の型”が揃っている患者では、単純な腰痛診療の延長ではなく、仙腸関節炎の有無(X線/MRI)やHLA-B27、SpA特徴を組み合わせた評価に早期に切り替えるのが合理的です。

一方で、IBP様に見える症状は非特異的でもあり、問診の質で精度が大きく変わります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6009093/

  • ✅ 「動くと楽」は“ストレッチで軽くなる”程度なのか、“日中に活動すると明確に改善する”のかを分けて聴く。​
  • ✅ 「夜間痛」は“寝返りで痛い”ではなく、“後半で痛みで目が覚め、起きると軽い”というパターンか確認する。​
  • ✅ 「潜行性」は、急性のぎっくり腰様エピソードではないことを確認する。​

体軸性脊椎関節炎 診断基準としてのASAS分類基準(MRI・HLA-B27・CRP)

ASASの体軸性SpA分類基準は「慢性腰背部痛(3か月以上)かつ45歳未満発症」を前提に、(A)画像所見+SpA特徴(イメージングアーム)または(B)HLA-B27+SpA特徴2つ以上(クリニカルアーム)で分類する考え方です。

ここで重要なのは、クリニカルアームは“画像所見が必須ではない”一方、イメージングアームでは「改訂ニューヨーク基準を満たすX線所見」または「ASAS-positive MRI(活動性仙腸関節炎)」が要件になる点です。

大学病院の解説でも、ASの診断にmodified New York criteriaが広く用いられてきたが早期例には弱く、MRI所見を取り入れたASAS基準が早期拾い上げに寄与した、という流れで整理されています。

検査の組み立てを“診断の文脈”に寄せると、次が現実的です。

  • HLA-B27:ASでは90%以上陽性とされ関連が強いが、地域差があり日本では陽性率が低い(0.4%)ため、陰性でも即否定しない態度が必要です。​
  • 炎症反応(CRP/ESR):上がると支持的だが、正常でもaxSpAはあり得るため、症状と画像の整合がより重要になります。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
  • 画像(X線→MRI):X線変化には年単位の経過が必要な一方、MRIは炎症(骨髄浮腫など)を描出でき早期診療に有用です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

(論文リンク例:ASAS分類基準の全体像を理解する導入として有用)

Axial Spondyloarthritis Classification Criteria(総説, PMC)

体軸性脊椎関節炎 診断基準での画像(改訂ニューヨーク基準とMRIの落とし穴)

改訂ニューヨーク基準(modified New York criteria, 1984)は、仙腸関節X線所見(両側grade2以上、または片側grade3以上)と臨床基準を組み合わせ、特異度は高い一方で早期例の分類が難しいという限界があります。

そのため、axSpAの診療では「X線で決めきれない」局面が必ず出てきて、ここでMRIの適応と解釈が診断の質を左右します。

啓発資料でも、MRIでは炎症所見(例:STIRでの骨髄浮腫)が見える一方、アスリートや出産後、健常者でも類似所見(偽陽性)を見うることが強調されています。

MRI解釈の要点は、「ASAS-positive MRI」の定義を曖昧にしないことです。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9283193/

  • ASAS-positive MRIは、典型部位(主に軟骨下骨)に骨髄浮腫(BME)が存在し、画像所見がaxSpAを強く示唆することが必要とされています。​
  • 付着部炎、関節包炎など“他の炎症性病変だけ”があっても、BMEが伴わなければASAS-positive MRIには該当しない、という整理がされています。​
  • 「マラソンランナーの機械的ストレスによるBME」など、BME自体が他要因で説明できるケースがあり、分類基準を満たしても“診断確率は低いことがある”と明確に指摘されています。​

鑑別で現場が詰まりやすい疾患は、DISH(びまん性特発性骨増殖症)とOCI(硬化性腸骨骨炎)と線維筋痛症です。

  • DISH:高齢発症が多く、頚椎X線で“melted candle wax”様の骨増殖など、ASと異なる所見が示されています。​
  • OCI:仙腸関節の腸骨側に三角形の硬化像が見え、出産などの負荷が背景になり得るとされています。​
  • 線維筋痛症:体軸部痛や付着部痛が多く、脊椎関節炎と誤診されやすい旨がまとめられています。​

(日本語で画像・鑑別の実務に直結しやすい参考)

鑑別(DISH/OCI/線維筋痛症)の具体例:体軸性脊椎関節炎(日本脊椎関節炎学会等の啓発資料PDF)

体軸性脊椎関節炎 診断基準を“運用”する独自視点:誤診を減らすチェック(線維筋痛症・産後・アスリート)

検索上位の解説は「ASAS分類基準の紹介」に寄りがちですが、実臨床で問題になるのは“基準を満たしたように見える患者”の扱いです。

そこで、体軸性脊椎関節炎 診断基準を運用する際の独自チェックとして、「BMEの説明モデル」を一度作ってから結論を出すと、過剰診断を減らしやすくなります。

具体的には「そのBMEは、炎症(SpA)よりも機械的負荷で説明できないか?」を問診と背景で検証し、さらに“反証”としてHLA-B27陰性・CRP正常・構造変化なしが揃うなら、SpAの確率は高くない可能性があると指摘されています。

過剰診断を起こしやすい状況を、あえて先に列挙しておくと安全です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

  • 🏃 アスリート:機械的ストレスで仙腸関節のBMEが起こり得るため、画像単独で決めない。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
  • 🤰 産後:啓発資料でも“偽陽性に注意”とされ、産後の仙腸関節痛をすべて炎症性と決めつけない。​
  • 🌡️ 線維筋痛症:体軸部痛・付着部痛が多く、SpAの症状と紛らわしいため、圧痛の分布や随伴症状の取り方を丁寧にする。​

一方、見落としを減らすための“逆方向のチェック”も必要です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

  • 👁️ ぶどう膜炎の既往は、本人が「目の炎症」としか言わないことがあり、急性前部ぶどう膜炎を疑って眼科受診歴を具体的に確認する。​
  • 🩺 付着部炎は「足底が痛い」「アキレス腱が痛い」として整形外科・スポーツ診療に埋もれやすく、触診で圧痛を拾うべきだとされています。​
  • 🧬 家族歴(SpA、乾癬炎症性腸疾患など)を聴き落とすと、ASASの“SpA特徴”の評価が崩れてしまいます。​

(大学病院の日本語解説で、診断基準・所見・評価指標まで一気に復習できる)

ASAS基準と改訂ニューヨーク基準、MRI所見の定義:強直性脊椎炎(東大病院 アレルギーリウマチ内科)

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