巨細胞性動脈炎 診断基準 2022
巨細胞性動脈炎 診断基準 2022の分類基準と点数(ACR/EULAR)
巨細胞性動脈炎(GCA)は、失明など不可逆障害を起こしうるため「疑った瞬間からの動き」が成否を分けます。2022年にACR/EULARから提示されたのは、厳密には“診断基準”ではなく「分類基準」ですが、臨床現場でも思考の骨格として非常に有用です(研究での均質化を主目的に作られている点は注意)。
(2022年ACR/EULARによる巨細胞性動脈炎の分類基準:日本語PDF)
まず絶対条件は1つだけで、「診断時年齢が50歳以上」です(これを満たさないと点数計算に進めません)。その上で、臨床所見・血液検査・画像・病理を合計し、6点以上でGCAに分類します。項目と配点は次のとおりです。
【絶対的必要条件】
・診断時年齢 ≧ 50歳
【臨床的な項目(各+2または+3)】
・肩または首の朝のこわばり:+2
・顎または舌の跛行:+2
・新規の側頭部頭痛:+2
・頭皮の圧痛:+2
・側頭動脈の異常な診察所見:+2(脈の減弱/消失、圧痛、硬い索状など)
・突然の失明:+3
【血液・画像・病理(+2〜+5)】
・最大ESR≧50mm/hまたは最大CRP≧1.0mg/dL:+3(治療開始前の最大値)
・側頭動脈生検陽性 または 側頭動脈エコーでhalo sign:+5
・両側腋窩動脈病変:+2(CTA/MRA/血管造影/US/PET等で定義)
・大動脈全体のFDG-PET活動性:+2(胸部下行大動脈〜腹部大動脈の広い範囲で、視覚的に肝より強い集積など)
この“点数化”の一番の価値は、従来の1990年基準で拾いにくかった「大血管型(LV-GCA)」を、腋窩動脈や大動脈の画像所見で評価に組み込める点にあります。研究論文では、開発・検証コホートで感度・特異度が示されており、分類の精度が高いことが報告されています。
(Ann Rheum Dis. 2022;81:1647-1653 原著)
巨細胞性動脈炎 診断基準 2022と診断の違い(除外診断・適用条件)
「診断基準 2022」と検索されがちですが、ACR/EULAR 2022は“分類基準”であり、適用条件が明記されています。具体的には「中型血管炎または大型血管炎と診断した時に、GCAとして分類する」ために使うもので、適用前に“血管炎と紛らわしい他疾患の除外”が必要です。
臨床では、点数が6点未満でもGCAが否定されるわけではありません。たとえば、①ステロイド先行で炎症反応が落ちた、②エコー施行者の経験差でhalo signが拾えない、③病変が頭蓋外優位で側頭動脈が“陰性”に出る、など現実的な落とし穴が起こります。分類基準は「典型的な情報が集まったときに強い」一方、「情報が欠けた初動」には弱くなり得るため、救急・外来の初診段階では“疑う→失明予防の行動→検査手配”を優先する設計で運用すると安全です。
また、2022の枠組みは「治療開始前の最大ESR/CRP」を点数化している点が重要です。つまり、受診時点の採血が軽度でも、既に他院でステロイドが開始されていたり、発熱で解熱鎮痛薬が連用されていたりすると、点数が実態より低く見積もられる可能性があります。問診で“治療介入前のピーク”を拾う癖は、分類基準の実装上のコツになります。
巨細胞性動脈炎 診断基準 2022で重要な画像:エコー(halo sign)と腋窩動脈
2022基準の中核は、側頭動脈生検に加えて「側頭動脈エコーのhalo sign」を+5点として強く位置づけたことです。halo signは、超音波で“均一で低エコーの壁肥厚”として定義されています。
医療現場の運用としては、側頭動脈だけに固執しないことがポイントです。2022では「両側腋窩動脈病変」が+2点で、CTA/MRA/血管造影/US/PETでの狭窄・閉塞・瘤、あるいはUSのhalo sign、PETのFDG集積などで定義されます。これは“大血管型”の拾い上げを明確に狙った設計で、頭痛が乏しい・側頭動脈が触れにくい・PMR様症状が前景に出る、といった症例の評価に効いてきます。
ここでの実務的な工夫として、エコーを「側頭動脈+腋窩動脈」のセットで考えると、診断の遅れを減らしやすくなります。とくにfast-track clinic(疑い例を迅速に超音波評価へ回す仕組み)では、超音波を軸に診療フローが組まれており、2022基準の現実的な受け皿になっています(外部検証研究も複数出ています)。
(routine clinical careでの性能評価)(fast-track clinicでの外部検証)
巨細胞性動脈炎 診断基準 2022のFDG-PETと大動脈病変(意外な使いどころ)
2022基準には「大動脈全体のFDG-PET活動性」が+2点で含まれています。注釈では、胸部下行大動脈と腹部大動脈を合わせた広い範囲での動脈壁FDG集積(視覚的に肝より強いもの)といった形で定義されており、“局所”というより“広がり”が評価の核です。
臨床で意外に効くのは、「原因不明の炎症反応高値・体重減少・倦怠感」など非特異的な全身症状で、感染症と悪性腫瘍が否定的、しかし血管炎も決め手に欠けるケースです。FDG-PET/CTは“全身一括の炎症マッピング”ができ、病変範囲の把握だけでなく、生検部位の選定に役立つ可能性が示唆されています(症例報告レベルでも、確定診断に寄与したという文脈で語られます)。
さらに日本の実務では、FDG-PET/CTが大型血管炎で保険適用となっている点が重要です。国立国際医療研究センター病院の解説では、「大型血管炎の病変局在や活動性の診断(可視化)」目的で実施でき、感度は90%以上といわれる旨、また炎症の程度推定や全身評価が可能であることが説明されています。
一方で、PETは万能ではありません。すでに高用量ステロイドが開始されていると集積が減弱し、診断の“絵”が薄くなることがあります(時間との勝負になる理由の一つ)。加えて、動脈硬化性変化や他の炎症性疾患でも集積が起こり得るため、「集積=血管炎」と短絡せず、症状・採血・他画像と組み合わせる設計が必要です。
巨細胞性動脈炎 診断基準 2022を現場で使い切る:治療前検体・失明予防・独自のチェックリスト
ここでは検索上位の“基準まとめ”だけでは触れられにくい、現場実装の観点(独自視点)を提示します。ポイントは「点数を計算する」よりも前に、「点数化に必要な情報が“治療で消える前”に確保される導線」を作ることです。2022基準が治療開始前の最大ESR/CRPを参照するように、情報のタイムスタンプが診療の質に直結します。
✅ 独自チェックリスト(外来・救急での“取りこぼし”防止)
・👁️ 突然の視力低下/一過性黒内障の有無(あれば時間単位で動く):2022では突然の失明が+3点に位置づく重要所見。
・🧠 新規の側頭部頭痛、頭皮の圧痛、側頭動脈の触診(脈/圧痛/索状):2022で各+2点のコア。
・🦷 顎跛行/舌跛行は「食事・会話で増悪するか」を具体的に聞く:2022で+2点。
・🧪 採血は“いま”だけでなく「治療前ピーク」を問診で回収:2022は最大ESR/CRPを評価し、ESR≧50またはCRP≧1.0mg/dLが+3点。
・🩻 画像は側頭動脈だけで終わらせず、腋窩動脈も同時に視野へ:両側腋窩動脈病変が+2点として明記。
・🧬 生検は“迷ったらしない”ではなく、“できる施設に早く相談”の発想:生検陽性またはエコーhalo signが+5点と最大配点。
また、実務上の盲点として「痛み止めで頭痛が紛れる」「高齢者が症状を過小申告する」「側頭動脈の触診が形式的になる」など、症状・身体所見が“取りにいかないと取れない”問題があります。2022基準は、こうした“臨床の取り方”の品質が点数に直結するため、初診テンプレートに組み込む価値が高いです。
【権威性のある日本語の参考リンク(病態・検査の説明に有用)】
・巨細胞性動脈炎の検査(US/CT/MRI/PET)と所見の説明:巨細胞性動脈炎(難治性血管炎研究班)

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