屈折性眼精疲労と屈折異常と眼鏡とコンタクト

屈折性眼精疲労と屈折異常

屈折性眼精疲労の要点
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まず疑うのは屈折異常

近視・遠視・乱視・不同視、度数不適合の眼鏡/コンタクトが背景にあると、見え方の補正を“目の力”で肩代わりしやすくなります。

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検査でズレを見える化

オートレフケラトなどで屈折を客観評価し、自覚的屈折や装用状態も含めて「合っているのに疲れる」を切り分けます。

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VDTで増幅する

画面注視で瞬目低下やピント固定が起こり、屈折異常が軽くても眼精疲労として表面化しやすくなります。


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屈折性眼精疲労の原因の屈折異常(近視・遠視・乱視・不同視)

屈折性眼精疲労の中心は、近視・遠視・乱視・不同視などの屈折異常が「未矯正」または「矯正不良」のまま視作業を続けることで、見え方のズレを補う負荷が積み上がる点にあります。

とくに遠視は、裸眼視力が一見保たれていても、見え方を成立させるために調節が常時動員されやすく、疲れ・頭痛・肩こりなどの訴えに結びつきやすいのが臨床での落とし穴です。

乱視は軽度なら必ずしも矯正が必要でない一方、中等度以上では視力低下や眼精疲労の原因になり得るため、症状と生活背景(VDT、夜間運転、細かい作業)を合わせて判断します。

不同視(左右差)がある場合は、単純に「よく見える方で頑張る」状態が続きやすく、眼精疲労として表に出るだけでなく、眼鏡選択によっては装用感や像の大きさの差(不等像)も問題化し得るため、矯正手段の選定が重要です。

臨床メモ:屈折異常が原因の眼精疲労は「目が疲れる」だけでなく、「かすみ」「まぶしさ」「痛み」「充血」など多彩に出るため、問診で“見え方の質”を具体化すると診療が進みやすくなります。

参考)https://www.gankaikai.or.jp/press/detail2/__icsFiles/afieldfile/2022/06/15/20220606_4_.pdf

屈折性眼精疲労の検査のオートレフケラトと視力検査

屈折性眼精疲労を疑うときは、まず屈折の客観評価としてオートレフケラトメーターで他覚的屈折値(近視・遠視・乱視)と角膜曲率を把握し、視力検査の前提を整えます。

オートレフケラトは「気球の絵を見る機械」として患者にも馴染みがあり、屈折度数や乱視の強さ、角膜カーブを客観的に測れるため、初期のあたり付けに有用です。

ただし、眼精疲労の文脈では“機械の値=処方”に直結させず、自覚的屈折(赤緑テスト等を含む)や、普段の眼鏡・コンタクトの度数と装用状態の評価を重ねて「日常視の負荷」を見に行くのが実務的です。

また、調節緊張や屈折の揺れが疑われるケースでは、屈折の変動や調節状態の評価が診断や治療方針(まず緊張を抜くのか、度数をどう置くのか)に関わることがあります。

・検査で確認したいポイント(外来での実装イメージ)

  • 他覚的屈折(オートレフ)と自覚的屈折のズレ。
  • 乱視軸・乱視度数の安定性(とくに自覚症状が強いのに視力が出ないとき)。
  • 現在使用中の眼鏡・コンタクトの度数が、生活距離(PC距離/近業/運転)に合っているか。

屈折性眼精疲労の治療の眼鏡とコンタクト

屈折性眼精疲労の治療の基本は、屈折異常を眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正することで、無理なピント合わせや“見え方の帳尻合わせ”を減らすことです。

一方で、度数が強すぎる(過矯正)・生活距離に合わない・左右差の扱いが不適切といった「不適切な眼鏡処方」は、眼精疲労や不定愁訴の原因になり得るため、処方の最適化そのものが治療になります。

コンタクトは有用ですが、不適切な使用やフィッティング不良が眼精疲労の原因になり得るため、装用時間、乾燥感、瞬目、レンズ種類(ソフト/ハード等)も含めた再評価が必要です。

左右差が大きい、強い近視・乱視があるなどの条件では、眼鏡よりコンタクトが適する場合があるとされ、像のゆがみや装用感も含めて選択します。

・外来で患者説明に使える“調整の方向性”

  • 「よく見える」より「長く見ても疲れにくい」を優先した度数設計を検討(作業距離に合わせる)。
  • 眼鏡・コンタクトの度数だけでなく、装用状態(ずれ・フィット)や使用時間を見直す。
  • 屈折の評価をやり直しても改善しない場合は、筋性・ドライアイ等の他要因を併存として拾い上げる。

参考:眼鏡・コンタクトの不具合による眼精疲労(定義と症状の整理に有用)

https://www.gankaikai.or.jp/press/detail2/__icsFiles/afieldfile/2022/06/15/20220606_4_.pdf

参考:成人の視力検査および眼鏡処方(過矯正や常時調節負荷など、処方と眼精疲労の関係の要点に有用)

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/PrescribingGlassesAdultsClinical.pdf

屈折性眼精疲労とVDTと瞬き

VDT作業では、画面注視で瞬きが減り、ピントを合わせる筋肉が固定されやすいことが、眼精疲労の発生・増悪に関わると説明されています。

この環境では、軽い屈折異常や“境界域の度数不適合”が、日常では目立たないのに、長時間作業で一気に症状化することがあるため、問診で作業時間・休憩パターン・照明・距離を具体的に確認する価値があります。

米国眼科学会が提案として知られる20-20-20ルール(20分ごとに20秒、約6m先を見る)は、ピントを合わせる筋肉を定期的に休ませる目的で紹介されており、屈折性眼精疲労の“土台”がある人ほど体感しやすい対策です。

さらに、VDT関連の研究として、調節誘導型モニタがVDT作業中の毛様体筋の緊張状態を抑制し、眼精疲労の予防効果が期待されたという報告もあり、環境側の介入(画面設定・作業設計)が症状を左右し得る点は意外と見落とされがちです。

・VDT指導に入れたい具体策

  • 20-20-20ルールを“最低ライン”として提案し、実行できる休憩設計に落とし込む。
  • モニタ距離と文字サイズを調整して、無意識の前傾・凝視を減らす(瞬目低下の悪化を避ける)。
  • 眼鏡使用者は「PC距離に合う」度数の有無を確認し、必要なら作業用眼鏡も検討する。

屈折性眼精疲労の独自視点の屈折の揺れ

屈折性眼精疲労を“度数が合っていない問題”としてだけ捉えると、検査値は整っているのに訴えが強い症例が説明しにくくなります。

臨床的には、屈折の揺れや調節緊張が絡むと、オートレフで得られる値と実感(楽に見える度数)が一致しないことがあり、屈折を固定値として扱いすぎない姿勢が重要になります。

日本眼科学会誌の報告では、調節への遠方化刺激による調節緊張の緩和が眼精疲労の回復に効果がある可能性が示されており、「まず緊張を抜いてから度数を決める」発想は、屈折性眼精疲労の再発予防にもつながります。

この視点を入れると、患者説明も「目が弱い」の一言で終わらず、「ピントの力が入りっぱなしの状態をほどいて、度数を合わせ直す」という納得感のあるストーリーになります。

・診療での使いどころ(例)

  • 検査上は矯正良好だが、午後に悪化する・霞む・奥が痛いなど“波のある訴え”が強いとき。
  • 度数変更を繰り返しているのに、満足度が上がらないとき(屈折の揺れ/緊張の関与を疑う)。

参考:調節の緊張緩和と眼精疲労(遠方化刺激による回復効果など、調節緊張と眼精疲労の関係に有用)

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/107_257.pdf