アントン症候群 症状 皮質盲 病態失認 作話 後頭葉

アントン症候群 症状

アントン症候群の要点
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中核は皮質盲+病態失認+作話

視覚が失われているのに自覚が乏しく、見えていると主張し、辻褄合わせの説明(作話)で補うのが特徴です。

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病変は両側後頭葉が重要

皮質盲は両側後頭葉皮質の障害で起こり、眼球や視路前半が保たれていても視覚が喪失します。

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ADL低下と安全管理が焦点

障害物への衝突などの危険が現れやすく、リハでは直接訓練より代償戦略と環境調整が鍵になります。


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アントン症候群 症状 皮質盲

 

アントン症候群の症状を理解する出発点は、まず「皮質盲」を臨床的に想定できるかどうかです。

皮質盲は、視交叉までの視路や眼球が比較的保たれていても、両側後頭葉皮質の障害によって視覚そのものが喪失している状態と整理されます。

そのため、患者が「ぼやけているだけ」「見えている」と述べる一方で、歩行で壁や障害物に衝突する、便座や椅子の位置を取り違えるなど、行動面で視覚入力の欠落が露呈しやすい点が重要です。

臨床で見逃しやすいポイントとして、皮質盲は「全盲の訴え」よりも先に「危なっかしい動作」から疑われることがあります。

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特に急性期病棟では、環境が変化しやすくスタッフの誘導で“たまたま”動けてしまうため、視覚の実態が曖昧なまま経過し、転倒・転落や自己抜去のリスクに直結します。

視野障害が部分的でも病態失認が絡むと自己申告の信頼性が下がるため、対座法やADL観察、看護記録での衝突エピソードの集約が実務上の近道になります。

アントン症候群 症状 病態失認

アントン症候群の症状として最も医療者を迷わせるのが「病態失認」で、客観的に視覚を失っているのに、本人の自覚が乏しい(あるいは否認が強い)点です。

J-STAGE掲載の症例報告でも、皮質盲の状態でありながら「ぼやけているだけで見えている」と頑なに視覚障害を否定し、Anton症候群と診断された経過が示されています。

この“否認”は単なる性格や心理反応では片付けにくく、脳損傷に伴う自己モニタリングの破綻として扱う方が、チーム内で共通認識を作りやすくなります。

病態失認があると、検査室に連れて行こうとすると自力歩行を主張する、点滴ルートを避けずに動く、危険行動の制止に不穏が加わるなど、ケアの難易度が一段上がります。

さらに厄介なのは、本人が「見えている前提」で会話を進めるため、医療者が“説明したつもり”になりやすいことです。

安全管理では、言語説明だけに寄らず、誘導の仕方(立位・歩行の前に停止させる、手すりや杖など触覚情報を先に渡す)と環境調整をセットで行う方が事故予防に直結します。

アントン症候群 症状 作話

アントン症候群の症状では「作話」が目立つことが多く、視覚がない状態を、辻褄合わせの説明で補ってしまう点が特徴です。

同じJ-STAGEの報告でも、Anton症候群の患者は客観的に視覚を失っているにもかかわらず、あたかも見えているかのように振る舞い、作話により視覚障害を否定することが多いと説明されています。

この作話は“嘘をついている”というより、入力が欠けた状態で意味づけを強制的に成立させる反応として理解すると、対応が変わります。

実務では、作話が強いほど「指摘して訂正する」コミュニケーションが逆効果になりやすいです。

例えば「見えていないでしょ?」と詰めるより、「安全のために手すりを握って、触って確認してから動きましょう」と、行動の枠組みを提示した方がコンフリクトが減ります。

また、作話があると問診の情報精度が下がるので、家族や同室者、看護師の観察(衝突、物品探索、トイレ動作の失敗)を一次情報として拾い直す運用が有効です。

アントン症候群 症状 後頭葉

アントン症候群の症状は、後頭葉を中心とする病変で生じる皮質盲と、その盲に対する病態失認が組み合わさることで成立します。

皮質盲が両側後頭葉皮質の障害で起こるという整理は、病態を“眼科の問題”から“脳の視覚中枢の問題”へ切り替えるために重要です。

とくに急性期では、視覚の訴えが曖昧でも、画像と行動観察が一致すれば「視覚の問題+自己認識の問題」としてチームで共有しやすくなります。

意外に見落とされるのは、後頭葉病変が疑われる場面で、視覚症状以外の高次脳機能障害が“同時に”ADLを押し下げることです。

同報告では、Anton症候群に加えてBalint症候群(視覚性運動失調・視覚性注意障害・精神性注視麻痺の3徴)を併発した例が示され、衝突やリーチ不全など生活上の問題が複合化することが述べられています。

つまり「視力がない」だけで説明できない行動(手を伸ばすと顔に向かう、視線が前下方に固定される等)があれば、後頭葉〜頭頂葉ネットワークの障害として再評価する価値があります。

アントン症候群 症状 リハビリテーション(独自視点:チーム内の“安全言語”を作る)

アントン症候群の症状に対するリハビリテーションでは、「見えていないことを分からせる」より先に、「事故を起こさない行動様式を作る」ことが現場の成果に直結します。

症例報告でも、Anton症候群への有効な介入は皮質盲そのものへの直接訓練より、ADLを改善させる代償戦略の指導が中心とされる、という整理が引用されています。

また、退院後生活への順応を目的に、代償戦略の獲得や家屋訪問による環境設定を行い自宅退院に至った経過が記載されており、病棟内完結ではなく生活環境まで視野に入れた設計が重要です。

ここで独自視点として有効なのが、医師・看護・リハで共通に使える“安全言語(Safety Script)”を短文化して統一することです(例:①止まる②触る③確認してから動く)。

アントン症候群では病態失認と作話のため、説明を増やすほど混乱や反発を招く場面があるので、短い合図を繰り返し同じ手順に落とす方が、スタッフ間の対応ブレを減らせます。

さらに、環境側の介入(通路の障害物を減らす、手すり、椅子の形状を統一、トイレで触覚手がかりを作る)を“標準化”すると、患者の学習負荷を下げつつ安全性を上げられます。

・代償戦略の具体例(現場で使いやすい形)

  • 移動:杖や手すりで距離感を先に触覚で取ってから一歩出す。​
  • 着座:肘掛けや背もたれのある椅子を使い、座面を手で触ってから臀部を下ろす。​
  • 探索:目だけで探させず、頸部回旋や指差し・言語化で探索を“手続き化”する。​
  • 家族指導:家の動線整理、段差・通路の安全化、声かけルールの統一を行う。​

参考:Anton症候群とBalint症候群を合併した症例のリハ、代償戦略、家屋訪問・環境設定の記載

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/52/1/52_12527/_html/-char/ja

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