甲状腺眼症 治療 テッペーザ
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甲状腺眼症 活動性 重症度 CAS の評価
甲状腺眼症の治療設計は、まず「重症度」と「活動性」を別物として評価するのが安全です。日本甲状腺学会・日本内分泌学会の『甲状腺眼症診療の手引き(Digest版)』では、治療との関連から軽症/中等症~重症/最重症に分類し、最重症は甲状腺性視神経症(DON)や角膜潰瘍・穿孔など「失明の危険」がある状態として早急な介入を求めています。
活動性評価としてはClinical Activity Score(CAS)を用い、前半7項目中3点以上(または10項目中4点以上)が活動性を示唆するとされています。
意外に見落とされがちなのが、「日本人ではCAS1~2点でもMRIで炎症所見を認める場合がある」という記載で、CASだけで“非活動性”と決め打ちしない注意点になります。
治療導線を臨床で崩さないためのミニチェック(例)
・症状のスピード:1~3か月で眼球突出が2mm以上進行、視力低下、眼球運動障害の進行があるか(CASの後半項目)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/958fb2d7bc47e998c2e1d0a2d763b99842d1a31e
・失明リスク:DONや重度角膜障害の兆候があるか(最重症の定義)
・MRI所見:T2/STIRで外眼筋の信号強度上昇が“均一か不均一か”まで含めて、炎症と線維化の混在を疑う
甲状腺眼症 治療 テッペーザ 投与 スケジュール
テッペーザ(一般名テプロツムマブ)は、米国添付文書(FDAラベル)では「甲状腺眼症の治療」が適応とされ、投与は初回10mg/kg、以後20mg/kgを3週ごとに7回追加して計8回の静注投与が推奨されています。
投与時間は初回2回が90分、忍容性が良ければ以後60分に短縮可能とされ、点滴室運用の標準化に向いた仕様です。
またラベル上、TEPEZZAは「活動性や罹病期間にかかわらず」甲状腺眼症に適応と記載されていますが、臨床現場では“活動性”評価(CAS・MRI)と患者の目的(突出、複視、軟部組織、QOL)を揃えないと期待値のズレが起きやすい点に注意が必要です。
医療従事者向け:説明時に誤解が減る言い回し(例)
・「テッペーザは“炎症を抑える”だけでなく、病態のシグナルを狙う薬として設計されている」
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8112427/
・「点滴は合計8回で一区切りだが、副作用モニタリングは投与後も続く」
甲状腺眼症 治療 テッペーザ 副作用 聴覚障害 高血糖
テッペーザの安全性で最も実務に直結するのは、聴覚障害(難聴を含み、永続する場合がある)と高血糖です。FDAラベルでは、治療前・治療中・治療後に聴力を評価し、ベネフィット/リスクを患者と検討するよう明記されています。
高血糖についても、投与前に血糖上昇や高血糖症状を評価し、治療中にモニタリングすること、糖尿病や耐糖能異常のある患者は適切な血糖コントロール下で投与することが示されています。
さらに、既存の炎症性腸疾患(IBD)の増悪が警告事項にあり、既往の聴覚・糖代謝・腸疾患を“問診だけで済ませない”運用(チェックリスト化)が重要になります。
現場で使える副作用モニタリングの例(入れ子なし)
・投与前:聴力のベースライン評価(可能なら聴力検査の導入)
・投与前:血糖/HbA1cと、糖尿病治療の安定性を確認
・投与中:点滴反応(血圧上昇、熱感、頻脈、呼吸困難、頭痛、筋痛など)を想定し、次回以降の前投薬や滴下速度調整の基準をチームで合意
・投与後:聴覚症状(耳閉感、耳鳴、聞こえにくさ)を“患者が言いやすい質問”で拾う(例:「テレビの音量は上がりましたか?」)
甲状腺眼症 治療 ステロイド 放射線 外照射 併用
日本の『甲状腺眼症診療の手引き(Digest版)』では、中等症~重症の活動期には免疫抑制療法や放射線照射療法が適応になり、推奨順として①ステロイド・パルス+放射線外照射の併用、②パルス単独、③外照射単独が示されています。
また、パルス療法の総投与量についてEUGOGO推奨として8g未満が望ましいとされ、総量が8gを超える場合は肝不全に注意が必要、というかなり実務的な安全域の話が明記されています。
放射線外照射は外眼筋腫大や眼瞼浮腫、視神経症への効果が期待される一方、眼球突出への効果は低いとされるため、突出を主訴にする患者では治療目標の設定がズレないように説明が必要です。
ここでの臨床的な“つなぎ”が、テッペーザを「ステロイド・放射線の代替」ではなく「目的(突出・複視・炎症・QOL)を揃えるための選択肢」として位置づけることです。semanticscholar+1
特に、放射線が糖尿病網膜症など網膜症では禁忌とされている点は、糖代謝の問題が絡みやすい甲状腺疾患患者の実臨床で見落としやすい落とし穴になります。
甲状腺眼症 治療 テッペーザ 独自視点 外来運用
検索上位では「効果」や「副作用」の説明に寄りがちですが、医療者向けに価値が出るのは“外来運用の設計”です。テッペーザは3週ごと計8回という固定フレームがあるため、逆に「誰が、いつ、何を確認するか」をプロトコール化すると安全性と満足度が伸びやすい薬剤です。
例えば、聴覚障害は「治療前・治療中・治療後」に評価するよう求められているため、耳鼻科連携または院内でのスクリーニング導線を先に作っておくと、開始後の中断判断がスムーズになります。
また、日本の手引きには治療前に感染症免疫検査、血糖、HbA1cなど幅広い評価を行う記載があり、“内分泌・眼科・放射線科”の連携が重要とされていますが、これはテッペーザ時代にもそのまま効く考え方です。
外来運用で意外に効く工夫(例)
・「症状」と「治療目標」を別シート化:眼球突出、複視、羞明、疼痛、整容、仕事への影響(QOL)を1枚に可視化
・“聴覚・血糖・腸症状”の3点セット問診:毎回同じ質問を同じ順番で(患者が言い漏らしにくい)
・MRIの読み合わせ:CASが低くてもMRIで炎症所見が出ることがあるという注意点を共有し、治療タイミングの議論に使う
参考リンク(日本語/権威性・一次情報寄り)
診断基準、CAS、治療指針(ステロイド・パルス、放射線外照射、禁煙、紹介基準など)の根拠として有用。
https://www.j-endo.jp/uploads/files/edu/koujyousengansyo_digest.pdf
日本における承認(活動性甲状腺眼症、OPTIC-Jなど)の一次情報として有用。
https://www.amgen.co.jp/media/press-releases/2024/09/20240925

甲状腺眼症がよくわかる本